中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

またもや出来過ぎの鷹巣沖

2015-09-19 12:30:00 | 船釣り・釣行記
■雨続きの中■

 前回に続いていつもの晴海丸さんに乗り込み、福井県鷹巣沖を攻めることになった。とは言うものの、雨続きな上に、天気予報上は前回よりも更に悪い予報が出ていたため、「出船はできるが、いつまで釣り続けることができるか?」といった不安を抱えてのスタートになった。
 いつものように出航後、程なくポイントに到着してアンカーリング。早速様子伺いで流した仕掛の動きを確認する。すると、今回も風と潮が逆方向から向かい合うため、一旦船尾の方に流れた後の引き返して右舷前方に流れてゆくモノで、いわゆる二枚潮だったが、前回よりも中層以下の潮は“やや”という文字が頭につくが、動きかあるようだった。したがって、糸フケは気になる程の量が出ないため、条件的には今回の方が少しマシなようであった。
 開始後しばらくは、前回の初期段階でアタリの出た発泡ウキ7番を1個のセッティングで、流す距離を変えて探っていたが、エサが殆ど盗られなかった。以降は、発泡ウキを外したうえで距離を伸ばして数度流したが、あまり変化がないことから、船長判断でアンカー位置の修正が行われることになった。

■ヒラマサ登場■

 狙う場所はほぼ同じだが、そこへ我々の流す仕掛がウマく入るよう、船長は慎重に魚探をかけ直していた。そして、ここだというと位置へアンカーを入れ直し、実釣再開となった。
 再開後しばらく経った後、船首で声が上がった。最初の内は、大した引きに見えなかったが、水深分=60mを切るあたりから、ギュンギュンと竿を絞る力強い締め込みが始まった。

●船下に来てのやり取り●

 そして、それを何度かしのいで無事にネットイン。正体は、94cmのヒラマサで、鷹巣沖では大ヒラマサと言っていいサイズだった。

 普通なら、こんなヒラマサを目の当たりにすると「時合い到来!」と、俄然ヤル気が出てくるのだろうが、今年は単発続きで半ば自虐的になっているだけに、そんな気はボクには起こらず、「ただただ自分の釣りを繰り返すのみ。」と、黙々と仕掛の調整を繰り返していった。
 しばらくの間は送り出しが30mで、発泡ウキは無しの状態で探っていたのだが、時折エサが盗られるようになったので、もう一度7番を入れてみることにした。すると今度はエサが残ったので、流す距離を伸ばしてみる。
 しかし、これではエサが残る一方なので、「少し手前で落として流してみようか?」との思いから、発泡ウキを外してガン玉Bを一つ打ってみた。そして、この流しでは普通に流してエサが盗られたので、送り出しの量を縮めて25mにして、50mまで糸が出た時点で30秒間糸の出を止めてから流してみることにした。
 この作戦が当たったのか、それとも単なるタイミングの問題だったのかは判らないが、130mでビューンッ!とスプールの急速逆転が始まった。
 すかさず竿を手に持って大アワセ。締め込み具合から始めは、そこそこサイズのマダイかな?と思わされてしまったが、80mを切るあたりで魚が俄然ヤル気を発揮し始めたことから、中型のヒラマサと確信する。 

●中マサの引き●

 とは言っても、このクラスなら、引きを楽しみながら余裕のやり取りが展開できる。そして、心地良い安堵感と共に無事にネットイン。

●78cmの中マサ●

 「まずは1本!」と、獲れたことにほくそ笑み、続いての流しに入るが、やはり連発はなかった。

 アタリのあった130mまで流すのに15分以上かかる潮なので、一時間で流す回数はたかが知れている。仕掛のセッティングや流すパターンをちょこちょこといじっている間に、すぐに時間が経過するので、次のアタリまで我慢の時間は長い。
 途中、紆余曲折あって、サルカンの近辺にガン玉Bを2個打つに至っていた。この仕掛を送り出し30mで馴染ませてから流し込み、50mで1分間停止させた後、更に流し込んでゆくパターンを組んでみた。
 そして、90mあたりでスプールが急速逆転を開始する。久々のアタリだったが、締め込みはキツくない。

●少し軽めの締め込み●

 それでも魚の引きを楽しみつつ、無事にゲット。当初はハマチ~メジロを想像していたが、正体はいわゆる小マサ・サイズのヒラマサだった。

●68cmの小マサ●

 小マササイズなら、群れの個体数が多いために連発してもおかしくないのだが、潮行きが悪い影響なのか、オキアミのマキエサが流れてくるコースに長居してくれず、続く小マサはなかった。


■最終段階■

 この日は不思議と外道のマダイが全く釣れてこないから、ヒラマサの回遊待ちで焦れる中、気付けば、シトシトと降っていたはずの雨は大粒になり、北東の風は北北東の強風に変わって、あと数度ズレてしまうとアンカーロープに仕掛が絡み付く“アンカー潮”になる状況に陥っていた。
 残された時間は1時間と少しだったが、ここで急にサシエサが盗られ始めたため、7番の発泡ウキを装着し、送り出しは20mと、やや少なめにすることで、浮かせてエサ盗りをかわす方向へセッティングをシフトさせたが、それでもサシエサは盗られていた。
 次の流しでは、50mで30秒の停止を加えることで更に浮かせてみたが、今度はサシエサが残った。そして、その次では再び途中の止め時間は無しで流してみたが、これまたサシエサは残ったままだった。
 この状況下では「もしや、ヒラマサがウロ付き始めたのでは?」といった、浮かれた読みはなかったが、セオリー通りに今度は送り出しは20mのままで、ウキを外したノーマル状態に戻し、途中の止め時間も無しで流すことにした。
 そんな中、船長から、「今の流しを含めて2投で納竿」との声がついにかかった。焦りばかりが募る状況だったが、この流しをそのまま続けるか、最後の一投に賭けるため、「一旦回収してサシエサを点検しようか?」と迷ったが、“乗りかかった船”ではなくて、「“流しかかった仕掛”だから、とりあえず150mまで流してみよう。」と、続行させる方を選んだ。
 この判断が良かったのか、単にツイていただけなのかは判らないが、カウンターが130mに差し掛かった頃にスプールが水しぶきを上げるが如く、急速逆転を開始した。


■必死の攻防■

 アワせた瞬間に「ズドンッ!」と衝撃が伝わり、大マサ・サイズと確信して慎重かつ大胆にやり取りを開始する。このあたりは前回~今回の釣行で何度も予行演習済みなため、大きく慌てることはなかった。
 このクラス相手では、ハナから中型電動リールの巻き上げは止まりがちになるので、リールのドラグはキツ目の設定、アクセルレバーはフルスピードにしたまま、左手で竿を立てたままで保持し、右手で道糸を掴んでリール側に送り込む“引き抜き”で強烈なファースト・ランに応戦する。やり取りの初期段階は「やるかやられるか」のバトルだ。(と、カッコイイことを言っているが、ボクの場合は近頃ヘマが多くて、バラす確率が高いのだが…。)
 ファーストランをしのいだ後は、重量感はあるものの、大きく暴れることなく70mまでは巻き上げに対して比較的素直についきてきてくれた。しかし、相手はここから再び本領発揮で、いとも簡単にドラグを滑らせ、10m単位でリールから道糸を引き出してゆく。

 「押さば引け、引かば押せ」の攻防が何度かあった末、ようやく足下の水深60mに対する一応の安全距離である、カウンター読みで50mまでの引き寄せに成功する。(道糸50m+ハリス6m+斜めに道糸が出ている分の余裕-魚が疾走する距離と道糸の伸び(計10mほど)=安全距離は50mほど)
 ここからは最終段階である手手繰りでの攻防に備えて、更に相手を弱らせる。具体的には少しドラグを緩めておき、相手が走れば海底に届かない程度の距離まで“走らせては巻き上げ”を繰り返すのだが、こちらとしては、「ハリ穴が広がって外れてしまわないか?」と心配になる場面だ。

 「充分弱らせた。」と思い、船長に「そろそろ引き上げようか?」と声を掛けてから、サルカンが見えるあたりまで距離を詰める。
 この時点で、船長から「デカイよ、これは、メーターあるかも?」との声が上がり、こちらもほくそ笑みつつ、「ここで手手繰りする船長にバトンタッチ。」と思いきや、またもや相手のパワーが復活する。
 ここで一旦はサルカンを掴んだ船長だったが、まだ弱り切っていないヒラマサが、船下を抜けて反対方向に走ったことを受けて、「手を離すよ。」との声が上がった。
 こんな場合に備えて、ボクはいつもリールのドラグを緩め、なおかつリールのクラッチはオフにして右手親指でスプールを押さえながら、竿先を水面近くに保持して構えている。これは道糸が短く巻き取られた段階になると伸びしろが減ってショック吸収力が充分ではないため、急な走りでハリスが飛ぶ確率が上がるからだ。そしてなおかつ、船長には「ヤバかったら、いつでも糸を離してOK。」と声を掛けることで、意思疎通を図っているのだ。

●ここからが、言うことを聞かない●

 そして再びボクとヒラマサの船下での攻防が始まった。
 一旦、元ガイドの近くまで海中に竿を突っ込んで船底との距離を取り、「その昔にやった、タイコリールでのチヌ釣り」の要領で、右手親指の押さえ加減で走りを制御しながら、走りが緩んだ時点でクラッチをオンし、竿が伸されないように踏ん張っていると竿の反発力に魚が負けて、竿先から円を描くように船下を回り始める。
 次いで船下から魚が出たのを確認したら、テンションを掛けながら竿を水平やや上に保持し直し、魚が向かう方向に竿先を向けながら頭を浮かせにかかる。これは「引かれる方向とは逆に向かう、魚の性質」を利用した竿さばきで、これを使うと魚は8の字を描きながら上がってくるのだ。(これは磯のグレ釣りで勉強した成果でアリマス!。)
 これで船長が再びサルカンを掴む迄に至ったのだが、またもや反対方向に走って同じ動作の繰り返しになった。いつ何処でハリスが根ズレを起こしているかも知れず、慎重にならざるを得ないのだが、この動作が少なくとも5~6回続いたうえ、バッテリーケースを右手に持ち、左手で竿を持って右舷から左舷、左舷から右舷への移動も伴ったので、こちらもヘロヘロになる。

 船際での何度もの攻防が続いた末、ヒラマサがバランスを崩して横向きに泳ぎ始めたのを確認した後、船長が一気にネットイン!。
 「昨年に続くメーター級か?」と、一旦は腰が浮くほど喜びそうになったが、僅かに2cm足りない98cmだった。(スケールと同じ、キビシ目の採寸法)
 しかしながら、鷹巣沖では大金星サイズであるうえ、長い釣り人生で出会った秋ヒラマサの中では“一番のファイト賞”をあげたい程の、価値ある1本だった。

●98cm!の大マサ●

 勿論、この魚の後は時間切れでアウト。強まる風と雨の中、退散するように帰港した。


■縁起の良い八並び■

 玄達瀬への釣行以来、釣果はポツポツと得ているが、心理的には苦しみ抜いての結果ばかりなので、一度くらいは思い通りに展開して、“スカッと連発!”となる日が来ることを願っている。そんな中にあって、ここ2回の釣行では、前回が、88cm、今回が68、78、98cmで、「八並び」が成立している。これは、今後の釣果が「末広がり」になるお告げなのだろうか?。
 そんな日が来ることを願って、これから先は、鷹巣沖のヒラマサと平行して舞鶴沖も攻めてゆく予定だ。

来週は、大型連休のため休刊します。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鷹巣沖で再スタート

2015-09-12 12:30:00 | 船釣り・釣行記
■鷹巣沖へ転進■

 以前であれば玄達瀬の釣りが禁漁になると、秋の回遊が始まるまでの間はヒラマサ狙いを一旦休止していたのだが、昨年の晩夏に福井県鷹巣沖でメーターオーバーをゲットして以来、ボクの心中ではこの時期の居着きヒラマサ狙いは定番化しつつある。
 今年も計画通りに玄達瀬から鷹巣沖へと転進し、いつもの晴海丸さんに乗り込んだ。
 現地に持ち込んだタックルは、ボクにとってはミディアム・タックルであるところの、7号道糸+8号ハリスとそれに合わせた竿&リールで、他船の釣り人に比べて一回り太いタックルだが、ボクの経験では鷹巣沖であっても、この程度であれば食いは落ちないことを知っているが故のセレクトだ。

●ミディアム・タックル●

 出港地からほど近いエリアだけにポイントには15分程度で到着してアンカーリング。この日の釣りが始まった。

■遅い二枚潮■

 早速の一流し。前回が玄達瀬での釣りだっただけに、その落差はある程度覚悟していたが、100mを流し終えるのに16分程もかかってしまう、かなり遅い潮だった。そしてその影響で魚の食い気が下がるような気配がプンプンと漂っていた。
 とりあえずは、発泡ウキのサイズは7号とし、それで様子を伺うことにしたが、一旦は風に押された表層の潮に乗って船尾から離れてゆくが、中層に入ると手前に戻ってくるような二枚潮で、底潮の動きも殆ど無いようだった。
 様子伺いの投入を繰り返すこと数投目、道糸がスルスルッと走ったかのように見えたため、試しにスプールを押さえてみると生命感が伝わってきた。糸フケが出ているので、道糸を高速で巻き取りながらアワセを入れてみたが、締め込むこと数秒でハリ外れが起こってしまった。
 相手は恐らく口の硬い魚=マダイであったと思うが、これで普通の流しでは攻略できないことを悟り、以後は対策した流しを開始することにした。
 その対策とは、表層の流れを早く突破させるため、手で送り出す距離を長めの30mとし、それが馴染んでリールのスプールが逆転を開始したら、そのまま流してゆく。これが第一段階で、第二段階は、足下の水深が60mだったので、45mまで道糸が出た時点で30秒間スプールの逆転を止めてから再び流してゆくといったモノだった。
 驚くことに、このパターンで流し始めた一投目で道糸がビュンッ!と走り、続くアワセもピタリと決まった。

●策が当たった!●

 水深は浅めなので、グイグイと走って執拗に締め込むため、始めは中マサクラスかと思ったが、後半に脱力して竿を叩き始めたため、相手がマダイであることを確信し、その通りの魚を無事ゲットできた。

●68cmのマダイ●

 しかし、船内の全員にマダイがアタって以降、続く魚もなかったことから、船長判断でアンカ一の修正を行うことになった。

■ヒラマサ登場■

 アンカー位置が変わったものの、ほぼ同じポイントを攻めることになるのだが、発泡ウキが7番1個のままではサシエサが残るようになっていた。何度流しても変化はなく、周りの様子を見ても同様で、これをヒラマサが近寄った合図ととるのか、タナボケなのか判断を迷ったが、「先回り」がボクの信条だ。送り出す道糸の距離は30mのままだが、発泡ウキを外して仕掛の浮力は無しとして、流すパターンも少し変えてみることにした。
 具体的には、55mまで道糸が出た時点でスプールの逆転を1分間一旦停止させ、ある程度の仕掛の張りを待ち、その後、道糸の送りを再開させるといったパターンだが、足下の水深が60m、ハリスの長さが6mなので、糸フケが少ない状態でサシエサが底付近に落ちてゆくイメージで流すことにした。
 そしてこの流しのイメージがハマッて、64m付近でこれまでとは明らかに違う、「ビューンッ!」と唸りを上げた急速逆転が起こり、親指で押さえた後にクラッチをオン。ここからやり取りが始まった。
 後ろから船長の「デカイぞ!」の声がかかりつつ、賢明に巻き取りを開始した。しかし、ここでいつものトラブルが始まった。先程のマダイを中マサと勘違いした時点で、ややドラグを緩めていたため、ズルズルと道糸が出ていく一方で、一向に巻けないのだ。慌ててドラグを締め直したが、今度は強烈な引きにモーターの巻き上げ力が間に合わず停止状態になった。そこで、左手で竿の角度を保ったままにしておきながら、右手で道糸を掴んで引っ張り込む“糸抜き”で応戦をすることにした。しかし、これが決まって数m巻けたと思った瞬間、フッと抵抗感が無くなってしまったのだ…。
 ミディアム・タックルでは、これまでの玄達瀬でのヘビー・タックルとは違って、大型魚が掛かると引き具合に応じた釣り人側の工夫が必要になるのだが、バラシの原因は、一連の動作がぎこちなく、相手に隙を見せてしまったが故に起こった根ズレである。
 しかも、仕掛を回収してビックリさせられた。何と、先バリが根ズレで飛んでいたのは当然として、途中に編み付けていたエダスがサルカン部までズリ上がって、ハリが無くなっていたのだ。
 これは想像するに、ボクがモタモタしている隙に、先バリに食いついた大型のヒラマサが根に向かって全力疾走し、その際に枝バリが根に引っ掛かり、それをズリ上げたうえで枝とメインのハリスの両方を根で擦って切っていったと言うことになる。
 エダスの網付け回数は60回(30往復)としているため、これまでの経験ではズレを感じたことすらなかったのだが、恐るべきパワーである…。バラしておいてこう言うのは説得力はないのかも知れないが、網付けですらこうなることもあるのに、普通の結びやビーズを使った仕掛ではどんな目に合うか想像がつくだろう。

 何はともあれ、今年も大型のヒラマサが居ることに確信を持ったのだが、玄達瀬での釣り以来、単発続きなため、悔やむことしきりで、「次はもうないだろう」と、意気消沈していた。
 とにかくアタリがあったことは事実なので、気を取り直して当然先程と同じパターンの流しを再開した。
 この流しではカウンター64mではアタリがないままに素通りし、いつものパターンで「あ~あ」となった。ところが78mを指したところで、またもや「ビューンッ!」が始まった。近頃にはないラッキーな連発だ。
 「今度は逃がすまい!」と、とにかく頭をこちらに向けるため、まずはキツ目に締めたドラグを頼りに、初期段階ではやや強引な巻き上げで臨んだが、いくらか巻き取った時点でリールの巻き上げが停止した。しかし、このあたりは前回で予行演習済みなので、糸抜きにも即座に対応して初期段階はスムーズかつ、こちらに有利な体勢のままででやり取りすることが出来た。
 ここから徐々に距離が詰まってくるが、水深分の60mを切った辺りから、今度は少しドラグを緩めて力をそいでゆく。
 
●船下での攻防●

 そして、ここからはあまり竿を立てずにじっくりと時間を掛けて「押さば引け、引かば押せ」の要領で引き寄せ、手手繰りをする船長へバトンタッチするまでの間、更に相手を弱らせる。

 余談だが、ここで一言言っておこう。
 魚が真下に来た段階でも竿を立てている釣人をよく見かけるが、これは「早く魚が見たいという心理が働くから」だと聞いたことがある。実はこの行為、魚に泳ぐ力が残った状態であれば、引っ張られる方向とは逆に向かう性質上、竿を立てれば立てる程下に潜ろうとするため、逆効果なのだ。それに道糸との角度がかなり鋭角になって、竿の弾力が死ぬことと、一箇所に力が掛かりやすくなって竿が折れ易くなる他、船釣りの場合は船体への擦れ、スクリューや舵への巻き付きが起き易くなるといった弊害もある。したがって、そこでのやり取りは「海面と平行よりやや上の角度で突き出す」が正解になる。そうすれば自ずと道糸と竿が作る角度が竿の弾力が一番生きてショック吸収力を発揮すると言われる、90度よりやや鋭角程度になり、船底との距離もとれて擦れも回避できるのだ。(更に余談だが、船底を越えて反対側に走った場合は、海中に竿を突っ込むといった作業も必要になる。)

 それはさておき、その後は無事にネットイン。鷹巣沖としては上出来の88cmだったが、ハリスを確認すると、根ズレで半分程度の細さになっており、ヒヤヒヤ物の1本だった。

●88cm!●


 ヒラマサをなんとか1本獲った後は、3連発目のアタリに期待したが、短時間で時合いは過ぎたようで、その後はまるで火が消えたように何事も起こらなかった。不思議なことに、それと共にエサ盗りの気配も消え、晩夏の高水温時とは思えぬ状態になった。
 それでも懸命にタナを探り続けたが、何をやっても無反応のままに納竿時間を迎えた。


■今年も健在なり■

 当日釣ったヒラマサは玄達瀬や、春の経ヶ岬沖でも釣り続けているサイズだが、玄達瀬ではヘその上位クラスを狙ってビー~エクストラ・ヘビ-・タックルを使用しているから、道具のパワーの方が勝っているし、春先のヒラマサの引きはピーク時の2割引程度になるので、この時期の鷹巣沖に居る個体が一番パワフルに感じる。この感覚は毎年同様なので、このクラスを完全フカセ釣りで狙うのであれば、晩夏~初秋の鷹巣沖がボク的には一番エキサイトするのだ。
 居着きの良型はいつまで釣れ続くか判らないが、それが途絶えたとしても50~60cmクラスの回遊は既に始まっていて、それ専門に狙った船であれば二桁釣果が出ている。ボクとしてはそのサイズは狙わないが、いずれにせよ今秋の鷹巣沖に関してはヒラマサは豊富なようなので、しばらくは攻め続けるつもりだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

完全フカセ・竿の話(その2)

2015-09-05 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
前回から続く

■対応ハリス、10号以上クラス■

 以下は使用ハリスが10号以上で、玄達瀬スペシャルとも言うべきクラスの竿だ。
 残念ながら、このクラスの現行品には磯竿調子の船竿は存在しないし、「完全フカセ専用」と謳うモデルも存在しないため、新品が欲しければボリュームゾーンである、2.5m以下の青物対応竿以外に選択肢は殆ど無い。
 2.5m以下の、短い竿のメリットは竿が起こしやすいため、相手の頭がこっちに向いた場合に引き寄せが楽になるが、いざという時の“曲がりしろ”が少ない分だけタメが効かないというデメリットがある。長い竿はその逆で、瀬際の糸が出せない状態での攻防でタメが効くことや船下での攻防時にスクリューや舵といった障害物との距離がとれるというメリットがあるが、強烈な引きに対して竿の角度を保持することに疲れてしまうというデメリットがあるので、長短を好みや用途で選べれば有り難いのだが、無い物ねだりは出来ないのが現状だ。
 ボクは選択肢を広げるために、現行~1世代前あたりの青物対応竿を物色し続けているが、このクラスのメインになる調子は6:4とはいうものの、実際には少し負荷を掛けると踏ん張らずに5:5調子になる竿が殆どで、好みに合わないモノが相変わらず多い。だから、今のところベターはあってもベストはないと思っている。
 (※以下で触れる竿の多くが1世代以上前の竿なので、当然今ではモデルチェンジしているが、メーカーの指向は劇的に変わっていないし、オモリ負荷や適合ハリスを参考にすれば現行製品から選ぶ際にも、ある程度の目安になるだろうから、ボクの竿選びが参考になれば幸いだ。)

 そんな中、マズ手始めに選んだのは、昨年118cmのヒラマサを獲った、旧モデルのダイワ・リーディング-X ゴウマン 240Hという竿だった。(以下GOUMAN H240)適合ハリスは30号まで、オモリ負荷は250までという剛竿だったが、このクラスにもなると、6:4調子そのままで硬くなっていて、玄達瀬での10~12号ハリスには、ややオーバースペックのように感じていた。実際に下の写真が118cmのヒラマサを掛けたシーンだが、胴部があまり曲がり込んでいない様子が見て取れると思う。

●GOUMAN H240 Vs. 118cmのヒラマサ●

 実は118cmを掛ける前に、それ以上のサイズであろう、ヒラマサを掛けていたのだが、一瞬のうちに12号ハリスが飛ばされている。それを「竿が硬すぎるからだ。」と竿に責任転嫁した結果、次に手に入れたのが、それよりも一段柔らかい、ダイワ・リーディング-X ゴウイン 265Hという竿だった。(以下GOUIN H265)
 この竿は以前、晴海丸船長お薦めだった竿でもあるし、適合ハリスは20号まで、オモリ負荷は200なので、スペック上は全く問題はない。そして実際に65cm級のマダイが竿を曲げたところは下写真になる。

●GOUIN H265 Vs. 65cmのマダイ●

 写真を見れば、曲がりとしては綺麗に円を描いて、良いように見えるが、掛けた本人からすると、元ガイドのすぐ前に支点があるように思え、曲がりすぎて余裕がないように感じているのだ。
 次いで下写真は85cmのヒラマサが同じ竿を曲げるシーンだが、不思議なことに引きが弱いハズのマダイが曲げる様子とあまり変わらない。

●GOUIN H265 Vs. 85cmのヒラマサ●

 竿を持っている本人も「曲がりすぎてどこか頼りない」と思っていたが、もしかすると、この手の竿の良さは「スイッとすぐに胴まで曲がって、そこから粘る」ところにあるのかも知れない。船長の意見も実際にそうなのだが、結局はボクの好みに合わなかった。

 そんな紆余曲折の結果、「ゴウインとゴウマンの中間があれば…。」と思っていた頃、とある釣具店で出会ったのが、アルファタックル社のスフィンクス・ヴァーサタイル 253(以下スフィンクス 253)という竿だった。
 この竿、カタログスペック上も適合ハリスは30号まで、オモリ負荷は200までなので、丁度ゴウインとゴウマンの中間になるし、メーカー基準の調子は7:3で、実物を店頭で曲げてみた印象もボク好みだった。
 実釣ではマダイの65cm程度なら、7:3の支点で受け止めるような印象で、その様子が下写真になる。

●スフィンクス 253 Vs. 65cmの真鯛●

 そして、マダイよりも強い引きの良型ヒラマサが掛かった曲がりが下写真だ。

●スフィンクス 253 Vs. 84cmのヒラマサ●

 この時の印象は、7:3の支点からジワジワと曲がり込んでゆくといった感じで、これはこの竿がグラス素材中心の、肉の厚い構造で作られていることからくる良さだと思う。そして、そこから更に曲がり込んだ後にブレンドしたカーボンの金属的な張りが出て、竿の“起こし”が期待できるイメージだが、残念ながら今年の玄達瀬ではメーターオーバーを掛けていないので、実釣での感想ではないことをことわっておく。
 この竿の欠点はグラス素材+金属バットのためズシリと重いところが第一になり、その影響で手に持ってやり取りする最中に軽快感が出ないところが不満になる。


■長竿の必要性と、その現状■

 玄達瀬への釣行でもボクは乗合船を利用しているが、通常定員が3人となるため、潮上側の釣り人は、オマツリ防止のために、長めの竿を用意した方が良い。そのためボクは、かなり古いモデルの、ヒラマサ用の100号、3.9mを釣行時に持ち込んでいる。

●レオアーク・ヒラマサ 100号 390 Vs. 88cmのヒラマサ●

 100号竿とは言え、ヒラマサ対応を全面に謳っているだけあって、通常の100号表示とは胴の粘り具合が違って、6:4の支点からジワジワと曲がり込んでゆくといった感じで、一応は気に入っている。
 では、「一般的な100号の胴調子竿を使うとどうなるか?。」だが、下写真が65cmのマダイを掛けた際のそれで、

●KAIKOU 100号 3.6m Vs. 65cmのマダイ●

80号表示の同じ竿よりは幾分マシだが、6:4調子のハズが、魚が掛かればすぐに5:5調子になってしまうところは変わらない。
 同じ竿で、そこそこサイズのヒラマサを掛けた場合は下写真

●KAIKOU 100号 3.6m Vs. 75cmのヒラマサ●

のようになって、元部の復元力に余裕が減って来る。写真を撮った同日に結局はハリ外れでバラしたものの、感触からは軽くメーターを超えるヒラマサを掛けたが、その際に竿が曲がり込んでからの“起こし”は期待できなかった。
 残念なことに、現在、釣具店の店頭に並ぶ長尺の胴調子竿も手にとって曲げてみる限り同じような感触で、100号オモリを背負える設計はされていても、ヒラマサ竿としての備えがあるように思えない。恐らくヒラマサが掛かればいずれもこんな感じになってしまうだろうから、少なくともボクのような竿が好みの釣り人にとっては、新品での長尺竿選びが困難になっているのが現状だ。

 そんなこんなで、現状では何とかベターな竿には出会ったと思っているが、玄達瀬で使う竿のベストを言うのなら、やはり、素材はモタッとするグラス素材がメインより、スタンディング・ファイトや取り回し時に楽になるシャープで軽量なカーボン素材がメインであって欲しい。その上で、磯竿規格で言うところの、ヒラマサ対応で5号程度、適応ハリスで言えば、10~12号で一番性能を発揮する硬さの7:3調子、長さは潮上対応の3.5m前後の竿の登場が待たれるが、そんなニーズは殆ど無いだろうから、そんな竿を手にすることは夢のまた夢だろう。


■好みは色々あるけれど…■

 一般釣り師のボクが設計段階の話なんて出来るはずもないので、これまで2回にわたって記したのは、あくまでもボクが現場で得た使用感と釣具店の店頭で手に取って曲げた感想だ。釣り人のスタイルはそれぞれで、好みもあるが、例えば胴まで簡単に曲がり込んでしまう竿であっても、電動リールをウマく操作して大型ヒラマサを獲る釣法もあるから、全てで「一概には言えない」点があることを理解していて欲しい。
 しかしボクが度々触れている、磯竿のような胴部の“起こし”は、ヒラマサに対抗する手段がリールのドラグ以外に一つ増えるワケだから、取り込みに余裕が生まれてくるハズだ。特に、最近の舞鶴辺りで流行り始めている、手巻きのイシダイリールを使った釣りでは電動リールとは違って常に巻き続けることができないために、竿で踏ん張らなくてはイケナイ時間帯が必ず増える。そんな時に、この手の竿が持つ“起こし”が生きてくることは間違いないので、特にオススメしておきたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする