廉恥功名 真弓監督
廉恥功名<れんちこうみょう>
正直で恥を知る者は、手柄を立て名をあげることができるということ
(四字熟語データバンク)
■“頑固力”から“正直力”へ
"It is not the strongest of the species that survive, nor the most intelligent, but the most responsive to change" 《この世を生き延びられるのは、最も強い種でもなく最も賢い種でもない、変化に最もよく適応できる種である》とは米国の高名な経営者がダーウィンの「進化論」から引用したとされる有名な一節(本当はダーウィンの書物にそんなフレーズは見当たらないという話だが……)だが、今、世界が直面しているアメリカ発の金融危機に端を発する全世界同時不況のムードは否が応でも我々に「Change!(変化)」の箴言を突きつけてくる。そんな厳しい世相にあっては新春のお祝い気分もそこそこに、金本が「覚悟のすすめ」の中で説く『“最悪のシナリオ”を想定して覚悟をきめる』思考作業が求められるのかもしれない。テレビの討論番組で誰かが述べた「百年に一度の危機は百年に一度の政治の決断が必要」との言葉に激しく同意しながら、しかし、未だ空虚で空回りを続ける政治の覚悟の悪さと無能ぶりに失意を感じずにはいられない。震源地・アメリカでは、すでにニューリーダーによる『変化』が始まろうとしているというのに、相も変わらず、この国は世相ずれしたパフォーマンスの連発で嘲笑を誘う事くらいしか存在感を発揮できない総理大臣が痛々しい限りだ。
新年早々何ともお寒い祝詞となってしまったな。
“百年に一度の大失墜”を演じた2008年の我が阪神タイガースにも「変化」が訪れた。『真弓タイガース』である。5年間その「頑固力」でタイガースを率いた岡田監督からバトンタッチした真弓監督は、果たしてどんな野球を演じてくれるのだろう?出口の見えない不安渦巻く世相とは違い、こちらは期待感が渦巻いている。野村、星野、岡田と続いた本音を素直に口にしない一家言持ちとは、真弓監督は明らかにキャラが異なる。愚直なくらい実直なのである。この人の実直さは選手時代からそうだった。何とも古臭い表現で申し訳ないが、まさに清廉潔白な「スポーツマン」そのものだ。もし、この四人の中から友人を選べと問われたら間違いなく真弓を選ぶ人が一番多いのではなかろうか。そのことが監督の資質として吉とでるか凶とでるかは分からないが、彼の『正直力』に期待したいし、世相もそれを求めているのではなかろうか。
などと2009年の年初に思う。
本年もどうぞよろしくお願いします。
そして皆さんにとって佳き一年でありますように。