モノを捨てられない人（２）

ゴミといっても本 のはなし。
夫婦して読書好き、なので３０代の時の引越しに苦労した。本は重量があるのでたいへん。
本棚から出すのも、また戻すのも非常な苦労だ。

もう嫌気を起こした私は手に入らない本を除いてすべて捨てることを決心した。
図書館が本棚代わりと思えばよいではないか、と。

全部でスチール棚３本 、大きな木の棚一本、ここからほぼ半分がなくなった。

家人にも捨てることを迫るが、頑として受け付けない。
結局捨てたのは黄色く変色した昔の雑誌数冊だった・・・

どうして読みもしない雑誌まで取っておくのだ。必要なところを切り抜いておけば、と思うがそうもしない。
こうしてオレンジページやナントカライフが次々と本棚を占領していった。何故だ！

一度実験を試みたことがある。

自宅の押入れの奥にあった雑誌、その他ガラクタを袋に入れて別の場所に移動しておいた。
1年気づかなければ捨てても良いだろうという壮大（？）な実験。

どう見てもゴミのような代物をある日突然「ない！、アナタ捨てたわね、ときた。

こちらも忘れていたのだが、持ち出して中を開けると家人の行っているものに相違ないことが分かった。

ゴミ人間恐るべし。


年をとって困ることは、つい自分の今の気持ちに溺れることでございます。
伊藤　整　　「変容」