Tomotubby’s Travel Blog

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縄文時代の耳朶への身体変工

2006-01-11 | Japan 日常生活の冒険
動物行動学者デズモンド・モリスが、たしか著書「裸のサル―動物学的人間像」の中で書いていた。四足歩行する動物の雌は、限られた繁殖期の間、その臀部と生殖器を雄の鼻先に示すことによって雄を惹きつけたが、ヒトは二足歩行することにより、女性の臀部と性器が男性の視線から隠れてしまった。その結果、恒常的に臀部の擬態として発達したものが乳房で、性器の擬態として目立たせたものが口唇であると。

ムルシ族サラ族の行う身体変工が成人女性のみに限られていることは、性器の擬態としての口唇を男性に対して目立たせているのではないか?とも考えられて興味深い。首長族の女性たちは赤い口紅をさしており、真鍮の首輪は小さい顔、中でもひときわ目立つ赤い唇を引きたてているようにも思えてくる。さらに言ってしまえば Sara Baartman のエプロンに至っては、本来の目的のために行われた変工ではないか。とまで語られてしまう。

しかし、このような擬態説に生物学的な根拠はなく、男性の興味本位のように思われてならない。世界中で多く見られる身体変工は、口唇ではなく耳朶に行われている。文明国の多くの女性は耳朶にピアスのための穴を開けているが、それは耳朶の皮膚が薄く柔らかで、穿孔するのに痛みが少ないからであろう。ムルシ族の女性の多くも耳に大きな粘土製の耳栓を嵌めている。このような巨大な耳飾は、ヒトの歴史の中では、世界中でつい最近まで見られた風習である。

日本においても、縄文時代には広い範囲で耳飾が流行していた。縄文前期には、石製の玦状耳飾が、中期以降は、ムルシ族のしているような土製の耳栓耳飾が主流になる。縄文後期から滑車形耳飾が流行するが、直径が10㎝近い大形のものや、透かし彫りなど細工されたものまでが現れる。いずれも耳朶を穿孔、拡張し装着されており、縄文後期の遺跡から出土する「みみずく土偶」は、大きな耳栓をつけたヒトの像である。


みみずく土偶

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