鑑三翁に学ぶ[死への準備教育]

内村鑑三翁の妻や娘の喪失体験に基づく「生と死の思想」の深化を「死への準備教育」の一環として探究してみたい。

[Ⅳ232] 日本人とか日本社会とか(12) / 畸形の司法社会

2023-04-14 08:22:36 | 生涯教育

ロシアがルハンスク及びドネツクにおいてジェノサイド行為が発生しているとの「虚偽」の主張を行いウクライナに対する軍事行動を行っているとして、2023年2月26日ウクライナ政府はロシアをICJ(国際司法裁判所)に提訴した。ウクライナの要請に基づき、ICJはロシアが2022年2月24日にウクライナの領域内で開始した軍事作戦を直ちに停止することを求める暫定措置命令を発出した。またウクライナで行われた戦争犯罪を捜査してきたICC(国際刑事裁判所)は3月17日、ロシアのプーチン大統領及び子どもの権利を担当する大統領全権代表に対して、戦争犯罪の疑いで逮捕状を発出した。ロシアが侵略したウクライナの地域からは多くの子どもたちがロシア側に拉致移送されているという確たる報告がある。聖書にも戦闘で敗走した国の子どもたちが占領国に移送される話があり、また第二次世界大戦終戦直前に連合国側に参戦したスターリンソ連には、60万人近くの日本の軍人が捕虜として極寒のシベリアに移送され苛酷な強制労働に従わされて多くの日本人が亡くなったが、これらは過去の話だけではなかった。今日日でも子どもたちを拉致して人口減少しているロシア極東地域に住まわせ洗脳教育を行い養子縁組を強要する国家があるのだ。20世紀に人権/自由/平等/博愛を学んだはずの人類と国家が、このような野蛮を平然と行うこと自体が信じ難い。巧妙なフェイク報道を繰り返しながら暴虐と殺戮を続けるプーチン大統領は立派な戦争犯罪人である。(写真はTV映像)

新聞切り抜き帳を何気なく見ていた。2020年9月21日の東京新聞では、大阪地検特捜部の検事による証拠改ざん発覚から10年が経過したことから、冤罪に巻き込まれた元厚生労働次官の村木敦子さんの取材記事を取り上げている。新聞のタイトルは村木さんの発言「検察は権力を抑制的に」として、その後も続いている冤罪を作りかねない検察権力の濫用に警告を発している。郵便不正事件にからんで村木さんは一連の不正に関与したとして逮捕されたが一貫して無罪を主張、その後共犯とされた部下らが自分たちの供述調書は検事のでっち上げだと証言したことから無罪になった。ところが一連の流れは検察の作ったストーリーに沿うように証拠を改ざんしたことが判明して、なんと担当検事が逮捕されたのである。つまり犯罪を断罪する側の検事が犯罪者となり逮捕されるという笑えない日本社会の現実。

村木さんの事案は「冤罪」そのものである。免田事件、袴田事件等々、真犯人に仕立て上げられ死刑判決を受けた事案がその後「冤罪」であったとされる事件も多い。「冤罪」に関する定期刊行物も発行されていたほど(現在は休刊)、警察・検察の姿勢が問題視される事案が多いことが伺える。

故安倍首相の”ヨイショ本”を書き安倍氏と親しかった元TBS山口某は、女性に対するレイプ犯として逮捕状が出されていたが、海外に出国する直前に逮捕状が握りつぶされた事案については先述した。当初の逮捕状の握りつぶしが、官邸から東京高検検事長を経由して警察庁長官、所轄警察署長へと命令が流れて実行されたのが事実だとされた。政権幹部の指示によって検察のトップが罪を逸失させるという司法検察の頽廃と堕落という”二権分立”となり果てた日本の民主主義の虚の姿である。しかしこの事件はその後裁判で被害女性の勝訴となる経過をたどった。

私の友人に弁護士など法曹関係者が何人かいる。数年前ある弁護士(都道府県弁護士会役職を歴任)と現今の法曹世界について議論を戦わしたことがある。彼が次のように話したことが忘れられない。

「多くの検察官の思念は人間《性悪説》以外の何物でもない。人間を《悪》として見れば、人間というものがほぼ理解できるというのが彼らの言い分だ」、また「裁判官の多くは世間の些事に驚くほど無知で無関心である」、そして彼らの判断基準は「万巻の判例集と厖大極まりない六法全書の中にしかない。人間の生命の息吹きや感情というものは限りなく排除されるのが”善”とされる世界である」、「法廷という場は、そこで正義か不正義かとか正か邪かを議論する場ではない、原告/被告にとっての相反する「利得」をいずれに得させるかを決定しようとする場である、だから検察官であろうが弁護士であろうが「勝利」にしか関心がない、だから「弁論」の立つ検察や弁護士が有利、どれほどの弁を弄し論破できるかが裁判勝利の分岐点となる」云々。

「正義」「不正義」に基づいた法廷弁論が展開されるわけではないという彼の言質が強く印象に残る。そして倫理感覚が麻痺していながら、風を送る機械のように騒がしく政治事案からタレントスキャンダルまで軽口をたたき、スラップ訴訟までしてゼニ亡者となり、世論に迎合し詭弁を弄する事に長けた弁護士出身のTVタレントや議員、自治体知事の顔を思い起こした。

友人の弁護士の話を聞いて「ホンマかいな」と感じたので、私はこれら検察官、裁判官諸氏の現実(彼らの仕事のプロセスや中身の詳細、彼らの生活観や生きざま)を何冊かの書籍を読んで追確認した。そして恐るべきことに友人の弁護士の言があながち間違ってはいない事を確認した。しかもこれらの書籍では、彼らのパーソナリティとしては「あまりに多くの犯罪に関わる判定を迫られているために機械的な判定マシンになり果てている」、「矛盾や二律背反、不条理、葛藤に懊悩することがなく、物事を哲理的に思考することがない」、「人生に飽き飽きして厭世的虚無的で倦んでいる」‥このような者が数多存在することを私は確信した。

黒の法衣をまとう裁判官もそれを剥げば「裸の王様」である。何のことはない、哲理的に見れば普通の人たちが有している道徳観念や倫理観が脆弱な「ただの人以下」で、特権意識だけは強烈で強欲でゼニ亡者が多いのが司法関係の者たちだ。いわば”畸形の社会”である。六法全書を食うほどして司法試験に合格、その後は只の人以下か強欲で世間常識を欠く”異様の者”なのではないか‥何とも哀しい現実である。元日本弁護士会会長で社会運動家でもある宇都宮健児氏が「弁護士というのは弱者のために仕事をする者」と記している。見識である。この言葉をゼニ亡者の司法関係者に聞かせたいものだ。

「偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。‥外側は人に正しく見えるが、内側は偽善と不法とでいっぱいである。」(マタイ福音書23章)この事は時代が下っても変わっていない。


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