「エネルギー・環境に関する選択肢」パブリックコメント募集中

パブリックコメントの説明（国家戦略室サイト・ｐｄｆ）

将来の自然エネルギーや原子力発電の割合を国民が決める・・・なんて事は実際には不可能だ。だから、この場合は将来の原子力発電の割合を国民が決めると云う事だろう。マスコミの大部分や原発廃止デモに参加して居られる著名人の皆さんが推している選択肢は「原発ゼロ・シナリオ」だろう。他の選択肢として「原発１５％シナリオ」と「原発２０～２５％シナリオ」がある。（当初は、その上に「原発３５％シナリオ」も存在したが、この選択肢は選ばれない筈だとして選択肢から外している）つまり、この３つのシナリオが選択肢で、これ以外の意見を応募しても意味が無いだろう。

福島第一原発事故が終息していない今の段階で、ＬＮＧの輸入量が爆発的に増えた事で莫大な貿易赤字が発生している事や、原子力からＬＮＧへの転換で増大した発電経費や自然エネルギーの無条件高価買取で増大する費用を見込んだ電力価格の高騰が日本経済に及ぼす悪影響が白日の下に晒される前に、国民に意見を聞くと「原発ゼロ・シナリオ」が圧倒的になる筈だ。

私自身の考えは、何度も書いてきたが・・・「事故を起こす可能性がある原発は即刻停止し廃炉すべきだ。安全な立地で信頼できる安全な原発を国家として必要数整備していく事で国民の信頼を取り戻していくべきだ。」である。

原発が無い地球・・・は素晴らしいのカモ知れないが、我が国が原発から撤退を決めても全世界では100基以上の原発新設計画が存在し、それが経済の勢力図を塗り替えていき、そして新たな原発事故の災禍を全世界に広げてしまうカモ知れない。唯一の戦争被爆国であり僅かな平和利用被爆国である我が国こそが、全世界の原子力平和利用の主導的地位に立ち、核の悲劇から地球人類を遠ざけるべきで、更に安全な原子力の平和利用を通じて全世界のエネルギー問題を解決させるべきだ。それは反原発の立場ではなく、だからといって推原発として原発を無条件で推進するのではなく、安全性に不安の残る許されない原発を廃炉にしつつ安全性が信頼できる原発を整備していく許原発しかないだろう。自分の国から原発を追い出す事は、原発を新設する他国で製造される工業製品を輸入して生きていく事だ。自国から原発を追い出しても、原子力から無縁の生活は出来ないのだ。

私の考えは過去記事から一貫してこう云った主張なのだが、是非、ここで切り分けて考えて欲しい事がある。

過去の「原子力村」の人々が強引に原発建設着工を強行した上で当然の配慮義務を無視して危険な立地の原発が存在する事、同じく過去の「原子力村」の人々が建築費増加を抑えようと着工後に発見された原子炉の安全を脅かす事象を隠蔽し対策を施さずに当初計画通りに完工させた危険な立地の原発が存在する事、同じく「原子力村」の人々が完工後の改修費や経費を抑えようと完工後に発見された原子炉の安全を脅かす事象を隠蔽し当然に施すべき改修を行わず危険な状態で放置された原発が存在する事が多くの稼働中の（稼働準備中の）原発に存在する事実・・・を、将来の我が国の原子力発電依存度とは切り離して考えて欲しいのだ。

マスコミは、大飯・志賀原発が活断層上に立地している可能性を追求している。実際に、そうならば廃炉するしか無いだろう。これは、人災とされた福島第一原子力発電所での重大事故と同じ原因である。活断層（乃至は、活断層と疑われる断層）が発見されて、マトモナ考え方をする人間ならば広い建設用地内で数十ｍ格納容器をズラして配置して活断層の直上から原子炉を外す為の最低限の設計変更を行う筈だ。活断層・・・誤解がない様に申し添えるが、専門の地質学者にした処で、その断層が活断層（凡そ１２～１３万年以内に動いた断層）か、活断層では無い断層（凡そ１２～１３万年以内には動いていない断層）かの判別は非常に難しい。それが安易に活断層ではないと結論付けられた事からも、この判断は当然汲むべき安全性を蔑ろにした可能性が非常に高い。

同じく、福島第一原発の事故報告書にも在った通り、想定される震度や到来する津波高が改められたにも関わらず改修を行う計画すら存在しなかった事、そして、有り得ないとして全電源喪失への備えを怠った事。

そして同じく、過去記事「（その２）原子力発電の話 2011-07-14 22:05:41 | Innocent joke」「政治主導・・・ 2012-04-18 20:47:31 | Innocent joke」にも書いたが、「原子炉の圧力容器の材料である鋼材が強烈な中性子線に晒され続ける事で変質し硬化していく事で脆くなる現象として放射線脆化が知られていて、鋼材は硬くなると脆くなる。脆くなると急激な温度変化で割れてしまう。通常の原子炉では急激に温度が変わる事は無いのだが、緊急炉心冷却装置が作動し、それこそ緊急に炉心が冷却されると、圧力容器も急激に冷やされ、割れてしまうカモ知れない。」通常の原子炉の運転は、徐々に温度を上げて、徐々に温度を下げていくので問題は無いのだろうが、いざ事故が発生した非常時に大きな危険が伴うのだ。つまり、緊急炉心冷却装置を使うと圧力容器が割れてしまう可能性がある原子炉＝急ブレーキを掛けると事故を起こす原子炉である。これは各電力会社が、それぞれの原子炉での放射性脆化の数値を堂々と発表しているが、発表されている数値を素人目に見ても危険性が歴然と存在する原子炉が稼働準備中なのだ。

繰り返すが、私の考えは「事故を起こす可能性がある原発は即刻停止し廃炉すべきだ。安全な立地で信頼できる安全な原発を国家として必要数整備していく事で国民の信頼を取り戻していくべきだ。」であり、看過できない危険性が存在する原発を強行して動かす事は断じて反対なのだ。国民の多くが脱原発に傾いている理由は、過去記事「トランス・サイエンス・・・ 2011-11-14 21:49:42 | 独り言」にも書いたが管政権末期に行われた「ストレステスト」の如何わしさだろう。ストレステストとは、システムに通常以上の負荷をかけて正常に動作するか、つまり隠れた欠陥がないか調べるリスク管理手法のひとつで耐久試験とも呼ばれる。これで、福島第一原発が地震に依って被った被害が正確に判明していない内に判明している全電源喪失だけに対応したストレステストを強行し安易に国内の全原発で僅かな改修工事で合格を得たという・・・絵空事で国民をペテンにかけようとした事に起因するだろう。

なので、私の結論は、「現存する全ての原子力発電所を白紙の状態から再立地の可否を含めて審査し直し、事故を起こす可能性がある原発は改修できるのなら改修し、立地上の問題等で改修不可能な危険な原発は即刻廃炉とすべきだ。安全な立地で信頼できる安全な原発を国家として必要数整備していく事で国民の信頼を取り戻していくべきだ。」

着工時点での知見や法律でゴーサインが出て既に存在する原発を、今の最新の科学的知見や最新の法律や安全対策でゼロベースで見直しを掛けた上で合格した原子炉だけを残して、合格しなかった原子炉は全て廃炉にする。その結果、我が国の自然な電力需要の中で必要とするベース電力が原子力に依存できる割合２５％（省エネ技術開発も併せる。自然エネルギーは化石燃料と代替していく）を維持していく。存続不可能な原発を停止廃炉後に２５％に満たない場合は、新たに原発建設を行う。放射性脆化も含め最新の科学的知見で得られた最良レベルの寿命として古い原子炉は順次リニューアルを続けていくべきだろう。ゼロベースでの安全点検を行わないで単に既存炉を設計寿命以上に延長して動かし続ける事には断固反対だ。この為には、法体系の大幅なリニューアルが大前提なので、モラトリアム期間を設け、法整備とゼロベースでの安全点検を行うべきだ。

原子力の火は、プロメテウスが神から奪った人類には許されていない「神の火」なのカモ知れないが、この「神の火」を既に知ってしまった人類が手放すとは思えない。我が国（と数カ国）が原発から撤退しても、今後地球上には百基以上の原発が新設されていくだろう。目前に迫る原油の枯渇を踏まえ原油に代わる新たな化石燃料勢力図を考えても、少子高齢化に喘ぐ我が国経済の今後を考えても、我が国には原子力発電が必要な事は明らかだ。「原子力村」の人々の身勝手な悪意での強行の結果が人災として福島第一原発事故を拡大し多くの方々に犠牲を強いた事は明らかだ。その罪と、原発から我が国が受けた恩恵を天秤に掛けろとは云わない。そもそも、その両者は別々の事象であり、「原子力村」の人々の身勝手な悪意での強行は咎められるべき犯罪だろうが、その事が技術としての原子力発電の可能性を損なうとは思えない。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」とは日本人的な心情かも知れないが、憎むべきは「『原子力村』の人々の身勝手な悪意での強行」であり、最新の原子力発電の安全技術が自然に敗北した訳では無いのだ。勿論、現代の科学技術が構築した複雑なシステムが「不確実性」の軛から外れる事は無く確率論的にリスクが発生する確率は永久に「０」には成り得ない事を否定するツモリはない。それはプロメテウスに依って我々人類が科学技術を与えられてからズッと続いている問題だ。神ならぬ身の人間は痛い目に遭って初めて過ちに気が付き改めると云う歴史の積み重ねで科学技術を進歩させてきた・・・のだ。東電の会見を見ていると俄に信じがたいが・・・「原子力村」の人々も懲りただろうし、我々国民の生命財産に危険を及ぼす原発の安全管理を「原子力村」の人々だけに任せっ切りであった我が国国家の有り様にも問題があったのだろう。管理という考え方は、性善説に立たず性悪説に立って、「原子力村」の人々は国民を欺いて身勝手な利己的行動を行うとした上で監視する体制を整備した上で、それらと切り離して技術としての原子力発電を評価して頂きたいモノである。未だ未熟な人類には「神の火」は扱えない・・・と我が国だけが尻込みしても、我々の小さな地球では何も解決した事にはならないのだ。

民主党政権の音頭に乗るのは癪だが・・・是非、皆さんも意見を応募して欲しい。歴史的政権交代を果たした民主党３代目党首は、鳩山・管と続いて民意を見誤っていると思う。激化する一方の「脱原発デモ」は１つの民意である。「原子力村」の人々のまやかしに乗って安易なストレステストで再稼働ＯＫなんかをお手軽に決めた民主党政権に、今後の原発の安全行政を任せる事は出来ないだろう。だが、その「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と一緒くたにして脱原発を金科玉条にするのは、政治活動としての反原発運動として原発に「悪しきレッテル」を貼り続けた活動が結実したのだろう。ゴミ焼却場が近所に出来るカモ知れない、産業廃棄物集積場が近所に出来るかも知れない、火葬場が近所に出来るかも知れない・・・と云った、住民サービスには不可欠な施設でも自分の生活圏に出来る事は誰でも嫌なのだ。原発は、今回の福島第一原発事故の様子を見れば町内会レベルや市町村レベルの話では無い広範囲に被害を及ぼす様だ。誰しも自らが望まない施設が自分の生活圏に出来ないように願うなら、日本から・・・いや、地球上から原発が無くなれば良いのだろうが、我々日本人が強く望んでも現実にはならない。ならば「原子力村」の人々が好き勝手に身勝手に設置し運転する原発ではなく国家が責任を負って最大限の安全を約束する原発なら・・・自分の住んでいない県になら在っても許してやろう・・・とは成らないのだろうか？結局、原発が出来てしまったら最後、我が国では高エネルギー廃棄物の処理方法も確立していないのだから既存の原子力施設は石棺として放射性物質を閉じ込め続ける施設となってしまう。安全対策に掛かる費用を捻出する事業としての原発も必要悪なのカモ知れない。


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「意見聴取会」も全国で開かれるが、一般から参加した全員が意見を述べる事も出来ない筈なので、民主党政権下のパブリックコメント募集なんかが本当に国民の意見を集約出来るとは思えないが・・・次期衆院（衆参？）選挙以前では国民が自らの主張を表明する唯一のチャンスだと思う。