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論創社『出版販売試論』を読んで2 その他のツッコミどころについて

2010-08-22 | 読書感想文
『「再販制度見直し論」に対しては、業界あげて反対の立場に立つのは当然』21頁より

そういうことだと私も思っていたんですが、これ本当ですか。
ここで申し上げたいのは外商についてDEATH。外商商品、特に採用品の受注獲得合戦は熾烈を極め、公然と値引き販売が行われていますね。出版社は、出版物における再販売価格の拘束が認められているにもかかわらず、それを行使していませんね。
これって、再販制度が崩れているってことじゃないんですか。この時点で、外商活動において値引き販売を慣行している書店、それに対し再販売価格の拘束を行っていない出版社は再販護持を主張する資格はありません。
業界あげて反対というわけにはいかないんじゃないですか。


『「仕入れの適否について小売店はリスクを負うのであり、逆にそれゆえにこそ仕入れには最も神経を使うことになる。書店にあってはこのように主体的に自ら仕入し、それに対してリスクを負うという姿勢がほとんどみられない。委託制度と再販制度によりかかり、それに『甘え』ているために、小売商として最も大切な資質を自ら喪失してしまっているのではないだろうか」。』61~62頁より

これは著者の言葉ではなく、「大阪書店商業組合」が昭和六十三年三月に発表したものだそうです。
『甘え』ですよ、書店の皆さん。こんな考え方が書店側から提出されたことに驚きを隠せません。


『(中略)未だ誰も提案したことのない「物流の平均化」のために、全出版社の〆日をアイウエオ順に分ける「〆日の変更」について一考できないものか。
すなわち「あ行は五日〆」、「か行は十日〆」、「さ行は十五日〆」、「た行は二十日〆」、「な行は二十五日〆」、「は行以下は三十日〆」という具合にである。
出版ニュース社の『日本の出版社』によると各行大体名簿上は七〇〇~八〇〇社位なので、業務に差し障りは少ないと思う。』111頁より

"は行以下"の扱いが雑!てゆうか版元の扱いが雑!


この著者の考え方の特徴として、業界三者(版元・取次・書店)全てのコンセンサスが得られなければ推進不可能な改革案が多いんですよね。

でも、AmazonもAppleもGoogleも業界の合意など得ずに、出版市場に頭角を現しました。読者の支持を得ているからでしょう。

無視しすぎたんですよ。読者を。

次回は、『出版販売試論』最終回、これはそのとおりだ、と思うところです。