快読日記

日々の読書記録

「絶叫委員会」穂村弘

2010年09月16日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《9/15読了 筑摩書房 2010年刊 【日本のエッセイ】 ほむら・ひろし(1962~)》

電車の中や町中などで飛び込んできた「名言」を集めていたら、これって詩じゃないか!という本。

町角の名言集といえば、埋もれた名作「天使の聞き耳」(押切伸一著)ですが、
それに文学的内省(知らないけど)をまろやかにブレンドしたかんじになってます。

例えば中国製ねずみ花火の説明書きのこんな名言。

「この花火はぐろぐろ回ります」(47p)

例えば、理不尽なことをいうクライアントに対して社員がぶつけた叫び。

「でも、さっきそうおっしゃったじゃねぇか!」(193p)

かと思えば、与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」の一節を引き、その豪速球ぶりに感嘆したり、
近ごろ見聞きすることの多い「日本最大級」「手打ち風」「あたし的には」という表現の「級」「風」「的」の深層に潜む心理を鋭く分析したりしていて、
読後の満足感はたっぷりでした。
ちょっと宮沢章夫を彷彿とさせる雰囲気もありますが、
物事のつつき方や感性が、ほむらさんは女子っぽいですね。
だから余計に親しみが湧くのかも。