50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

目を吊って、・・・

2015-03-08 20:01:01 | 小説
目を吊って、
「私は故郷に出戻りすれば、何のこともありませんわ。あなたのような男性がゴロゴロしているって、はっきりわかったの都会には。一日も早くケリをつけたいくらい」
何という割り切りのようで、クモの方が田舎じみてきそうだった。
「不感症にならないうちに。子供が生まれていたら、と思うと、やっぱり不安が的を得ていたってわけよ」
離婚届けの用紙に言及した彼女は、強がってあたかも故郷に再婚が待つ風に浮き立った。