トンサンの隠居部屋

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「小説らしきもの」 むかしトンサンが書いたもの 「手紙」

2022年03月26日 00時58分00秒 | マック鈴木家

「手紙」
和君、元気ですか?
今 何をしていますか。
僕は相変わらずで弱っています。
急に何の手紙だろうと思うかもしれないけど、別に用があるわけでもありません。
ただ何となく、今頃 野口どうしているかなあと、二人で能登半島をドライブしたときの写真を見て君の様子が知りたくなったのです。

いつも時々、いろんな人に手紙を出したり、会いに行きたいなあと思っているのですが、面倒くささが先に立って、結局何もしないうちに また忙しく仕事の続きに追われてしまうのです。

春になったので、どこかへ行きたいなあと思う気持ちが少しずつ沸いてきました。
まだいくらか若さが残っているのかもしれません。
今年6月にはもう27才、こんな精神年齢で外観だけ27才とはあまりにもチグハグでどうして良いかわかりません。
3月22,23日は一泊で会社の研修があります。
年がほとんど同じ仲間の中には、もう親父になった人も何人かいるでしょう。
なんだか差を付けられた感じです。

社内にも良く思っている娘(こ)は何人かいます。
でも恋人にしようとか、嫁さんにしようとかいう気持ちは起こりません。

いつも若い格好ばかりしているけど、もう心の中は若くないのかもしれません。
このごろは時々アルバムを開いて見てしまいます。
楽しかった数々の思い出を繰り返して見ています。老化現象の始まりです。
松下幸之助さんは いつも心の若さを保てと言っています。
僕もあの人のように生きたいと思っています。

人間生きていて何が楽しいのか、うちの親父、お袋も毎日仕事に精を出していますが、まるで生きる理由など考えないかのように。
でも死ぬ思いをして戦争などの苦難を越えてきた人達は、そんなこと考える必要がないのかもしれません。

僕が手紙を書くときは(今は寝床で書いています、万年筆を取りに行くのが面倒なので鉛筆で書いているのですが)こんな深夜なので若干、感傷的になっていますがいつもこんなじゃないので心配なさらないように。
日中の僕はいたって元気です。
車は今もR-2に乗っています。
恋人もいません、前からずっと変わっていません、君は?

きっとここでは相手にも同じように変わっていないで欲しいという気持ちがあったのでしょうね。
まわりが変わっていくのに自分だけ取り残されるような寂しさがあったのだと思います。

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