今年の我が家の米作りは2反余ほどの面積に12俵ほどだった。よくとれる人たちに比較すれば5、6割ほどだろうか。何より除草剤は弱め、そのほかの農薬はほとんど利用していない。何度も触れてきているように何より生き物が棲める環境を維持しながらの米作りである。以前「メダカ米」のことについて触れたことがある。“もう一度「メダカ米」”には、「メダカ米」という名称で販売している例をとりあげた。その実態がどういうものかは知らないが、我が家の米もまさに「メダカ米」であることに違いはないのだが、ブランド米として売り出すほどの収穫がない。自家消費で8割くらい消化してしまうから、売ったとしてもほんのわずかである。もう少し面積を耕作すれば、あるいは収量が多くなればそれも可能だが、といって「メダカ米」がそれほど価値あるかは何ともいえない。
我が家の米が「メダカ米」と呼べる要素はメダカの棲んでいるため池の水を使って耕作しているから、という理由である。以前触れた「生きものマーク米一覧」にある「メダカ米」と称しているそれらの要因がどういうものかは解からないが、この一覧を見るとさまざまな生き物を対象にした米が掲載されている。そもそもこの一覧は農林水産省政策研究所の2010年4月9日の報道発表資料に掲載されたもの。その後全国にはさらに同様の生きものマーク米が増加しているのかもしれないが、その報道発表「生物多様性保全に配慮した農産物生産の高付加価値化に関する研究」には次のような結論が書かれている。
① 話題性もあり一般的に認識されつつある生きものマーク米であるが、生産すれば必ずしも高く売れるわけではなく、生産から販路までの戦略的な取り組みが必要である。
② 具体的には、生きものマーク米の高付加価値化のためには、減農薬・減化学肥料や無農薬、有機栽培などの栽培上の差別化が必要である。これは、消費者への宣伝効果があるとともに、生産者に対し生きものマーク農産物の規格を明確化する手段としても有効である。
③ 生物多様性保全の取り組みについて消費者に広く知ってもらうことが米を高く買ってもらうことにつながっている。農業政策の視点からは、農業で行っている生きもの保全の取り組みやその意義を消費者に伝えることは、生きものマーク農産物の付加価値を高める上で効果がある。
ようは「生きものマーク米」といってもそれだけでは付加価値にはなりにくいということである。そこには減農薬や減科学肥料といった栽培上の差別化が必要となる。さまざまな要素を足しこまなければ、「生きもの」という要素が価値化しないというわけだ。さらには③に示されているように「生物多様性保全の取り組みについて消費者に広く知ってもらう」という活動も必要なわけで、このあたりが個人ではなかなかなせない業なのである。そういう意味でも地域でそれを高付加価値化するという意識がないと「難しい」ということになる。ということで地域に問題をたくさん孕んでいるような地域では容易ではないこと。メダカの棲むため池の水を利用して米作りをしている総面積は2ヘクタール近くあるだろうか。それらはいずれも「メダカ米」と称しても間違いではない。さらにため池にはゲンゴロウもいればタモロコもいる。ようは「ゲンゴロウ米」と称しても間違いでもない。下記の一覧は、「生きものマーク米一覧」をまとめたもの。広島県尾道市に「源五郎米」なるものもある。そもそもここにあげられた事例にも、ごくわずかな生産量しかきたいできないものも多い。そういう意味ではかなり少量でも、そうしたネーミングで広報していく価値はあるのかもしれない。
と考えはするものの、今年の新米は「美味しい」という印象を持てなかった。高温による味覚の低下とも考えられる。妻はなるべく冷やそうと水を掛けたのだが、掛け流すほど水量が豊富ではない。加えてため池の場合は、水温が高い。ようはこれからの米作りにため池の水は適していないとも言える。伊那谷でいえば、天竜川支流の用水量豊富な水利を要している地域が、米作りに適していると言えるのかもしれない。
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