網にかかる

ぼおっとしていて駐車場の破れた網に引っかかってあやうく転びそうになったことがあった。
気をつけていないといつ怪我をするかもしれない。

携帯電話をしながらの運転が減ったおかげで事故が半減したと新聞で報じていた。やはり気がそぞろではいけない。


　　　　　　　　　　　　


ところで、ジャストシステムと松下電器の特許紛争。

「ヘルプモード」と「印刷」ボタンが「アイコン」に該当するかどうかが争点となって、結局松下に軍配が上がり、東京地裁は「一太郎」と「花子」の販売中止を命じた。

実は何年か前に同じ裁判長が、このアイコンをめぐって全く別の判決を出していた。もちろん使われ方など、特許構成もやや違うのだが、しかしその違いは実に微妙だ。

今回の判決を評論したどこかの大学教授のコメントがここを突いて、この特許紛争は本質的な議論でないと論じていた。こんなものは特許にあらず、と。

違うな～、分かってないな、この先生は。

ここの管理者は専門家ではないが特許紛争に巻き込まれたことも何度かある実務者です。
この経験から言うと、この微妙とも思える差がまさに紛争そのものなのである。

１社で月に数千件の特許を出す会社がある、出す特許も限られた範囲に集中している。

理由は、ひとつの特許の周囲にきめ細かく網を張り巡らしていく現在のやり方にある、つまり基本特許や大発明みたいのがぞろぞろ出るわけはないのだ。

今回の一太郎も松下の特許網、それも網の端っこに引っかかったものなのである。

もし裁判で負けが確定すると転ぶだけではすまない、ジャストシステムは大打撃をこうむることになるでしょう。

大きな罪の前には必ず取るに足らぬ罪があり。
　ラシーヌ　「フェードル・アンドルマック」