【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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合計所得金額とは?(配偶者控除や扶養控除の要件)

2008-11-10 11:48:39 | 源泉徴収と年末調整
年末調整が行われるこの季節、よく寄せられる質問の一つが「合計所得金額」、つまり配偶者控除や扶養控除の要件です。合計所得金額に関して特に聞かれることは次のとおりです。

■収入と所得の違い

まずはこの件をご存じでない方が非常に多いです。

収入とは、それを得るための犠牲や努力を差し引く前のものをいいます。例えば、事業における収入はいわゆる売上代金であり、ここから犠牲である仕入代金や諸経費を差し引いたものを所得税においては(事業)所得としています。ほとんどの所得には収入を得るための犠牲や努力が必要であるために、所得税においてはこれらを差し引いて所得を計算することになっています。

給与所得(サラリーマンがもらう給与は給与所得とされています)においては、給与の総額から「給与所得控除」というサラリーマンとしての経費を差し引いて計算します。これが世間一般でも知られている「103万円・・・」の根拠です。要するに、年間の給与の総額が103万円であれば給与所得控除は65万円であることから給与所得は38万円(103-65)ということになり、配偶者や扶養親族にこれ以外の所得がないのであれば配偶者控除や扶養控除の要件である年間の合計所得金額38万円以下を満たすということです。

給与所得の計算は簡単かもしれませんが、所得の中には計算が複雑な所得もあります。しかし、配偶者控除や扶養控除を受けるためには所得を計算し年間の合計所得金額が38万円以下であることを確認しておかなければなりませんので、面倒でも税務署などに聞きながら計算するしかありません。

■合計所得金額に含める「所得の種類」

わが国の所得税は一年間のすべての所得(利子、配当、不動産、事業、給与、退職、山林、譲渡、一時、雑)に課税されます。ですから、合計所得金額の計算に当たってもすべての所得を計算して合計しなければならないということです。ただし、所得であっても所得税が課税されない非課税所得(失業保険や生活用動産の売却益など)もあり、これらは合計所得金額の計算からは除かれます。さらに、非課税所得以外でも源泉分離課税されている利子などは除かれます。

合計所得金額の計算においては、次のように確定申告で税額を計算する場合の計算と異なる点がありますので注意が必要です。

●土地や建物を売った場合の所得計算における特別控除(所得を減額する)は考慮せずに計算する
「マイホームを売った場合の利益が3000万円以内であればその利益には課税されない」は多くの人が知ることですが、合計所得金額の計算においてはこのような計算はしません。ですから、例えば、配偶者である妻が専業主婦であってもその年にマーホームを売却したことによる所得がある場合には(住宅が夫婦共有名義になっている場合にはこのようなことが起こります)、その年に限っては配偶者控除の適用ができないということです。

●株式の譲渡所得における前年以前の損失の繰越は考慮されない
「今年は株で300万円を儲けたけれども、昨年までの損が500万円あるので今年は課税されない」は考慮されないということです。

■合計所得金額に含める「所得の範囲」

「妻は、今年の3月までは正社員として働いており毎月25万円の給料をもらっていましたが退職をしました。退職に際してはわずかですが50万円の退職金をもらいました。その後、10月まで失業保険をもらっていましたが、11月から再び働き始め毎月15万円の給料をもらっています。」

失業保険を除き、いずれも合計所得金額の計算に含めなければなりません。
給与所得は、25万円×3か月+15万円×2か月=105万円を収入として計算し、そこから給与所得控除65万円を差し引きますので40万円ということになります。
配偶者控除は受けられません。

配偶者特別控除が!?
そのとおりです。しかし、そのためには、退職金についての所得(退職所得)を計算しなければなりません・・・

■税務署が配偶者や扶養親族の所得を把握する方法

皆様の最大の関心事だと思います。(合計所得金額の計算についてはネットで膨大な情報が発信されています。)
具体的な方法についての説明は省略させていただきますが、遅かれ早かれすべての所得が把握されます。

●あの人はばれていないではないか!?
確かにそのようなこともあります。しかし、この件を合理的に説明することはできませんし、「あの人」と同じような結果を再現することもできません。要するに偶然であるということです(税務署の調査にも限界があるということです)。
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12 コメント

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ブログをご覧いただきありがとうございます (築山哲)
2011-10-29 13:10:13
このブログの管理人の築山哲(公認会計士・税理士)です。ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。このブログのほか、下記のサイトでも年末調整や確定申告をはじめとした会計、税務、経営などに関する情報を発信しておりますので、是非ともご覧ください。
また、無料相談も行っております。匿名や仮名でお問い合わせいただいてもかまいません。 まずは、お気軽にお問い合わせください。遠慮は無用です。(遠慮していると損しますよ!)
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扶養親族の条件 (ゆうき)
2014-02-04 23:41:45
子供の収入が107万になってしました。国民年金保険料を自分で支払っていますが、その金額を子供の合計所得金額から引いて、扶養親族になれるでしょうか?
ゆうき様 (築山哲)
2014-02-05 09:23:21
コメントありがとうございます。
107-65=42万円ですので扶養控除はできません。
社会保険料控除(国民年金保険料)は合計所得金額からは差し引きません。
Unknown (kazuちゃん)
2014-02-14 13:49:06
初めまして、こんにちは
妻の収入のことでお尋ねします。
私は農業収入と年金収入で確定申告をしておりますが
妻のパート661,600円、内職91,942円を併せて
私の確定申告のソフトに入力すると
給与所得の項目で、収入金額① 661,600
必要経費②650,000円、差し引き所得金額 11,600円
内職80,342円、所得金額が91,942円に成りますが
この91,942円を私の確定申告の配偶者の合計所得
金額に記入することになるのでしょうか。
私が思っているのでは1,030,000円以下だから
配偶者所得金額は0でいいと解釈しています。
91,942円を記入すれば妻に所得税、住民税が
かかってくるとのではと思っています。
妻は専従者給与扱いにしていません。
よろしくお願いします。
Kazuちゃんさん (築山哲)
2014-02-14 16:13:00
コメントありがとうございます。
この計算で間違いありません。このようにして計算した額が38万円以下であれば配偶者特別控除を受けることができます。また、配偶者に所得税は課税されません(住民税は33万円以下であれば課税されません)。
ちなみに、給与収入103万円の場合には「103-65=38万円」です。ゼロではありません。
Unknown (kazuちゃん)
2014-02-14 16:40:33
築山様、アドバイス有り難う御座いました。
今回は配偶者控除ではなくて配偶者特別控除に
成るんですか。

毎年この時期は嫌になります。
ありがとう御座いました、これで申告書が
作成出来そうです。
配偶者控除です! (築山哲)
2014-02-14 16:59:27
Kazuちゃんさん!
38万円以下ですので配偶者控除です。
ソフトで配偶者控除38万円と表示されると思います。
合計所得金額について (みのる)
2014-06-26 15:44:51
はじめまして。
合計所得金額について教えてください。

今年、新築戸建てを購入いたしまして、住宅ローン減税を受けようかとおもうのですが、
適応条件に「(2)この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。」
というものがあり、自分が当てはまるのかどうなのか教えてください。

1:購入金額のうち、預貯金をほぼ全額(1000万円強)支払い、残りをローン(15年)で支払います。
2:現在、有価証券(外国債券)を2000万円強、所有しております。

この場合、私は住宅ローン減税の適用要件(2)を満たしておりますでしょうか?
みのる様 (築山哲)
2014-06-26 16:55:50
コメントありがとうございます。
「有価証券(外国債券)を2000万円強」を気にされているようですが、これは「資産」ですので所得にはカウントされません。ただし、この債券の利息は合計所得金額に含まれます。
ありがとうございます (みのる)
2014-06-26 19:17:26
ご回答ありがとうございます。

ご指摘の通り、「有価証券」の部分が気になっておりました。

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