昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[ブルーの住人]第四章:蒼い友情 ~まーだー~

2023-11-18 08:00:38 | 物語り

(十)実のところは

 しかし、いまはどうだ? ライバル心むきだしといった観ではないか。
いま、新一のアドバイス前に、事がはこべている。
他人との接触において多分にしりごみしがちだったわたしが、積極的とは言わないまでもキチンと対している。
弟子が一人前になることは嬉しいが、いちまつの寂しさも感じる――そういった心境なのだろうか。

どうにも、そうとは思えない。
[可愛さあまって憎さ百倍]というじゃないか。
ことばを交し合う相手がわたししかいない新一にとっては、憎悪の対象となってしまったのか。
だとしたら、わたしは以前のわたしにもどりたいと思ってしまう。
新一の憎悪の対象にはなりたくない。
が、いまの心地よさを失うということも、つらくはある。

 思いだせ、思いだすんだ。
 以前のわたしは、どうだった? 
 新一との口論になると、きまって口をつぐんでいなかったか? 
 議論を交わすことから、逃げてはいなかったか? 
 新一の気性を知っているから? 
 恐ろしいことだけれども、わたしの方こそ、新一を見くだしていなかったのか? 
 実のところは。

 

*訂正

申しわけありません。
英語力のなさで、ミスしました。
サブタイトルを
「マーダー(murder)」とします。



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