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体罰と高校の想い出

2011年11月08日 | 本日の日記
昨日、鳴門親方(横綱 隆の里)がお亡くなりになった。
もともと嫌いではない相撲だが、外国人ばかりが強い上、一連の不祥事に対する対応に、
スポーツ云々の前におかしいやろ!と思い、あえて『大相撲ダイジェスト』さえ見ないようにしていたのだが、
さすがに隆の里さんといわれると、TVに見入った。

隆の里・・・嫌いだった。
当時、小生は千代の富士のファンで(晩年はアンチ千代の富士になったのだが)
千代の富士が唯一勝てないのが隆の里であった。
今回、4回しか優勝していないと新聞で見て、「マジ!?」と驚いた次第だ。
しかし、強いライバルだったからこそ、千代の富士が勝つと、「よっしゃぁー!!」と思った。
若島津や琴風、朝潮では役不足だった。
だから、小生の中の、隆の里はいつも強い隆の里だった。
引退間際、隆の里が勝てなくなり、小生も中学生になり、スポーツ新聞などを読むようになると、
この人がすごい努力家で、糖尿病を克服して横綱になったと知った。
隆の里がいなくなり、強すぎる帝王 千代の富士にあまり興味がなくなっていたこともあり、
隆の里がいたら、もっと相撲はおもろいのにぃ・・・などと勝手なことを思っていた。

今回、隆の里の死の直前に鳴門部屋の体罰が問題になった。
けれど、小生は死者まで出した先年の事件と同列に論じるのはおかしな気がしている。
別に相撲マニアではないので、詳しいことは知らないが、
報じられている範囲では、弟子の身体に目立つ外傷はないようだし、煙草の火を押し付けたとか、
ビール瓶で殴りつけたとか、そういう制裁目的ではないように思える。
なにより、部屋の近所の方や弟子たちが文句を言っていない。

頭のよい人たちはよく体罰はダメだ。口で言えばわかるという。
わかる人もいればわからない人もいるし、身体でぶち当たってくる人に、口では表現できない真心を感じることだってある。
小生の高校の先輩で今は某大学の準教授になっている方がいる。
小生の部活の成績は惨々でお世辞にもよくがんばったとはいえないが、
入部最初の頃は、ランニングや筋トレさえついていけなかった。
さらに一緒に入部した友人は2日も続けず辞めてしまい、正直早く辞めろと思われていた。

あるとき、ランニング前に言われた。
「今日ついてこれなかったら、辞めてほしい」
いつもより長いランニング。他の人より3ヶ月ほど遅れて入部し、
中学のときは運動など一切しなかった自分には、まだまだきつかった。
あかん、と思ったが、ここで辞めさせられるのはあまりに恥ずかしく、つらかったので、自分では必死にがんばった
・・・つもりだった。

でも、いつもと道が違う。
なかなかゴールに近づかない。
「オレが脱落するまで走る気か!」と思った。
もうええわ、もうあかんわ、なんども思いながら走ったが、やっぱりあかんと思った。
前のほうにいたが、どんどん遅れ、最後尾に近くなった。
そのとき!私の真後ろで声がした。
「遅れんなぁー!!!!」
声と同時に、私の尻に蹴りが入った。
痛いというよりバランスを崩した。「
おまえ、ほんましょうもない奴やなぁ。こんなんで簡単にあきらめるんやなぁ」
簡単にあきらめる・・・???
むかついた。腹が立った。
そやけど殴り返す力はない。
そうこうするうちにも蹴りは入ってくる。
遅れそうなそぶりが見えると蹴りが入るのだ。
馬じゃあるまいし・・・



結局、俺はみんなと一緒にゴールすることができた。
先輩や同期の人がなんかねぎらってくれていたみたいだが、すぐに筋トレが始まったのでよく覚えていない。
でも、このランニングは俺にとっての一番の部活の思い出だ。
今もプリンスホテルの旗の下を通ると、あの蹴りを思い出す。
あの蹴りがなければ、小生の高校の部活はあそこで終わっていたし、今の私とは違う私がいたかもしれない。
これが多くの人が体罰と非難することと一緒だろうか。
私はこの蹴りを入れてくれた先輩が今でも大好きだし、このとき一緒に走った先輩や同期が大好きだ。
頭や口では表現しきれない思いというのが確かにある、と私は思っている。