快読日記

日々の読書記録

「ディス・イズ・ザ・デイ」津村記久子

2020年02月13日 | 日本の小説
2月12日(水)

口唇ヘルペスができて気分が暗いけど「ディス・イズ・ザ・デイ」(津村記久子 朝日新聞出版)を読み終わる。

津村作品のどれだったか、好きな音楽とか昨日のテレビとか そういうささいなことを話題にできる相手がいるのがうれしい、みたいな話があったのを思い出す。
中学のときなんて、そんな話ばかりしてたけど、あれこそが幸せなんだよなあ。


仕事とか勉強とかに無関係の何かがひとつあるのとないのでは人生はだいぶ違う。
生きがいや趣味と一見似ているけど質が違うもの。
サッカーチームの勝敗や選手の動向に一喜一憂しながら、同時進行的に人生が続いていく話。
特に、ずーっと会っていなかったおばあちゃんとサッカー見に行く話がよかったです。


よく考えたら相撲・プロレス・ボクシングみたいな個人競技しか見ていないわたしは、登場人物たちがひいきのチームを「うち」と呼ぶことにびっくりしました。
そういう感覚か〜!
って、ちょっと理解できたような。(たぶんできていない)


毎日の生活と並行して、自分と利害関係が全然ないものを応援し、気にかけ、喜んだり落ち込んだりする。
なくてもいいものにこそ価値がある!
っていうか、そういうものがないと生きていけないのがわたしたち。

幸せって、生きるって、そういうことだなあ、という佳作でした。