【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

社長借入金(利率と返済条件)

2019-08-30 11:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
中小零細企業では会社の資金が不足すれば、社長が個人の資金を会社に投じなければなりません。これを社長借入金(役員借入金)といいます。中小零細企業では大企業のようにメインバンクの支援や株主からの増資という方法がないので、こうしないと会社が倒産してしまいます。このあたりが、いわゆる「サラリーマン社長」との違いです。中小零細企業の社長は会社のお金を自由に使えますが、緊急時には資金提供もしなければならないのです。

中小零細企業では、社長が会社に株主として出資をすることが普通ですが、社長借入金はこれ以外に社長から会社に資金提供をするというものです。株主としての出資が「資本金(純資産)」であるのに対して、社長借入金は金融機関からの融資と同じ「負債」です。負債ですので会社は社長借入金を返済しなければなりません。

◆社長借入金の経理処理(仕訳)

社長借入金は金融機関からの借入金と同じ負債ですので、借りたときは負債に計上し、返済したときは負債を減少させます。

〇借入時の仕訳
≪借方≫現金あるいは預金≪貸方≫借入金

〇返済時の仕訳
≪借方≫借入金≪貸方≫現金あるいは預金

◆社長借入金は無利息であることが普通(社長が利息を受け取れば確定申告しなければならない)

社長借入金は無利息であることが普通です。なぜならば、自らの会社を窮地に陥れたのは「社長の責任」ですので、社長が無利息で資金を提供するのは当然であるからです。

利息を支払ってはいけないという訳ではありません。社長に利息を支払った場合、その利息は会社の費用になります。社長個人にとっては所得ですので所得税の確定申告をしなければなりません。社長借入金が無利息なのは、社長個人が確定申告するのが面倒だというのもその理由です。

◆社長借入金の返済条件(金銭消費貸借契約書)

社長借入金の返済条件(返済期限や返済回数)は明確でないことがほとんどです。さらに、契約書も作成されていません。社長借入金が先の見えない窮地の際に、とっさに行われるので当然のことです。

◆社長借入金の出所

会社にとって社長借入金は社長からの資金提供ですが、社長個人にとっての事情は様々です。「余裕資金」「保有資産の売却」「借入(カードローンなど)」など様々です。しかし、会社にとっては関係ありません。あくまでも、借入先は社長個人です。

◆近親者からの借入金(借入先を明確に)

社長の近親者から借入れた場合、会社にとっての借入先が誰であるのか明確でないことがあります。契約書を作成することが望まれますが、契約書がない場合は「口頭で確認」をして、借入先をその近親者にするのであれば、資金を「近親者の名義で」「会社の預金口座」に振り込んでもらいます。そして、返済は「会社の預金口座」から「近親者の預金口座」に振り込むようにしなければなりません。

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