6月23日に行なった区との懇談では、要望書の要望項目3に記載した「有償で預けて2ヵ月以上働いている場合」の2点の加点についての話に多くの時間が割かれました。新制度の考え方の根幹の部分に関わることなので、この点だけ前ページと分けて詳しく報告させていただきます。
< 加点がなくなる!? >
足立区で保育園の申請をしたことがある方はご存知のとおり、認可外保育サービスを利用して待機している方には、認可申請時に2点の加点がつきます。
しかし、この2点がなくなるかもしれない、という話を区の窓口からも聞いたという保護者からの話が数件ありました。私たちが行なった保活交流会でも、認可外に預けて認可への転園待ちをしている方たちの間で、動揺が走りました。そこでこの2点をなくさないでほしいと要望書に盛り込み、直接たしかめてみました。
懇談で区の担当者は、「突然特定の条件の方が不利にはならないように、ポイントを急に変えるようなことはしない」と言いつつ、基本的な考えを教えてくれました。それは、新制度では、小規模保育も家庭的保育事業(保育ママ)も認可保育園と同等の位置づけになるので、この2つのサービスを利用している方への2点加点という考え方は必要なくなる、ということでした。
そうでした…。たしかに、新制度では小規模保育や保育ママは、法律上は認可保育園と同等になります(運営費への補助も国からおりてきます)。だから、小規模保育や保育ママから認可保育園に移るときは、認可保育園から別の認可保育園に移る場合と同等とみなされ、加点がつなかくなる可能性があるのです。簡単にいうと、認可保育園じゃなくてもいいじゃないか、ということです。国や自治体にとっては、なんらかのサービスが受けていれば責任を果たしている、ということになってしまいます。
新制度のこの考え方について、懇談者やMLでつながっている保護者の方たちに驚きが広がりました。保護者からすれば、安心できる保育士配置基準などがととのった保育を受けさせたいですし、いったん小規模保育や保育ママに預けたとしても、3歳以降に預けられる施設を探す保活は続きます。
なんらかのサービスを受けていれば国や自治体の責任はそれで終わり、では保護者は困ります。
なお、新制度の枠組みには入らない認証保育所の利用者については、加点が外されないそうです。ただし、認証保育所もいずれは、小規模保育や認可園に移行して新制度の枠内に入ってくることになるだろうと予想されています。いずれにせよ、どの施設を利用しているかで差がつかないように配慮してもらいたいものです。
< 「連携園」の構想 >
懇談で区の担当者は、「連携園」のことも教えてくれました。区は、新制度で小規模保育と保育ママの近隣に「連携園」を設け、優先的に転園できるようにしていくとのことです。もともとは国が、新制度のなかで考えていたことです。
そこで、「連携園」は新規でつくっていくのか尋ねたところ、需要の動向をみるといいつつ、既存の園で対応するとのことでした。。いま子どもがあふれている状況なので、結局、3歳から5歳まで通える施設をちゃんと作らないと、いまと変わりがなくなってしまいますよね、と皆さんから意見が出ました。
認定こども園や幼稚園での対応も考えているのでしょうが、足立区でもやはり、認定こども園は認可保育園より追加徴収が多く、料金が割高になることがわかっています。幼稚園の預かり保育も追加料金になります。認可保育園に入れなかった方が、こうしたところに入らざるを得なくなったとしたら、なんだか強制的に料金の高い施設に入れられるようで心配です。
いずれにしても、「連携園」の構想などもすぐに来年からできることではないので、課長さん方からは、利用調整の基準を急に変更するようなことはしない、とお答えをいただきました。もし急に変えられたら大変なことですね><;
しかし近い将来には、加点をなくして連携園で対応していくかたちになっていくものと思われます。
< 保育料について >
認可保育園の保育料についても変化があるかもしれません。認定こども園などと比べると割安になっているため、他と合わせるために料金を引き上げる可能性も考えられます。
また、新制度では認可保育園であっても追加徴収や実費負担を保育料とは別に保護者に求めることが可能になっています。そうした認可園が出てくるかもしれません。
そうした懸念から、要望書には、保育料のさらなる値上げはしないでほしい、と盛り込みました。保育料については、今月から始まる「利用者負担適正化審議会」で審議されるそうです。
< 問題点・待機児童のカウントは!? >
それにしても、認可保育園以外の保育サービスを受けながら、認可園への転園を待つ方にたいして加点がつかないという考えは、新制度の根幹に関わる部分だと思います。
これまでの現行制度では、国や自治体の責任を果たす施設の基本は認可保育園であり、認証保育所やその他のサービスはあくまでも例外的な措置という扱いでした。その中でも、認可保育園が十分につくられず、「認可外施設で対応する」と、いわば言い逃れのようなことが続き、保護者たちから「異議申し立て」の抗議行動が起こって大きな社会問題になるような事態でした。
小規模保育や保育ママも新たに国からの補助を受けることになり、それらのサービスについても国が一定の責任を負うことになります。認可保育園に入れなくてもこれらのサービスを受けていれば、行政側は、区や国の責任を果たしていると言えるようになりました。
これに連動して、待機児童のカウントの仕方がどうなるのかも心配です。
今でさえ、待機児童のカウントの仕方は、自治体によってあいまいになっています。もし新制度になって小規模保育や保育ママのサービスを受けていれば、認可保育園への転園待ちをしていても待機児童とみなされないことになってしまわないか、との懸念があります。
保護者としては、これまでのように希望しながらも認可保育園に入れない児童の数を、きちんと公表してもらいたいです。親のニーズに応える子育て政策を行なうためには、今後もこの実態の把握が必要だと考えます。
余談になりますが、国のこども子育て会議では、こどもと親にとって安心安全な保育の質を保てるように、予算の問題が大きく議論されていました。しかし、親や保育従事者、そして同会議が必要だと訴えた予算は配分されませんでした。
待機児童の問題、認可保育園が需要に見合うほどつくられてこなかった問題、そして保育事故の問題(保育環境の質の問題)にも、予算のことが大きく関係していると考えています。「お金がないんだから」ということをよく聞きますが、そもそも日本では他の先進国のように、こどもの保育や教育に十分な予算が充てられていません。国の予算をなるべく保育にかけないように考えるのでは、日本は子育てしにくい国のまま!?ということになってしまいます。
少子化を克服しなくてはいけない今の局面にあって、子育て政策への予算配分を充実させるよう、抜本的な対策を望みます。
文責:保育所つくってネットワーク
< 加点がなくなる!? >
足立区で保育園の申請をしたことがある方はご存知のとおり、認可外保育サービスを利用して待機している方には、認可申請時に2点の加点がつきます。
しかし、この2点がなくなるかもしれない、という話を区の窓口からも聞いたという保護者からの話が数件ありました。私たちが行なった保活交流会でも、認可外に預けて認可への転園待ちをしている方たちの間で、動揺が走りました。そこでこの2点をなくさないでほしいと要望書に盛り込み、直接たしかめてみました。
懇談で区の担当者は、「突然特定の条件の方が不利にはならないように、ポイントを急に変えるようなことはしない」と言いつつ、基本的な考えを教えてくれました。それは、新制度では、小規模保育も家庭的保育事業(保育ママ)も認可保育園と同等の位置づけになるので、この2つのサービスを利用している方への2点加点という考え方は必要なくなる、ということでした。
そうでした…。たしかに、新制度では小規模保育や保育ママは、法律上は認可保育園と同等になります(運営費への補助も国からおりてきます)。だから、小規模保育や保育ママから認可保育園に移るときは、認可保育園から別の認可保育園に移る場合と同等とみなされ、加点がつなかくなる可能性があるのです。簡単にいうと、認可保育園じゃなくてもいいじゃないか、ということです。国や自治体にとっては、なんらかのサービスが受けていれば責任を果たしている、ということになってしまいます。
新制度のこの考え方について、懇談者やMLでつながっている保護者の方たちに驚きが広がりました。保護者からすれば、安心できる保育士配置基準などがととのった保育を受けさせたいですし、いったん小規模保育や保育ママに預けたとしても、3歳以降に預けられる施設を探す保活は続きます。
なんらかのサービスを受けていれば国や自治体の責任はそれで終わり、では保護者は困ります。
なお、新制度の枠組みには入らない認証保育所の利用者については、加点が外されないそうです。ただし、認証保育所もいずれは、小規模保育や認可園に移行して新制度の枠内に入ってくることになるだろうと予想されています。いずれにせよ、どの施設を利用しているかで差がつかないように配慮してもらいたいものです。
< 「連携園」の構想 >
懇談で区の担当者は、「連携園」のことも教えてくれました。区は、新制度で小規模保育と保育ママの近隣に「連携園」を設け、優先的に転園できるようにしていくとのことです。もともとは国が、新制度のなかで考えていたことです。
そこで、「連携園」は新規でつくっていくのか尋ねたところ、需要の動向をみるといいつつ、既存の園で対応するとのことでした。。いま子どもがあふれている状況なので、結局、3歳から5歳まで通える施設をちゃんと作らないと、いまと変わりがなくなってしまいますよね、と皆さんから意見が出ました。
認定こども園や幼稚園での対応も考えているのでしょうが、足立区でもやはり、認定こども園は認可保育園より追加徴収が多く、料金が割高になることがわかっています。幼稚園の預かり保育も追加料金になります。認可保育園に入れなかった方が、こうしたところに入らざるを得なくなったとしたら、なんだか強制的に料金の高い施設に入れられるようで心配です。
いずれにしても、「連携園」の構想などもすぐに来年からできることではないので、課長さん方からは、利用調整の基準を急に変更するようなことはしない、とお答えをいただきました。もし急に変えられたら大変なことですね><;
しかし近い将来には、加点をなくして連携園で対応していくかたちになっていくものと思われます。
< 保育料について >
認可保育園の保育料についても変化があるかもしれません。認定こども園などと比べると割安になっているため、他と合わせるために料金を引き上げる可能性も考えられます。
また、新制度では認可保育園であっても追加徴収や実費負担を保育料とは別に保護者に求めることが可能になっています。そうした認可園が出てくるかもしれません。
そうした懸念から、要望書には、保育料のさらなる値上げはしないでほしい、と盛り込みました。保育料については、今月から始まる「利用者負担適正化審議会」で審議されるそうです。
< 問題点・待機児童のカウントは!? >
それにしても、認可保育園以外の保育サービスを受けながら、認可園への転園を待つ方にたいして加点がつかないという考えは、新制度の根幹に関わる部分だと思います。
これまでの現行制度では、国や自治体の責任を果たす施設の基本は認可保育園であり、認証保育所やその他のサービスはあくまでも例外的な措置という扱いでした。その中でも、認可保育園が十分につくられず、「認可外施設で対応する」と、いわば言い逃れのようなことが続き、保護者たちから「異議申し立て」の抗議行動が起こって大きな社会問題になるような事態でした。
小規模保育や保育ママも新たに国からの補助を受けることになり、それらのサービスについても国が一定の責任を負うことになります。認可保育園に入れなくてもこれらのサービスを受けていれば、行政側は、区や国の責任を果たしていると言えるようになりました。
これに連動して、待機児童のカウントの仕方がどうなるのかも心配です。
今でさえ、待機児童のカウントの仕方は、自治体によってあいまいになっています。もし新制度になって小規模保育や保育ママのサービスを受けていれば、認可保育園への転園待ちをしていても待機児童とみなされないことになってしまわないか、との懸念があります。
保護者としては、これまでのように希望しながらも認可保育園に入れない児童の数を、きちんと公表してもらいたいです。親のニーズに応える子育て政策を行なうためには、今後もこの実態の把握が必要だと考えます。
余談になりますが、国のこども子育て会議では、こどもと親にとって安心安全な保育の質を保てるように、予算の問題が大きく議論されていました。しかし、親や保育従事者、そして同会議が必要だと訴えた予算は配分されませんでした。
待機児童の問題、認可保育園が需要に見合うほどつくられてこなかった問題、そして保育事故の問題(保育環境の質の問題)にも、予算のことが大きく関係していると考えています。「お金がないんだから」ということをよく聞きますが、そもそも日本では他の先進国のように、こどもの保育や教育に十分な予算が充てられていません。国の予算をなるべく保育にかけないように考えるのでは、日本は子育てしにくい国のまま!?ということになってしまいます。
少子化を克服しなくてはいけない今の局面にあって、子育て政策への予算配分を充実させるよう、抜本的な対策を望みます。
文責:保育所つくってネットワーク
保育園へ既に入園している方も毎年審査はあるのでしょうか?
そうなんです。認可保育園に在籍している方でも、新制度での要保育度の審査は毎年行われることになり、「長時間」か「短時間」の認定を受けることになります。
やり方としては今までどおり、園をとおして就労状況などの書類を提出することになると思われますので、手続きの仕方が大きく変わるわけではないのですが、あらたに区から「認定証」が届くことになります。
また、保育料の計算が今までの所得税ベースから、住民税ベースに変わるようなので、源泉徴収票の提出は必要なくなるようです。