私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

「江沢民選集」は反日ストーカー語録集?

2006年08月20日 | 極東情勢(日本とその周辺)
「中共の偽装下請けでもやっているのか?」と見紛うが如くマスコミ各社がかまびすしいので、お盆前後は直行便でお手軽に行けるグアムに〝退避〟したのですが、世捨て人状態からのリカバリーにはNHK「週刊こどもニュース」の「世の中まとめて一週間」のコーナーが大変参考になりました。子供向けということもあり、通常のニュースより「不偏性」という点では丁寧に作られているように思うのですが、終戦記念日前後のNHKは反日反米親中番組のオン・パレードだったそうで・・・・

◆江沢民氏「日本には歴史問題を終始強調」・文選で明らかに(日経)
◆<江沢民前中国主席>「台湾問題が最大の心配事だ」(毎日)

この江沢民の「歴史認識」と「対日姿勢」については、さもありなんといった感じで、改めて驚くような方は少なかったのではないかと思うのですが、90年代後半当時と現在を窺う意味では大変興味深く思いました。(この書籍の刊行自体は、上海閥の影響力というより江沢民晩年の回顧録的な意味合いが強いような印象を受けるのですが、中国の人民のウケはどうなんでしょうね?)
71年にキッシンジャー補佐官(当時)が訪中した際、周恩来は「米軍が順次撤退するのに代わって日本が台湾に進出することのないように」と念を押したそうですから「日本軍国主義」に対する中共側の警戒は元々根深いものがあったのでしょう。
96年の「日米安保共同宣言」では「日本周辺地域において発生しうる事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合における日米間の協力に関する研究」について言及されており、これが99年の「周辺事態法」の叩き台となりました。江沢民は「瓶の蓋」としての日米安保の変容に相当な警戒感を抱き、そうした日本の動きを封じ込める手段として「歴史問題を終始強調し、しかも永遠に言い続けなければならない」という指示を出したのでしょうが、朝鮮戦争以来台湾を「自らの『不沈空母』と見なしている」合衆国ではなく、日本を声高に批判しているのは現在に至るまで首尾一貫しているように思います。
昨年二月の「2プラス2」で日米の共同文書に初めて「台湾海峡」という文言が登場しましたが、その直後に起きた暴動の矛先も合衆国ではなく日本に向けられました。日本はまさにいい面の皮といったところでますが、中国としては「中華民族の復興に向けての臥薪嘗胆の段階」であるという認識に立っているのでしょう。軍事力、経済力、地域への影響力といった総合的な国力を蓄え、いよいよ合衆国に喧嘩売れる段になったら、太平洋の覇者になるべく第二列島線突破を目論んでくる可能性は極めて高いように思いますし、万が一米軍の防衛ラインがグアムまで後退する事態となれば合衆国にとっても危機的な状況が具現化するのは必至です。

私自身アンダーソン空軍基地を横目に見ながら、日本、台湾、フィリピンとグアムを結ぶエリアの戦略的な重要性を改めて痛感した(米軍は朝鮮半島から撤退しても日本という〝盾〟があるしなぁ・・・・)次第ですが、日本としては合衆国が中東に足を取られ極東へのリソースを十分に割けない事態も想定しておく必要があるでしょう。(大体メリケンはこの前も日本海に空母一隻位派遣してくれたらとブツブツ・・・・)軍事面だけに限らず、地域への関与のあり方等も多角的に見据えた対中抑止策が求められるところですが、その基盤となるものは正確な「現状認識」に立脚した戦略に他なりません。田中真紀子外相に始まり、靖国で突っ張って終焉を迎えつつある小泉内閣に明確な「対中戦略」というものが存在したとは言い難いように思います(米軍再編等は日本独自の動きではないですしねぇ・・・・)し、その辺が次期政権の課題でしょうか。
内政面でも靖国がボトルネックとなっている感は否めませんが、国論が二分しているような昨今の状況を鑑みると、追悼や運営のあり方等に関する性急な結論を出すよりは、むしろ〝暫定的〟に「権利を留保しつつ、行使しない」(J・ナイ元国務次官補が4月のCSISの講演でこんな表現をしたようですが)方向性も視野に入れつつ、国内的にはいったん沈静化を図る方が好ましいようにも思いました。ただしその場合でも「権利を留保」していること、即ちこの件は日本の内政問題であり、目下「どうあるべきか検討中」だという点を内外に明確に宣言するのが絶対条件でしょう。(基本的には個人の考え次第だと思うのですが・・・・)

閑話休題、この江沢民の銅像を日本全国に建立しようという構想を抱いていたとんでもない大馬鹿政治家がいたやに聞いておりますが、この記事に関するコメントを貰いに行ったマスコミは一社くらいあったのやら・・・・
60年以上前の戦争の悲惨さを語るのも大事ですが、冷戦の総括とポスト冷戦時代の概況を冷徹に見極める姿勢が総体的に欠落しているような印象も受けますね。


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6 コメント

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遊爺様、平凡会社員様 (tsubamerailstar)
2006-08-26 08:58:03
>遊爺様、平凡会社員様



何とも不透明なところではありますが、江沢民がくっちゃべった内容でも、共産党にとって都合がいい部分はしたたかに利用させていただこうという思惑はあるのでしょうね。

「調和の取れた持続可能な発展」という目標も、中共の体制が堅固であるというのが大前提ですからまぁ、食えない奴らだと思います。



>最後に自国を護るのは、自国の力(自衛隊、国境警備隊=海上保安庁)です。



麻生外相が日華平和条約等を例にあげ、「同盟や条約等は瑕疵がなくとも一方的に切られることもある」といったことを述べていましたが、日米同盟を強化してこっちのペースに巻き込む(クリントン時代のような好き勝手はさせない)とともに、メリケンが極東にリソースを割けなくなった場合にどうするのかを考えておかねばならないですね。

一つの試金石は北朝鮮の抑え方だと思うのですが、北朝鮮が再度暴発した際にボーっとしているようだと日本の世論は一気に硬化するようにも思います。日本海にイージス艦並べたりMD配備を前倒しするのも結構ですが、実際にそれが役に立たないと意味がないですからね。





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残暑お見舞い申し上げます! (tsubamerailstar)
2006-08-26 08:46:50
>tw_dot_com様、平凡会社員様



グアムはまぁ、日本人がイメージするリゾート地と申しますか、日本人と米軍基地で持っているような感じですね。福岡県に編入してもらえないでしょうか?(爆)

マメに動く人間を数名率いてコンドミニアムでも借りてボーっとするのがいいかもしれません。







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「江沢民選集」 (遊爺)
2006-08-25 23:43:35
 「江沢民選集」 そのものは古い(?)ものですね。

 江沢民から軍を含め実権を奪い取ったと思っていた胡錦濤が、ここにいたってと言うか、今更なぜというか、「江沢民選集」を絶賛する演説をしていることに不思議さを感じます。

 中国の、胡錦濤に対する抵抗勢力がしぶといのか、抵抗勢力に配慮せざるを得ない不安定かつ深刻なな国内事情があるのか...?



>米軍の防衛ラインがグアムまで後退する事態



 米国にとっては、米国の防衛の為の日米安保ですから、十分にあり得ることです。

  ブッシュ政権では、知日派が居なくなっているのですが、外交でも経済でも日本の必要性は低下しているとの見方があります。

 最後に自国を護るのは、自国の力(自衛隊、国境警備隊=海上保安庁)です。



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残暑お見舞い申し上げます (笹団子)
2006-08-24 23:07:11
ご無沙汰しています。



グアムは私もいつか行ってみたいと思っていました。

ビーチよりも米空軍西太平洋の拠点が見たいのですが・・・。



さて、江沢民の著作ですがきちんと翻訳して日本で出版すればいいと思います。 中共の現実がわかるからです。 ついでにCCTVの軍歌のビデオも反日映画も国内で放映すればなお良しです。
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残暑お見舞い申し上げます (平凡会社員)
2006-08-24 07:06:33
現在問題になっている「江沢民選集」や彼の「語録?」ですが、例えばこれを読まされた(あるいは聞かされた)として、日本人の私としては、嫌中感情が増し、上海に対する嫌悪の念がつのるだけなんですがねぇ・・・



何をやりたいんですか?胡錦濤政権は?



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残暑お見舞い申し上げます (tw_dot_com)
2006-08-23 01:15:30
残暑お見舞い申し上げます。グアム島"疎開"wは如何だったでしょうか?



どうも西日本から九州にかけて今年は台風の当たり年のようで大変みたいですが、政治の世界だけでなく地球環境も大波乱ですねといいますかこちらのほうがより深刻ですが。



>「中共の偽装下請けでもやっているのか?」と見紛うが如くマスコミ各社がかまびすしいので



中国の要人や報道官のスピーチをニュースなどで聞くと、NHKなどでは抑え気味といいますか、大分やわらかな表現になっていますが、中国語で直接聞きますと結構強烈な表現だったりしてムカつきますね。

「譴責」が「遺憾の意」になったりw
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