快読日記

日々の読書記録

「長い夜の牧歌」天野忠

2015年11月09日 | 言語・文芸評論・古典・詩歌
《☆☆ 11/4読了 書肆山田 1987年刊 【詩集】 あまの・ただし》

「考えごと-PROLOGUE


ねながら
人生について考えていたら
額に
蠅がとまった。

長いこと休んでいて
それから
パッと
元気よく飛び立った。

どうやら考えがまとまったらしい。

俺はまだだ。」


「老いについての50片」という副題にあるように、ひとことでいうと“おじいさんの詩集”です。

天野忠って、生まれたときからおじいさんみたいです。
一度深夜のテレビで「あーあ」が朗読されているのを聞いて大好きになったんですが、読むと皮膚からじんわりおじいさんエキスが染み込んでくる。

陰鬱でちょっと愚痴っぽいかと思えば、クスッと笑わせるとぼけたかんじもあって、そこらへんがポイントです。

/「長い夜の牧歌」天野忠