
(ニュース その1)
民主・細野氏が訪中=日中対立打開が狙いか
民主党の細野豪志前幹事長代理が北京を訪れ、中国政府要人と会談したことが29日、分かった。尖閣諸島沖での海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件をきっかけに悪化した日中関係の改善に向け、菅直人首相からのメッセージを伝えたとみられる。 これに関連して民主党関係者は「細野氏は首相の特使として訪中した。首相の親書も携えているはずだ」と述べた。
(時事通信 9月29日(水)18時9分配信)
これは、究極の土下座外交である。中国の圧力に屈し拘束した漁船及び漁船員を無罪放免で帰国させた挙句、粛々と取り調べるはずの船長も釈放した。世界に日本の面目を失墜させ、国益を著しく損なった。恥を上塗りするような今回の謝罪特使の派遣は、何と無様なことか。日本人であることが恥ずかしい。侵入した強盗を捕らえたが、居直られ驚きふためき無罪放免で終わらせたと思い気きや強盗に詫びに行く始末。あいた口がふさがらないとはこのことだ。これぞ、無能な政治家が展開する”子供”外交の真骨頂だ。前原外相が関与していなければ、”前原つぶし”の動きの可能性がある。菅直人や仙石などは、政権を担う能力がないことを示した。即刻、内閣総辞職をすべきだ。国会が開かれる前から無能・無策を露呈するカラ菅内閣は、予算編成以前に行き詰まりそうだ。
(ニュース その2)
前原外相、尖閣衝突事件「悪質な事案、逮捕は当然」
前原誠司外相は9月28日午前の参院外交防衛委員会の閉会中審査で、尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件について「漁船が巡視船に体当たりしてきた。悪質な事案で沈没したかもしれない。逮捕は当然だ」との考えを示した。尖閣諸島については「東シナ海に領土問題は存在しない。我が国固有の領土だ」と重ねて強調した。
外相は海上保安庁が衝突の経緯を撮影したビデオを、海保を所管する国土交通相在任中に見た結果、漁船がカジを切って体当たりしており、故意に衝突させたことは明白だと指摘した。ビデオの公開については「船長は処分保留なので、ビデオは証拠物件として検察にある。刑事訴訟法に基づいて判断がなされるべきだ」と語った。
これに関連して、北沢俊美防衛相は9月28日午前「2国間がエスカレートしないよう、話し合いの機運を早急につくるべきだ」と述べた。今後の対応に関しては「官房長官のもとに関連各省が協議をする場を設けるべきだ」との考えを示した。尖閣諸島への自衛隊配備に関しては慎重な考えを表明した。首相官邸で記者団に語った。
(2010/9/28 11:06 情報元 日本経済新聞)
(ニュース その3)
尖閣の主権守る…外相「船長逮捕は当然」
参院外交防衛委員会(田中直紀委員長)は9月28日午前、尖閣諸島沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件などをテーマに閉会中審査を行った。 前原外相は、漁船が故意に海保の巡視船に衝突したと強調した。また、小川敏夫法務副大臣は、逮捕した中国人船長を「日中関係への配慮」などを理由に釈放した那覇地検の判断には問題がないとする考えを示した。 前原氏は「尖閣諸島は日本の領土で、主権をしっかり守っていく」としたうえで、衝突の様子を撮影した海上保安庁のビデオの内容を踏まえ、「中国漁船がかじをきって体当たりしてきた。故意ではなくミスなら、エンジンを逆回転して離れる措置をとるはずだが、そうした形跡はまったくない。公務執行妨害での逮捕は当然だ」と語った。
(2010年9月28日14時16分 読売新聞)
日米安保条約も国際連合も日本に味方しない
日米安保条約は、1942年1月1日の連合国宣言、1943年10月30日のモスクワで署名された4カ国宣言、1943年11月27日の「カイロ宣言」及び1945年7月26日の「ポツダム宣言」などの宣言と、この延長にある国際連合憲章の精神を基盤とした条約である。
そこを貫く精神は、憲章の冒頭の文章に“連合国”という文言があるように、“連合国”が作る世界秩序に日本が従うなら加盟を認めるということである。国際連合憲章第53条の2に「本条1で用いる敵国という語は、第二次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される」のであって、この条項によれば日本は、今も米中の“敵国”である。
「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」の第1条に「締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。」とある。
日本政府はこの条文に忠実に従うだろう。一方、中国は日本と正反対に、武力による威嚇又は武力の行使をためらわないであろう。温家宝の国連における演説は、日本に、その可能性があることを警告した。
国連憲章第33条は「いかなる紛争でもその継続が国際の平和及び安全の維持を危うくする虞れのあるものは、その当事者は、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法解決、地域的機関又は地域的取極めの利用その他当事者が選ぶ平和的手段によって解決を求めなければならない。」となっている。
尖閣諸島は日本の固有の領土であるが、中国・台湾が領有権を主張して以降も日本は、おおむねこの規定どおり対応してきた。寧ろ自民党政権は、中国や台湾の漁船等の跳梁に何ら手を打ってこなかったと言っても過言ではない。今や、武力衝突寸前の状況にある。
紛争の当事者は、国連憲章第33条に示す手段によって紛争を解決することができなかったときは、これを安全保障理事会に付託いなければならないが、日本が安全保障理事会に付託しても、中国は拒否権を持っているので中国に不利な解決策はまとまらない。
国連は各国が国益を追求する場である。国連加盟各国は、中国の無理難題に容易に屈服した日本よりも経済的・軍事的・政治的な大国に発展しつつある中国に靡くだろう。戦後の日本は、米中など連合国が形成した世界秩序がのもとで発展してきたが、米中は日本と戦った”連合国”の関係に回帰しつつあるように観察される。国連連合も日米安保条約も、日本有事に際して日本の防衛に貢献するという幻想は持つべきでない。
オバマ政権の寿命が尽きつつある
甘えのあとは日米の離間か
クリントン米国務長官は9月23日の日米外相会談で、尖閣諸島も日米安保条約の適用対象だと明言したが、オバマ大統領は菅首相との会談で「中国との協力関係は重要だ」とも語った。日中間の紛争に巻き込まれたくないとの姿勢が鮮明であった。
日米安保条約は、アメリカ軍の自動的参戦を規定したものではない。「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障上約」第5条は、「各締約国は、日本の施政下にある領域における、いずれか一方に対する攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」となっている。
世界的な大戦争ならこのような悠長な手続きを経て米国の支援を受けられるだろうが、尖閣諸島周辺には常時中国の艦船が遊弋し、漁船が操業し、いつでも中国の軍民は尖閣諸島占領の行動を開始できるような瞬時を争う状況下では、とても間に合わない。
辺境の小島を巡る争奪戦がアメリカの平和と安全に影響を及ぼすものではない。アメリカが日本のために戦う気は無い。尖閣諸島は現在、日本の「施政下」にあるからクリントン国務長官や国務省や国防省関係者が「安保条約が適用される」、「アメリカは役割を果たす」と言ったに過ぎない。中国の実効支配が確立すれば日米安保条約は適用しない。
(参考) 「自ら防衛する国を助ける」ゲーツ米国防長官、日本はどうする?2010年07月18日
肝心要のアメリカは、他国の防衛に関わる余裕が無い。アフガン戦争が泥沼と化しコーランの焼却問題が示すようにアメリカ国内でもキリスト教徒とイスラム教徒の対立が起きるようになった。戦線の縮小どころか、戦場がアメリカ本土へ飛び火した。この動きは、国論を分裂させアフガンへ派遣された軍人の継戦意欲を低下させる。アメリカは、負け戦に向かっている。
しかもオバマ政権は、経済・財政等でも成果を上げられず支持率が低下している。大統領選の1年前になればレームダックとなり、次の選挙で再選されそうにない。オバマ政権は、寿命が尽きつつある。次の政権が日中にどのように対応するのかも分からない。
当のアメリカは、普天間移設問題や思いやり予算の増額を目論んでいる。マスコミは全く報道しないが尖閣諸島の小競り合いは、日米同盟の重要性を印象付け日本のアメリカ離れを阻止するだけでなく、日本から金を毟り取る最良の機会である。年次改革要望書の軍事版である。アメリカ政府関係者の一連の発言は、日本から“対価”を引き出すためリップサービスに過ぎないと見るべきである。
中国は、尖閣諸島が中国の領土であると強硬な姿勢を内外に示している。温家宝も国連で、領土問題で日本に譲歩することも妥協することもな無いと強硬な姿勢を示した。中国は日本に圧力をかけ対立を長引かせながら、アメリカが武力介入しにくいように、巧妙に、徐々に尖閣諸島実効支配のための行動を移す可能性がある。これによって、アメリカは日本から金を毟り取るだけで日本の防衛に貢献しないことを日本国民に知らせることが出来る。長い眼で見れば日本の対米不信を増幅させ、日米の対立を助長し日米を離間させることが可能になる。尖閣諸島を巡る小競り合いは、アメリカだけでなく中国にとっても都合がよい。前原外相は、アメリカの煽てに乗らないほうがいい。甘えれば足をすくわれる。
孤立無援の日本が抵抗しても、中国軍に比べ自衛隊の敵の艦艇に対する打撃力は限定されたており、尖閣諸島防衛に動員できる戦力も著しく限定されている。自衛隊は、防衛予算が年々削減してきたツケで“張子のトラ”になってしまった。大東亜戦争における太平洋に浮かぶ島嶼の防衛は悉く失敗に終わった戦例をみれば、離島防衛は極めて困難であることが分かる。一端、敵の手に渡った離党を奪還するには敵に勝る数倍の戦力を投入しなければならない。
日本にその準備は全くない、戦う気もない。戦う前に負けている。守りたくても守れない。
在日米軍のグァム撤退に要する経費の分担
日本は、”逃げる”アメリカのためにアメリカより多額の経費を
負担する。しかも最終的には当初計画より増額が必至である。
日本に難癖をつけるのは中国だけではない。
自衛官に敬意を払う国民はいなかった
誰が、国を守るのか!
前原外相の言うことは、どれも正論、日本人として当然のことだ。だが、「尖閣諸島は日本の領土で、主権をしっかり守っていく」と言うが、どうやって守るのだろうか? 「わが国固有の領土」である尖閣諸島をいかにして、誰が「守る」のか。「戦ってでも守る」決意と行動が伴わなければ、尖閣諸島を武力を行使してでも支配下に置こうとする中国には何の意味も無い。
北沢防衛相が9月28日午前「2国間がエスカレートしないよう、話し合いの機運を早急につくるべきだ」と述べたが、国防担当の大臣が言う言葉ではない。外相や外務省の官僚が言えばいいことだ。国の防衛を担当する大臣は、「領土は断乎守る」と一言、言うだけでいい。これが言えなければ、辞職ればいい。北沢防衛相には領土・領海を守る堅い決意や覚悟が伺えない。有事に“軍”を統率する者としての資質を欠いている。
菅首相にいたっては、更にお粗末だ。菅首相は、自衛隊の最高指揮官であることを“勉強”するまで知らなかった。いいかえれば、首相になった以降も国防・安全保障に関心を持っていなかったのだ。国防や外交に関心が無い政治家は、市町村長か市町村議員にでもなればいい。
首相、防衛大臣がこの体たらくでは、現場を預かる自衛官にしてみれば、このような人物に「身の危険を顧みず専心職務に邁進せよ」と命令されても、とてもとても、その気にはなれまい。無駄死になる。
(参考) 戦略が無い国家“戦略室(局)” と ”反戦・反自衛隊”の防衛オンチの防衛大臣誕生! 2009年09月19日
中国、韓国は年々国防予算を増額してきたが日本は毎年削減してきた。周辺国の状況を省みず防衛予算を毎年、削減してきた。これによって日本は“戦う気は無い”と諸外国に表明したことになる。鳩山政権は、中期防衛力整備計画の策定を1年間先送りした。最近、防衛力整備のあり方について有識者から提言が出された。この提言を生かすのか、もし中国の圧力に屈して提言を生かさなければ中国の横暴な行動を助長するだろう。
しかも民主党政権は、国防・安全保障の門外漢に事業仕分けという“ストリップショー”で防衛関連予算を削減するという狂態を演じた。これでは、自衛隊は海外派遣など任務の増加にも関わらず欠員補充も装備の更新もできない。自衛隊は満身創痍、戦いたくても戦えない。
(参考) 来年度防衛予算10%削減で日本の防衛体制崩壊、それでも朝鮮学校を無償化する狂気 2010年08月28日
尖閣諸島を守るというならば、国会議員が“義勇兵”となって尖閣諸島の防衛にあたればいい。太平洋岸が温暖化現象で不漁というならばイージス艦の衝突事件で受けた損失を取り戻すべく、勝浦漁協の漁師に尖閣諸島に出向き、周辺海域の中国漁船を追い払いながら操業してもらったらいい。イージス艦による漁船との衝突事件では、多数の小型漁船がイージス艦の前を横切って漁場に殺到したのだろう。
これら漁師は、諸外国と違って国防に対する関心はさらさら無い。自衛艦に敬意を払うわけでもない。当時の首相福田康夫も浜田防衛大臣も漁民に、お詫びにつとめたが、自衛隊・自衛艦をマスコミと一緒になって悪者扱いをした。
イージス艦による漁船との衝突事件は裁判で係争中であり、漁船員が“死亡”したため真相が不明であるが、首相、大臣、マスコミ及び国民にいたるまで、国防に対する関心も国防の任に当たる者に対する配慮が全く無い。況や、自衛隊が国防をに担っているにもかかわらず、これに敬意を払うことなどさらさら無い。国も国民も自衛隊をバックアップすることも無い。国は、自衛官に国の防衛のためわが身を犠牲にして戦えと求める資格は無い。笑止千万だ!
中国は、徐々に実効支配に向けて次々と行動をエスカレートさせるだろうから、いっそのこと、この際、自衛官は全員、辞職したらいい。中国や北朝鮮に首相官邸や政党本部などにミサイルを撃ち込んでもらわないと政治家も国民も眼が醒めないようだ。菅政権は、米中に手玉に取られる”子供”外交に追われている。平和友好を掲げる中国に対する幻想もアメリカに対する甘えも禁物である。
いかにして領土を守るのか!前原外相にも北沢防衛相にも、誰が、いかにして尖閣諸島を守るのか教えてもらいたいものだ。