秋田に来て、日々新鮮な気持ちを味わっている今日この頃。
東京の友人たちに「言葉はわかる?」と心配されたけれど、イマドキは標準語に近い言葉を話す人が多いので(テレビの影響)、子どもも私も特に問題はありません。
とはいえ・・・夫の母、いわゆる「しゅうとめ」というやつですが、その母と話していて時々混乱する言葉がありました。
「かーさん」
という言葉。
例えば、うちの夫が彼女を呼ぶときは「かーさん」と呼ぶ、それは「母親」を呼ぶときの代名詞です。
いっぽうで、夫の父(私にとっての「しゅうと」)が彼女を呼ぶときも「かーさん」と呼びます。それは妻を呼ぶときの代名詞です。
「おかあさん」「かあさん」は、母親のことでもあり、妻のことでもあります。それは、日本全国どこでも通じるものでしょう。
ところが・・・、ときどき(夫の)母(※)の会話で混乱。
※夫の母のことを、便宜上ここでは「母」と書きます
例1.夫の同級生の人の家庭のこと。
「あっこ(あそこ)の【かーさん】さ、亡くなったのよ・・・75(歳)過ぎていたけどまだ若いべな・・・気の毒だな・・・」
例2.兄嫁(夫の兄の奥さん)の実家のこと。
「正月はなー、あっこの【かーさん】どごで茶っこ飲んできたは~」
私は、この場合はいずれも「母親」、つまり「夫の同級生のお母さん」や「兄嫁のお母さん」のことなんだなーと思いながら話を聞いていたわけなんですが。
そのうち、いろんな【かーさん】が出て来るので、「あれ??」と思って・・・例えば、以下のような話。
例3.どこかの家のウワサ話。
「あっこの【かーさん】さ、怒って実家に帰ってしまっだど(*_*)」
その家には70歳くらいの「お母さん」と40歳くらいの「お嫁さん」がいます。さて、この【かーさん】はどちらのことでしょうか。私は単純に70歳のお母さんのことかと思って、「あの家のお母さん(推定70歳)が?!」と聞き返したのですが、
母「いや、おばーさんでなく、【かーさん】が、よ」
私「・・・? 奥さんのお母さんが?」
母「そうでなぐて、○○男さんどごの【かーさん】が、よ」
私「・・・え?お母さん?」
母「だがら、○○男さんどごの【かーさん】よ」
というような、双方にとってじれったい会話になりまして、その後、ようやく私も「お嫁さん」のことを【かーさん】と言っているのだと理解しました。
例4.別のどこかの家のウワサ話。
「あっこの【かーさん】さ、私と同い年だど」
今度は、同い年=80歳を過ぎた人のことを「かーさん」と読んでいます。その家には60歳くらいの奥さんがいます。
例5.また別のどこかの家のウワサ話。
「あっこの【かーさん】さ、美人だべなー」
70歳代のお母さんと30歳代の娘さんのいる家庭なのですが、今度は、その娘のことを【かーさん】と呼んでいます。
私の推測は、最初は・・・母は、【かーさん】という言葉をその時々で「お母さん」の意味で使ったり、「奥さん」の意味でつかったりしているのだろうと思いました。
しかし、ちょっと違いました。【かーさん】には3つ目の意味がありました。うちの夫に確認して、ようやく意味がはっきりしたのです。
それは、「家督を継いだ者の妻」という意味があるそうなのです。
家督を継いだ者というか、「主に生計を立てている人間」と、その配偶者を【とーさん】【かーさん】と呼ぶんだそうです。(秋田での意味なのか、別の地方でもそういう意味があるのか不明です;調べてみたいものです)
なので、【かーさん】というのは一家に一人で、役職の呼び名と同じなのです。歳をとっても、一家の切り盛りを現役でやっている人は【かーさん】で、その【かーさん】が現役でいる限りは、娘や嫁はいつまでも【娘】【嫁】と呼ばれるのです。
いっぽうで、若くても一家の主になった夫婦は早くから【とーさん】【かーさん】と呼ばれ、引退した上の世代は【おじいさん】【おばあさん】と呼ばれます=「社長」が「会長」になるようなものでしょうか?
夫婦二人や、子どもが小さい核家族などの場合は、「とーさん」「かーさん」はそれぞれ1人ずつです。よそ者の私の言語感覚では、それは「ダンナさん&奥さん」の意味だったり、「子どもにとってのお父さん&お母さん」だと思っていたのですが、母の語る言葉は、あくまで役職としての【とーさん】【かーさん】だったわけです。また、「おとうさん」「おかあさん」ではなく、呼び名はあくまで【とーさん】【かーさん】みたいです。
さて。
夫の実家は、夫の両親が二人で住んでいて、すぐ隣の家に兄夫婦が住んでいます。
この父は(ごく)小さな会社を営んでいて、今はほとんど引退ですが、会長職という形で現役のふり?をしています。兄はこの会社を継いで社長になっています。
さあ、この両親と兄夫婦と、どっちが【とーさん】【かーさん】なんだべ?
うちの夫に「どっちなの?」と訊いたところ、
「隣だけど家は別だから、それぞれ【かーさん】。・・・うーん、でもビミョーだねー、よそからはどう呼ばれているか、わからん」
とのことでした。
それぞれ別の家に住んでいて、それぞれ別の家庭の【かーさん】という役職についてはいるのですが、他人から見れば「同じ世帯」のようにも見え、そして父が健在なので、両親が「とーさん&かーさん」と呼ばれ、兄夫婦は今でも「息子&嫁」と呼ばれているかもしれません。
*
この第三の意味がわかって、かなりスッキリしました。
なるほどねえ~
しかし。
母の話がわかりやすくなったかというと、それはまた別で・・・
つまり、その家の家族構成がわからないと誰が【かーさん】なのかはわからないのです^^;;
これって個人単位ではなく、「家」を単位として人づきあいをする習慣(?)の名残りみたいなものでしょうか。
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