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昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

奇天烈 ~赤児と銃弾の併存する街~ (十六)

2025-01-04 08:00:11 | 物語り

あけましておめでとうございます。
本年(令和7年)が、みなさまにとって、実り多き年となりますよう、ねがってやみません。
わたしにとっても、慶びの年となりますよう、精進するしだいです。
本年も変わらぬご支援を、よろしくおねがいします。
――・――・――

あんがいに嘘なんです。だけどね、せっぱ詰まった声だとね、だまされちゃうんです。
まんがいちに銀行に行ってしまったら、受付の女性に声をかけてください。
わかります、急いでいますよね。でもね、1分2分のことですから。
『振りこみのことで』と、相談してください。
まちがっても、ATMは使わないように。
おじいちゃん、若い女の人とおはなしできるんですから。
おばあちゃん、男性の行員とおはなししましょうね」

 ひとしきり会場の笑いをさらったあと、真剣な顔つきでつけくわえた。
「いいですか? 3種の神器ならぬ、みっつの危機があります。
ATM・還付金・振り込む、このみっつですよ。
そしてね、やってはいけないこと。
ひとつ、自分から名乗らないこと。
ふたつ、○○ちゃんかい? と名前を言わないこと。
最後に、おかしいなと思ったり、相手から脅しをかけられたら、すぐに警察に連絡をしてください。

こんなことぐらいで…なんて、決して思わないでください。
あなたが連絡をしてくれたら、ほかの人が助かるんです。
となりにお座りのおじいちゃんおばあちゃんが、被害にあわずにすむんです。
ねえ、みなさん。これだけ我々がお話ししても、被害者がでているんです。

お帰りになったとたん、いえ、この会場を出られたとたん、きょうの、このいまの話を忘れてしまわれるんです。
良いんですよ、忘れても。細かいことをね、いちいち覚えてられません。
そこでお帰りのときに、チラシをお渡しします。
きょうの話の要点が書いてあります。

このチラシをですね、電話機のかたわらに置いておいてください。
携帯電話で話すときには、このチラシが見えるところで話して下さい。
そしてときどき、このチラシに目をやって下さい。お願いしますね。
このぼくに、電話をください。夜でも良いですよ、だれかが応対してくれますからね。
はい、それじゃ、お疲れさまでした」



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