宙(そら)日記

デモクラティックスクール宙(そら)、神戸サドベリーでスタッフをしていたターボウの個人ブログ

健全な距離

2008-06-10 14:52:26 | 自由、選択、団体へのコミットメント
デモクラティックスクール宙(そら)は、よくフリースクールと間違われます。

「フリースクール」と言っても、そこで行われている活動は団体によってさまざまでしょう。

ただ、少なくないフリースクールに共通する特徴のひとつは、学校でつらい経験をした子ども、学校に行きたくない子どもを受け入れる場というものがあると思います。

そういった子どもに心理の専門家によるケアを施している場もありますし、専門家でもなくても、スタッフがそういった子どもに意図的に関わろうとしている場もあります。

おそらく、意図的に時間を作って、スタッフと子どもが関わる場を設定している場合もあるでしょう。


デモクラティックスクールは、学校がいやで行きたくない子がもちろん来ることができます。

ただ、デモクラティックスクールが入学を希望する子どもに言うことは、「ここでは自分から行動していかなければ、他人と関わることはできないよ」ということです。

デモクラティックスクールは、カリキュラムがあるわけではなく、自分のしたいことをできる場所です。

これは一見自由でとてもラクな場所に見えます。

しかし、自分のしたいことを見つけるということは、多くの人が知っているように、実はそんな簡単なことではありません。

勉強や仕事から逃避するためにお酒に逃げている人は多いでしょうが、何もしなくてもいい状況におかれたとき、自分は何をすればいいか分かる人は少ないでしょう。

何かやりたくないことを強制されていると、そこから逃げるという目標ができます。しかし完全な自由が与えられると、自分を自分で律する必要が出てきます。つまり、自分のすることを自分で決めなくてはならないのです。

学校がいやになった子どもを、デモクラティックスクールはいつでもウェルカムします。

ただし、それには条件がつきます。学校や学校が強制してくる勉強を嫌になるのはいい。でも、学校が強制してくることが嫌なのはいいけど、その代わり自分のすることは自分で決められる人、あるいはそうなりたいと望む人、そういう人だけがデモクラティックスクールでやっていけます。


どうしてこういうことを言おうと思ったかというと、こんなことがあったからでした。

ある日、メンバーである子どもたちがみんなで近くの公園に野球をしに行きました。

でも、ひとりの男の子・ユウは部屋に残ってゲームをしていたのです。

私はその光景をとても健全なものに思えました。


学校にいると、行きたくもないに友達のトイレに連れ添ったりします。帰りたいのに、ダラダラと部室に残ってしゃべったりします。大人の人の中にも、ほんとはさっさと帰りたいのに、飲み会の二次会・三次会と付き合ってしまう人は多いでしょう。

デモクラティックスクールには、そんな光景は見られません。メンバーはみんな自分のすることを自分で決めるので、他の人がするからという理由で他人の後ろについていったりはしないのです。

ここにいるメンバーはみな仲間です。しかしそこには、健全な距離感も伴われているのです。

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