その人は白衣を翻して、あわただしく教室の“セット”に飛び込んできた。
「みちる、美奈子!ずーっと台本を無視してアドリブで繋げるのもたいがいにしなさい」
演出を兼任している保健室のおば…お姉さん役だったせつなは、来る日も来る日も保健室のセットでスタンバイをしていたけれど、いつまでたってもレイはきやしないではないか。
「せつなさん、止めるならもっと早くしてよね。いくら罰ゲームとはいえこの女学院セットに拉致されて、美奈子とみちるにいいようにもてあそばれて。というより、脚本家!あんた何やってるのよ!」
脚本家と呼ばれた亜美は、その他の生徒C(ちなみに教室セットにいる生徒はABCしかいない)というシールを制服の胸元にぺたっと貼り付けられ、台本を持ったままオロオロしている。レイに歯向かうことが出来るわけがないけれど、みちると美奈子に歯向かうのもまた出来ない。
「だって、みちるさんと美奈子ちゃんがどうしてもアドリブを入れてくれって」
「大半がアドリブじゃないの!」
「諦めて、キスされなさい。そのあとレイは私に惚れて交際が始まるのよ」
短いスカートからすらっと見せる足を気にすることもなく、みちるは自分で作ってきたシナリオをポケットから取り出して、再度チェックを入れている。
「って、みちるさん。何そのシナリオ?レイちゃんが泣いて私に助けを求めるっていうストーリーでしょう?で、やっぱりお姉さまが大好きですと告白するシーンで小道具のはるかさんが薔薇を撒き散らせる」
「何でそんなことしないといけないのよ!」
レイはこぶしをプルプルさせて美奈子に食って掛かった。
「そうだ!大体、僕がなんで小道具なんだ!」
セットの中に姿を現してはいけない小道具役のはるかの声がどこからともなく聞こえてくる。
「みちる、美奈子!ずーっと台本を無視してアドリブで繋げるのもたいがいにしなさい」
演出を兼任している保健室のおば…お姉さん役だったせつなは、来る日も来る日も保健室のセットでスタンバイをしていたけれど、いつまでたってもレイはきやしないではないか。
「せつなさん、止めるならもっと早くしてよね。いくら罰ゲームとはいえこの女学院セットに拉致されて、美奈子とみちるにいいようにもてあそばれて。というより、脚本家!あんた何やってるのよ!」
脚本家と呼ばれた亜美は、その他の生徒C(ちなみに教室セットにいる生徒はABCしかいない)というシールを制服の胸元にぺたっと貼り付けられ、台本を持ったままオロオロしている。レイに歯向かうことが出来るわけがないけれど、みちると美奈子に歯向かうのもまた出来ない。
「だって、みちるさんと美奈子ちゃんがどうしてもアドリブを入れてくれって」
「大半がアドリブじゃないの!」
「諦めて、キスされなさい。そのあとレイは私に惚れて交際が始まるのよ」
短いスカートからすらっと見せる足を気にすることもなく、みちるは自分で作ってきたシナリオをポケットから取り出して、再度チェックを入れている。
「って、みちるさん。何そのシナリオ?レイちゃんが泣いて私に助けを求めるっていうストーリーでしょう?で、やっぱりお姉さまが大好きですと告白するシーンで小道具のはるかさんが薔薇を撒き散らせる」
「何でそんなことしないといけないのよ!」
レイはこぶしをプルプルさせて美奈子に食って掛かった。
「そうだ!大体、僕がなんで小道具なんだ!」
セットの中に姿を現してはいけない小道具役のはるかの声がどこからともなく聞こえてくる。