愛、麗しくみちる夢

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考えながら書く みちる小説

2013-03-17 22:11:11 | 創作・みちレイ
レイの顔を初めてみたときに

運命だと思った。
直感。
それは都合のいい考え方なのに
その時は1㎜も疑わなかった。

この人と出会うために、過去があったのだと。

同じ戦いに身を置く立場だと知ったときには、
悪の存在を神様に感謝したくなった。

レイに一目惚れをしてから1ヶ月後。



「みちるさん、携帯持ってるなら教えて」
レイからそう聞いてきたのは、理由なんてないのかもしれない。
はるかにも同じようなことを聞いていたことを知っている。
自分より先にはるかに聞いていたのを見たときは、レイが好きな人ははるかなのではと思った。
本人に確認なんてもちろんできないし、ただ泣きたくなる気持ちでその光景を見ていた。

「はい」
「ありがと」
ディスプレイに自分の番号を表示させて、緊張していることを悟られないように気を使いながら見せる。
ボタンを押すその仕草。

あの時に運命だと思った自分を激しく罵倒したい気分になる。
だけど、このほのかに好きだという気持ちを持っている今に居心地の良さを感じてさえいる。


「レイのも教えて」
1か月思い焦がれたこの一言。あっさりと教えてくれたレイのアドレス。


何を送ろうか
どんな言葉を使おうか

悩みながら

でも

決してレイからのメールは来ない。


携帯電話の画面を見るたびに、
新着メールが届くたびに

レイを想い、
レイの名前を心で呼び、

そして一人で勝手に持ち上げた気持ちを
落としては、ため息をつく。


いたたまれなくて

携帯電話の電源を切ったこともある。
だけど
そんな時に限ってメールが来るのではないかと思い
1時間もせずにまた、電源を入れてみたりする。



近くの公園で桜が咲いたみたい とメールをしても
まったく返信がない。

どうしてそんなメールを送ったのかと
自分を責め立てる。

1週間返事を待ってみようかしら、いや、別の内容のメールを送ってみようかしら。

毎日毎日、携帯電話を握りしめて考えるのはレイだけのこと。




こんな便利すぎるものは、世の中にない方がよかったのに。
そう思わずにはいられない。
知りたかったレイの携帯アドレス。

携帯電話でつながったせいで苦しみが始まるとは思わなかった。
痛感させられる一方的な自分の恋。



それでも、恋していたいと思っている。

あの運命と感じたことを疑うことが出来ないでいる。
心のどこかでは都合がいいってわかっていても

止められない恋に陥っている。









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