【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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【信用保証協会・信用保証料】信用保証の内容を変更した場合の処理

2013-09-27 17:00:00 | 勘定科目と仕訳
信用保証協会の信用保証料は数年に及ぶ借入期間の分を借入時に一括して支払いますので、支払時には長期前払費用に計上し、事業年度ごとに事業年度に応じた額を費用処理(支払手数料あるいは支払利息)します。仕訳は次のとおりです。

【信用保証料支払時】
《借方》長期前払費用《貸方》預金
実際には、借入をする金融機関が信用保証料相当額を差し引いて預金に振り込みますので(大阪府と大阪市の信用保証協会)、次の仕訳になります。
《借方》長期前払費用+預金《貸方》借入金

【各事業年度終了時】
《借方》支払手数料(あるいは支払利息)《貸方》長期前払費用
この金額は信用保証料総額を保証期間(月数)で割った額に事業年度中の保証期間(月数)を掛けて計算します。例えば、信用保証料総額が60万円、保証期間60ヶ月、事業年度中の保証期間が12ヶ月の場合には、60万円÷60ヶ月×12ヶ月=12万円となります。

信用保証料は保証を開始する時点の借入額と返済条件(返済期間と返済額)を前提に計算されていますので、借入額と返済条件が変更された場合には信用保証料の額も変更されます(信用保証料の総額は借入額と借入期間に比例します)。

■繰上返済をした場合

この場合には信用保証料が戻ってきますので長期前払費用を取り崩さなければなりません。ただし、信用保証協会の計算は単純な月割計算ではありませんので、長期前払費用の額と戻ってくる信用保証料の額が違うためその差額を処理しなければなりません。

《借方》預金+支払手数料(信用保証料の戻りが長期前払費用よりも少ない場合)
《貸方》長期前払費用+支払手数料(信用保証料の戻りが長期前払費用よりも多い場合)

■借換えをした場合

借り換える前の信用保証料を精算し、新たな借入に対する信用保証料を計算することになりますが、両方の計算が一緒の計算書で行われていますので(大阪府と大阪市の保証協会の場合)注意が必要です。仕訳は次の二つとなります。

【信用保証料の精算】
《借方》預金+支払手数料(信用保証料の戻りが長期前払費用よりも少ない場合)
《貸方》長期前払費用+支払手数料(信用保証料の戻りが長期前払費用よりも多い場合)

【新たな信用保証】
《借方》長期前払費用《貸方》預金

しかし、実際には新たな借入金が預金口座に入金される際、「正味の信用保証料(新しい信用保証料から精算した信用保証料を減額した額)」と「『旧』借入金の未返済残高」が差し引かれて入金されますので(大阪府と大阪市の保証協会の場合)、仕訳は非常に複雑です。

《借方》預金(借入額-正味の信用保証料-旧借入金)+長期前払費用(新たな信用保証料)+支払手数料(精算した信用保証料の戻りが長期前払費用よりも少ない場合)+借入金(旧借入金)
《貸方》借入金(新借入金)+長期前払費用(精算した信用保証料)+支払手数料(精算した信用保証料の戻りが長期前払費用よりも多い場合)

(具体的な数値での設例)

A旧借入金・・・100
B旧長期前払費用・・・10(精算した信用保証料に関するもの)
C精算した信用保証料の戻り・・・5(長期前払費用よりも少ない)

D新借入金・・・500
E新長期前払費用・・・50(新たな信用保証料に一致)

F正味の信用保証料45(E-C)

《借方》預金355(D-F-A)+借入金100(A)+長期前払費用50(E)+支払手数料5(C)
《貸方》借入金500(D)+長期前払費用10(B)

実際には、上記の仕訳に「利息の精算」が加減算され、印紙代などの「諸費用」が減額されます。

もっとも間違いやすいのは長期前払費用の処理です。新長期前払費用を正味の信用保証料45で計上し、旧長期前払費用10を残したままのケースです。これですと、精算した信用保証料の戻り5が貸借対照表に残ったままになります(長期前払費用が過大になったままになります)。下記の仕訳です。

=誤った仕訳=
《借方》預金355(D-F-A)+借入金100(A)+長期前払費用45(F)
《貸方》借入金500(D)

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★信用保証料の管理
信用保証(借入)の件数が増え、しかも頻繁に変動がある場合には信用保証料の管理が大変になってきます。信用保証ごとに、「信用保証の期間」「信用保証料の総額」「信用保証の対象となっている借入の内容」を確かめ、事業年度末の残りの保証期間から計算した信用保証料額を計算し、この合計額が貸借対照表に計上された長期前払費用に一致しているかを確認しておく必要があります。

★長期前払費用の資産性(現金価値)?
借入が多くなってくると長期前払費用(未経過の信用保証料)の資産に占める割合が大きくなってきます。しかし、この長期前払費用に資産性(現金価値)はないと考えなければなりません。これを単独で処分(売却や名義変更)できないからです。