50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

それは常に生々・・・

2015-03-07 16:56:31 | 小説
それは常に生々しすぎたこと。
「私は悲しくないわ。でもきれいには別れないつもり。砂漠の花みたいにはいきません」
比喩を使う余裕を彼女は持っていたが、そこがクモとの生活に影響した。つまりゆとりある間を活かしきる歳に至っていなかった。妊娠恐怖症めいた上に、都会のクモに自然な性交を極度に求めた彼女で、山出しの彼女は期待が裏切られ通しだった。

(つづく)

牛乳嫌いがおまけに・・・

2015-03-07 00:10:00 | 小説
牛乳嫌いがおまけに冷たい牛乳をおしつけられ、クモが苦情をいおうとした瞬間、
「稼ぎのない妻だから、それもあそこが不満だったものだから?・・・・・・二つに一つよ、夫婦なんて。二つが二つともそういえば私には揃ってるのね。心なんか愛情なんか」
彼女は涙した。
「幕引きはきれいにいきたいんだ」
舞台のようにはいかないだろう。それが夫婦の常だった。

(つづく)