ガス田「白樺」に中国船
東シナ海 東シナ海のガス田開発問題で、日中両政府が昨年6月、日本企業が資本参加し共同開発することで合意した中国開発のガス田「白樺」に中国船が到着していることが11日、分かった。
複数の政府高官が明らかにした。出資比率など、共同開発に関する具体的事項を定めるまで開発は中断するとの合意のため、政府は掘削が確認できれば合意違反として抗議する方向で、事態を注視している。
ただ現時点では、自衛隊のP3C哨戒機が撮影した写真で掘削用ドリルなど開発再開のための機材は確認できておらず、情報収集と分析を急いでいる。政府高官によると、船は中国が建設した掘削作業用のプラットホームの修理や部品交換などのために来た可能性もあるため、慎重に対応を検討している。
中国政府が昨年6月の合意を具体化する交渉に応じないため共同開発は、宙に浮いたままになっている。
中国の一貫した主張、「白樺」は共同開発対象外
東シナ海ガス油田開発について2007年4月12日の定例会見で、東シナ海ガス田問題について日中中間線中国側海域で開発が進められている「白樺」(中国名・春暁)などは対象外との考えを示している。
ガス田の共同開発については、2007年4月11日の日中首脳会談でこの年の秋までに具体策をまとめることで一致したが、両者の間には大きな認識の差がある。
秦報道官は「共同開発の概念とは、中日の論争のある海域で行われるものだ。目下、中国が行っているガス田開発は日本と論争になっていない(中国側の)海域で行われており、中国の主権において正常な活動だ」と説明している。
「日中間の東シナ海における共同開発についての了解」(2008年6月16日)では、
「双方は、日中間の東シナ海における共同開発の第一歩として以下を進めることとする。
1.以下の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる区域を双方の共同開発区域とする。
(1)北緯29度31分東経125度53分30秒
(2)北緯29度49分東経125度53分30秒
(3)北緯30度04分東経126度03分45秒
(4)北緯30度00分東経126度10分23秒
(5)北緯30度00分東経126度20分00秒
(6)北緯29度55分東経126度26分00秒
(7)北緯29度31分東経126度26分00秒
2. 双方は、共同探査を経て、互恵の原則に従って、上述の区域の中から双方が一致して同意する地点を選択し、共同開発を行う。具体的な事項については双方が協議を通じ確定する。
3. 双方は、上述の開発の実施に必要な二国間合意をそれぞれの国内手続を経て早期に締結すべく努力する。
4 .双方は、東シナ海のその他の海域における共同開発をできるだけ早く実現するため、継続して協議を行う。」とある。
共同開発といっても、“双方が一致して同意”した地点となっており中国は同意することはないだろう。具体的なことは、“協議”を通じて確定するとなっていれば、中国は永遠に“協議”を継続しつつ、単独開発に向けて既成事実を積み重ねるのだろう。
「白樺(中国名:「春暁」)油ガス田開発についての了解」(2008年6月18日)では、
「中国企業は、日本法人が、中国の海洋石油資源の対外協力開発に関する法律に従って、白樺(中国名:「春暁」)の現有の油ガス田における開発に参加することを歓迎する。
日中両政府はこれを確認し、必要な交換公文に合意し、早期に締結すべく努力する。双方はその締結のために必要な国内手続をとる。」とある。
ここで、「中国の海洋石油資源の対外協力開発に関する法律に従って」とは、中国の主権を認めたようなものだ。
「日中両政府はこれを確認」とは、中国側の法律が適用されることを日本側も認めたということか。参加が“歓迎”されるはずだ。
このときの日中合意は、北京オリンピックを控え福田政権の協力を得たい中国のリップサービスのようなもので、中国にうまく利用されたのだ。
「ほかの海域」について
2009年1月5日、河村官房長官は、中国による「樫(中国名:天外天ガス田)」の開発に強い不満の姿勢を示し、「継続協議ということで現状が維持されることが望ましい。中国側が一方的に開発を進めることは認められない」と述べたことに対し、秦剛報道官は「ガス田『天外天』は論議の必要もない中国管轄下の海域にあり、中国は関連のガス田開発において主権がある。日中間の原則的な共通認識の中では、共同開発について引き続き協議する「ほかの海域」は議論の必要がない中国側の海域は含まれていないため、前述の海域のガス田を日中両国が共同開発することはない。」と語った。
中国がいう「ほかの海域」とは、日本側の海域のことで、すでに中国が開発をしている海域は「ほかの海域」に含まれていない。外交のうまさにかけては、中国は天才的だ。
日中ハイレベル経済対話も成果なし
日中両政府は6月7日、経済関係の主要閣僚による「日中ハイレベル経済対話」の第2回会合を東京都内で開催したが、模倣品被害防止へ連携強化は確認したが、ガス田の共同開発については進展はなかった。
中国は、いつまでも”協議”を続けていればいいのだ。進展など期待できない。
日本側の隙を突いた中国船の到来
中国政府は、昨年6月の合意を具体化する交渉に応じないため共同開発は棚上げしたままだ。イタリアにおけるサミットや日本国内の政局の混乱、投票日目前の都議選などに国内の関心が集中している間隙を突いて、ガス田「白樺」の単独開発に向けて従来からの主張にそって既成事実を積み重ねるためであろう。
何をやっても、所詮、日本は、“慎重に対応”するだろうし、せいぜい“抗議”するのが関の山だとタカをくくっている。今までの自民党政府の対応は消極退嬰だった。一歩一歩屈してきた。
秋以降誕生の可能性がある民主党政権は安全保障についての政策が固まっていないので、中国はもっとより大胆な行動に出て新政権を“テスト”することも考えられる。
「下がれば出る、弱ければ叩く」のが中国だ。政治の混迷は国益を損なう。
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