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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

税務調査に先立って帳簿の間違いは修正しておくべきか?

2011-08-19 17:00:00 | 税務調査
大変多い質問です。そして、質問してくる人の多くは「間違いは税務調査に先立って修正しておくべき」と考えています。

しかし、修正しておく必要はありません。というよりも、修正できません。

決算と申告が終了した年度の帳簿はすでに締め切られているからです。締め切られた帳簿は、理由はどうであれ、すでに「歴史的事実」として動かすことはできないのです。これは、帳簿に記録されたことの真偽ではなく、そのように帳簿に記録したという意味においてです。帳簿は試験の答案用紙と同じなのです。また、帳簿に関するコンピュータシステムにおいても締切りが強固に設定されています。

なお、帳簿が修正できないということは、帳簿から導かれた決算書も修正できないということです。

▲帳簿と決算書が修正できないということは申告書も修正できない(修正する必要がない)ということ?

申告書は修正しなければなりません。帳簿や決算書はそのままで、申告書は帳簿や決算書を正しい状態を前提に作成し直します。ただし、この場合も当初の申告書は税務署に残ります。

▼帳簿の残高が間違ったままでよいのか!

そのとおりです。

貸借対照表勘定科目は間違いを放置しておくわけにはいきません。そこで、貸借対照表勘定科目に関しては、「間違いが判明した年度の帳簿」で修正をします。

【例1】過年度(帳簿を締め切った年度)に売掛金(売上)の計上漏れがあった場合
≪借方≫売掛金≪貸方≫過年度損益修正益(過年度の間違いが収益となる場合)

【例2】過年度に買掛金(仕入)の計上漏れがあった場合
≪借方≫過年度損益修正損(過年度の間違いが費用となる場合)≪貸方≫買掛金

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★申告書を修正するパターンは「修正申告」と「更正の請求」の二通りある
「修正申告」は当初の税額が増える場合、「更正の請求」は減る場合です。ともに申告書を修正することに違いはないのですが、このように区分されており手続の方法も異なっています。

★帳簿は間違っているが申告書は間違っていない
このようなパターンもあります。例えば、旅費交通費とすべき支出を通信費としている場合です。税額計算(法人税、所得税、消費税)においては影響がありません。

★帳簿は間違っていないが申告書は間違っている
申告書での「計算誤り」「税率の適用誤り」などです。

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◆帳簿を修正した場合、税務調査の収拾がつかなくなる
調査官は申告書に添付した決算書の数値を基に調査をすすめます。もし、帳簿を修正した場合には申告書に添付した決算書の諸数値と帳簿が合わなくなるのはいうまでもありません。調査は大混乱です!