お気楽でのんびり屋、45歳パパの『幸せのおすそわけ』

不景気の中40歳で会社を自主退職した無責任パパは、何事にもお気楽でポジティブシンキング!他愛ない日常の幸せをおすそわけ!

2013-04-05 23:24:30 | Weblog

 結婚したての頃、ママはアタシに『ハゲになったらカツラを作ってあげるね』と言っていました。オーダーのカツラなんて高いから、ジイさんになったアタシにはそんな高い買い物はムダなように感じておりましたし、気分屋のママですから何年もすればそんな発言忘れてしまうだろうと、大して気にも留めずにおりました。

 幸いにもまだアタシの髪の毛は、おおかた残っております。
 でも、抜け毛がたいへんなことになっております。アタシの毛ではありません。そうです、ママの髪の毛です。

 ママは医療従事者ですので、抗がん剤治療により毛の抜けた患者さんをたくさん目にしてきておりました。ですので、自分が抗がん剤治療をすると決めた時には、毛が抜けることは想定していたようで、1回目の治療をする前からインターネットでカツラを買っておりました。
 アタシからすれば、本当にそうなるかは判らないのだから、そうなってから買えばいいのにと思ったものです。ネットなら2~3日で届くので抜け始めてからでも間に合いますし…。
 でもママは抜けることを確実視していたんです。

 抗がん剤の治療は3週間置きに4回の投与で行われるので、アタシは医療に疎いので、抜けるとしても3ヶ月間に少しずつ抜けるんだろうな~ってくらいに想像していたのですが、そんな悠長な変化ではありませんでした。

 最初の治療から1週間くらい経ったことから"歩けば抜ける、動けば抜ける"というくらいの量が抜けるようになりました。手で紙を梳けば数十本がごっそり。ゴミ箱には部分カツラ程度の毛が溜まるのです。
 想像以上の事態にアタシもショックでありました。

 5日も経ったら地肌が見え、ママにかける言葉も見当たりません。『抗がん剤治療が終われば生えてくるよ…』なんて適当な気休めも言えません。だってまだ抗がん剤の治療は1度目を終えただけであと3回もありますし、4回終わればすぐに生え始める保証はどこにもありません。

 子供たちは不思議そうに『ママ、髪の毛切っちゃったの?』なんて訊ねますが、答えにも困ります。

 『ハゲになったらカツラを作ってあげるね』という言葉が、アタシよりも先に、それもこんなにも早くやってくるなんて夢にも思いませんでした。
 男としてハゲになる恐怖や辛さを想像できるだけに、アタシは何も出来ませんし、何も言えません。

 今は、背中についている抜け毛を『コロコロで取って~』と言われればコロコロしてあげることと、『カツラがズレてたら教えてね』というお願いに頷くしかできないアタシ。

 どうすればいいのか、何をすればいいのか迷いながら、何もできないでいます。


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