【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会計ソフトへのデータの取り込み

2022-04-09 11:01:00 | 経理業務(帳簿の作成)
「自身がすでに入力し保存しているデータ」、「ネットなどを通して入手可能な他者が作成したデータ」、これらがデータ処理で必要となった際には、「入力」するのではなく「取り込む」ほうが作業効率は圧倒的にいいです。

昨今、様々な局面においてこのデータの取込みが活用されており、会計ソフトにおいても例外ではありません。しかし、この便利で効率的な機能によって収拾がつかない事態を招いていることもあります。

◆処理できないデータが取り込まれる

この会計ソフトの取込みという機能を利用すると、自身では処理することができないデータまでもが取り込まれてしまいます。「勘定科目を決められない」、「税務的な判断ができない」といったデータまでもが無意識に取り込まれてしまいます。

預金取引はすべての入出金が取り込まれます。クレジットの利用もすべての履歴が取り込まれます。その中には、経理や税務の知識が十分でないユーザーには処理不能なものが混ざっています。

◆重複しての取込み

これは注意をしていれば何とかなることですが、データを重複して、しかも大量に取り込んでしまうとその「削除」が大変です。

◆データが増えすぎる

仕訳というのは基データを適宜集計して行うことがあります。しかし、取込み機能の多くは、集計前の基データをそのまま取り込むことが通常ですので、会計ソフトのデータが膨大な分量になることがあります。

例えば、交通費の記録は、仕訳は月合計額で行い、明細は「会計ソフトの外」に保管しておくことが通常です。これが取込み機能を利用した場合には、会計ソフトに個々の交通費までもがすべて記録されてしまいます。

◆同期できない

「外部データ(システム)との同期」、典型は金融機関の預金口座との連携です。これが取込み機能の最先端・花形で、「同期の設定をしておけば、あとは会計ソフトが自動的に処理してくれる」というのが売りです。しかし、この機能がシステムの障害で正常に同期しないことや相手方(金融機関など)の方針変更によって同期が打ち切られるということもあります。

========

★個人事業者ではクラウド会計が主流に?
昨今、クラウド会計がユーザーを増やしています。特に、個人事業者がクラウド会計を選択しています。クラウド会計の特徴のひとつが、ネットと通じてデータを取り込むという機能ですが、便利なはずのこの機能を十分に使いこなせていないことがあります。

★個人事業者は会計ソフトを使わないほうが楽な場合も
個人事業者は規模も小さく事業所得を計算する基データは比較的少ないので、「収入-必要経費-所得控除」という算式さえしっかり理解していれば会計ソフトを使わなくても計算できます。会計ソフトの取込み機能で「余分なデータ」を取り込んだがために混乱していることが目立ちます。「青色申告特別控除65万円」、確かにそうですが、会計ソフトの料金、場合によっては税理士報酬を考慮すれば無意味な場合もあります。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。