銀河のサンマ

何でもあり

記憶の移動

2020-10-14 | ものかたり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

届いたダンボールを開けると野菜が詰まっていた。

1つ1つ手にとると、ふわっと記憶が移動するように遡っていく。

採ってい?と畑で祖父と茄子を下からのぞき、鋏で切った瞬間の香り。

芋ほり遠足で、土まみれになっても芋1つ掘れなくて泣いた日。

祖母が畑の南瓜を裏返すとナメクジがついていて叫んで逃げた私。

お土産の松茸を、どんな味やか?と家族で興味津々、囲って炙った日。

初めてマスカットを食べ、不思議な味と食感に笑った母と私。

大根葉に塩ふりすぎっ!と容赦なく叱られた日。

90で椎茸もつくりはじめたの?と驚いて庭裏へ走り見に行く私。

遡る記憶の感触、食感、嗅ぐ、体感、感情すべて巻かれ包まれる。

それはとても温かい。

さて記憶の移動から戻ってきた私は、俎板をおろしエプロンをつける。

糠漬けをしようかしら、と小茄子を手にとる。

有難くも調理でき、料理をする喜び溢れ、涙がぽつりと俎板へおちた。

 

 

 

 

 

 

※朝食風景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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