THE READING JOURNAL

読書日誌と雑文

「闘争と孤独」1 

2009-11-02 | Weblog
「アラビアのロレンス」(改訂版) 中野好夫著

闘争と孤独 1

ロレンスは四年ぶりにロンドンに土を踏んだ。

「重荷」を下ろして故国の土を踏んだ彼の胸に去来したものは、依然としてアラビアの夢であった。帰途十月十四日付、カイロから知人に宛てた短信を、「私たちはささやかな団結であった。でも、中東の歴史を一変したつもりです果たして列強は、このアラブ人たちをどう扱うつもりでしょう」という、今にして思えば暗示的な言葉で結んでいるが、この言葉こそ、以後三年間にわたる彼の全生活の目的を象徴しているといってよい。

パリ平和会議では、ファイザル達の通訳としてロレンスは活躍する。彼の奮闘にもかかわらず、列強の思惑の違いなどのため彼の戦いは敗れた。