快読日記

日々の読書記録

「カツラーの妻たち」小林信也

2010年09月13日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《9/12読了 ワニブックスPULS新書 2009年刊 【ノンフィクション カツラ】 こばやし・のぶや(1956~)》

カツラー(カツラを被っている人)シリーズ、今回は彼らの妻や恋人に突っ込んだリサーチをしています。
どの段階で相手のカツラを知ったか、カツラであることをどう告白されたか、彼がカツラを装着していることをどう思っているか、などなど。

既刊「カツラーの秘密」「カツラー探偵が行く」では、カツラーたちが抱える不安と恐怖がリアルに伝わり、読んでるこちらまで動悸がしてヘトヘトになりましたが、
本書はめおと愛にあふれる内容になっています。

女から見たら、男性に髪があろうがなかろうが本質的には関係ないと思うんです。
では誰がカツラーたちをここまで追い込んでいるのか。
主犯は、他ならぬカツラメーカーとマスコミだと断言できます。
はげてることがまるで恥ずかしいことであるかのように視聴者を脅迫するCM、
「相談」という触れ込みで悩んでいる人を集め、密室でカツラの購入をせまるやり口、
高額なローン、
商品の質の低さ(これは深刻)、
などなど、商品の性格上、被害者が告発しにくい、という弱みにメーカーが付け込んでいる様子には怒りが込み上げます。
しかも、大手カツラメーカーは大広告主であるため、マスコミで彼らの実態が大々的に暴かれるチャンスはないに等しい。
いくらカツラーの妻たちが優しくたって、これじゃ解決にならない、カツラー受難の現状は変わりません。

→「カツラー探偵が行く」小林信也
→「ハダ色の人生」大場かなこ