私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

〝水〟に流された米中首脳会談~悩める胡錦涛国家主席

2005年09月04日 | 極東情勢(日本とその周辺)
今朝は小泉首相その他党首もフジ→NHK→テレ朝と大車輪の露出のようですが、私が中学生当時の中曽根内閣が土光臨時行政調査会会長を前面に推し立てて、三公社(国鉄、電電公社、専売公社)の民営化に年金大改革までやってのけたことを思うと、郵政一つでここまで大騒ぎというのも何だかなぁという気もいたします。「小平時代に比べて中国の指導者もセコい連中ばかりで・・・・」と小馬鹿にしてもいられませんね。(政治家のスケールという点での各国過去との定点比較も面白そうですが)

◆町村外相、緊急援助隊の派遣打診 米ハリケーン被害(産経)
◆米中首脳会談を延期 被害対策優先、国連総会時に開催(産経)

ハリケーン、カトリーナの被害は米国史上最大級の被害という様相を呈しつつあるようですが、視覚に訴える大国の無残な姿もさることながら、世界最大の大国に潜む病巣も露になったようで私自身大変衝撃的でした。
町村外相は2日、ライス国務長官に国際緊急援助隊を派遣する準備がある旨を電話で申し出たようですが、被害が長期化することが予想されていますし、99年の台湾中部大震災、昨年のスマトラ沖大震災への派遣実績を顧みても大変有効な人道支援でしょう。
さすがにこれだけの非常事態の最中ですから、5日から予定されていた米中首脳会談は延期されたようですが、ブッシュ大統領、胡錦涛国家主席共に重い課題を抱えての会談で難局は予想されましたし、中国側には国賓扱いでないという面子の問題もあっただけに、不謹慎ながら「恵みの雨」で延期となった野球の試合のような安堵感が多少なりとも双方にあるのではないでしょうか。

◆中国主席 抗日戦勝記念で平和主義強調へ 訪米意識?軍を掌握?(産経)
◆胡主席が靖国参拝牽制 抗日戦勝記念、中国政府大イベント(産経)
◆中国が米に500万ドルの支援表明、日本の10倍 : (読売)
◆中国:胡主席の訪米控え、軍縮白書を発表(毎日)
◆中国主席、抗日戦で国民党の功績評価・台湾独立派けん制(日経)
◆在京中国大使館で抗日60周年行事 日本側、閣僚欠席(朝日)

昨日は遊び呆けておりましたので、胡錦涛国家主席が軍服で登場したのか否かは未確認ですが、報道内容からは、主に(1)軍部、(2)日本、(3)米国、(4)台湾、という内外四方向に向けた胡氏の苦心がうかがえるような式典だったことがうかがえます。
胡氏の立場に立てば、全方位的に「平和主義、中国の平和台頭のアピール」を意図した式典だったのでしょう。5月にモスクワで行われた対独戦勝60周年記念式典での声明と比べても随分トーンダウンしています。この直後は北京に日本を始め各国の閣僚を招いて大々的にやろうという声もあがっていました。(王毅駐日大使は閣僚を呼んで断られたみたいですが、こいつも日本にいるんだからいい加減空気読んだらどうなのか・・・・)
日本に対しては、さすがに度が過ぎたという多少なりとも後ろめたい思いがあるのでしょうか。「侵略を美化する動きがある」とは小泉首相の靖国参拝への牽制と思われますが、「頼むから中国を刺激しないでくれないか」という哀願のようにも思えます。そうだとすれば騒いでおいて勝手な言い草ではありますが、反日色も驚くほど薄まっているのが感じられます。このところの中国側報道のトーンとの整合性も取れています。
米国に対しては、様々な側面から高まる一方の対中強硬論を和らげたいという一心に尽きるでしょう。唐突な軍縮白書のリリース、ハリケーンへの被災支援の申し出も、米中首脳会談前というタイムテーブルを意識したものだったと思われます。
(前者は夏休み最終日の宿題みたいなインチキ臭さが漂ってますし、後者も「八百屋の競り」じゃないんだから、とは思いますが、それなりに必至なんでしょう・・・・)
抗日戦争の主体が蒋介石率いる国民党であったという言及も目を引きます。もっとも、台湾へ逃れた当時の国府軍は、今や国民党の私兵ではなく中立化された近代的な防衛軍隊へと変貌を遂げましたし、台湾の大多数は当時日本人として連合国と戦っていた立場にありました。ですからこのアピールが台湾への世論に影響するかは疑問に思いますが、「共産党史観」を改めるというのは余程のことですね・・・・
記事中には「胡氏の軍掌握の表れなのか、訪米前のジェスチャーにすぎないのか」とありますが、私には軍と外面との板ばさみで苦悩する胡主席の苦悩が見えるようです。このところ相次いだ軍首脳の過激発言や、先日行われた中露軍事演習等を鑑みると、現段階で軍を掌握した上での発言とは取り難いと思います。その意味で「前門の虎に後門の狼」という胡氏の苦境はしばらく継続すると思われますし、中国の報道に関しては、指導部の意志なのか、軍の思惑の表れなのかの見極めが肝要と言えましょう。
後者にオーバーウェイトした報道が多いので、皆反応しているんですけどね・・・・

※写真・・・・天安門の人民解放軍兵士

台湾みたいに民主化→中立化とならない限りは脅威です。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
米も中も大変ですねぇ・・・・ (tsubamerailstar)
2005-09-05 12:13:14
>遊爺様、こちらこそ有難うございます。



>それにしても、世界一の軍容を誇る米国で、これだけ日にちが経過しても、水さえ届かない被災地があるのには驚きです。



そもそも米国が支援を貰う側に回るというのは、何だか幼少期から発想になかった気がしますよね。ご指摘の通り報道がリアルに視覚的に伝わってくるのも奇異な感があります。州兵が「外に取られて手薄だったのもあるのでしょうが、ちょっと日本の通例では想像しがたい光景が連発しています。

南部は足を運んだことがないのですが、南部テネシーと言えばミシシッピー川&トムソーヤのイメージでした。(汗)



何か中国にしろ米国にしろ、内憂外患という塩梅で大変ですね。いやはや・・・・



>左京様、こちらこそ私の適当な書き込みにコメント有難うございます。



まぁ、究極的には一党独裁共産主義国家の看板を下ろして貰わないと信用はできないですよね。

今日は池田内閣の「所得倍増計画」から40年目にあたりますが、戦後の日本も官僚&中央集権主導型でした。しかしながら昭和36年の時点で社会保障や生活保護等のセーフティネットが既に準備されていた点は注目に値します。

中国も小平改革開放路線から25年目ですが、そういう点は思いもよらなかったでしょうね。















返信する
TBありがとうございます (左京)
2005-09-04 21:27:48
tsubamerailstar さん、はじめまして。

私の拙いブログにTBなんてありがとうございます (つд⊂)



興味深く読ませていただきました。特に



>私には軍と外面との板ばさみで苦悩する胡主席の苦悩が見えるようです。



に関しては私もなんとなく感じていたことなので、文章力に自信があれば書きたかった・・・w 同感です(あ、遊爺さんと一緒だ)。



まぁ、そうかと言って同情する気は全くありませんけど。

我々としては、tsubamerailstar さんの仰るとおりあの国の動きの裏に何があるのかを「見極め」なければなりませんね。
返信する
Re: 〝水〟に流された米中首脳会談~悩める胡錦涛国家主席 (遊爺)
2005-09-04 18:39:36
tsubamerailstarさん、こんにちは。米中会談中止のTBをありがとうございました。タイトルは抜群ですね。



カテリーナの被害は、知れば知るほど規模の大きさ、米国の構造的(人種差別、貧富差)な根の深い課題を認識させられます。

それにしても、世界一の軍容を誇る米国で、これだけ日にちが経過しても、水さえ届かない被災地があるのには驚きです。最低の救援物資の配付や病人などの救出は、米軍のマニュアルに無いのか、マニュアルの範囲を超えた規模(日本の本州に匹敵する範囲)の所以なのか、出来ていないのが不思議です。

個人でも出来る支援はしなくてはと...。

 # 飲み水がないと訴える多くの人たちを、多くのマスコミが報道している(行くことが出来ている)のも不思議です。



>私には軍と外面との板ばさみで苦悩する胡主席の苦悩が見えるようです。



 同感です。少なくとも、六カ国会議をまとめようとし始めたころから、訪米を控えている今の時期までは、わたしでもそれが見え隠れするのが認識出来る程度にあらわになってきています。



>中国の報道に関しては、指導部の意志なのか、軍の思惑の表れなのかの見極めが肝要と言えましょう。



 御意。わたしも留意して見る様にしたいと思います。

返信する