快読日記

日々の読書記録

「「サバを読む」の「サバ」の正体 NHK 気になることば」NHKアナウンス室 編

2014年10月11日 | 言語・文芸評論・古典・詩歌
《10/7読了 新潮文庫 2014年刊(東京書籍から2008年に刊行された「NHK気になることば」を改題して文庫化) 【日本語】》

今上天皇も若い頃使っていた“ヤバい”が、実は歴史ある言葉だったというのは意外と知られていることですが、
“うざい”“はまる(夢中になる)”“へこむ(軽く落ち込む)”といった一見若者言葉っぽいやつも、江戸時代にはすでに原型があるんだそうです。
誤用がそのまま定着したり、方言が混ざったり、日本語がどんどん変わっていくその一方で、数百年も潜伏してた言葉がメジャーになったりするのはわくわくしますね。

この本、よくある「日本語モノ」ではあるけど、ご隠居のグチやお説教とは違います。
そして、何よりネタが豊富!

読みながらすごく感じたのはNHKの立場って大変だなあっていうこと。
毎日“あの言葉遣いはおかしい”という問い合わせ(クレーム)がわんさかくるっていうし、有働さんの脇汗がひどいとか、どうでもいいじゃないかそんなこと!…って言い返せない立場。
この本も、まえがきで梅津アナウンサーがいうように、誤用や誤解・変化を否定するのではなく、こういう理由があるのかもしれませんね(微笑)、みたいな態度で統一されています。すごい。
日本語の間違いや乱れを指摘する本って、人をバカにしたりけんか腰だったりする攻撃的な本であることが多いので(実はそういう本も好きだけど)、こういう本は珍しい。

「読者を叱らない日本語本」なんですね。

/「「サバを読む」の「サバ」の正体 NHK 気になることば」NHKアナウンス室 編