現在同じフネに乗っているすぐ直属の上司は、わが社の中ではとても名が知られている、「羽田特殊支社」という支店に3度も務めたという剛の者。
なにしろ、「呑んでいて誰かが『訓練での体の動かし方が足りない』と言い出すと、元町(神戸じゃなくて、横浜のほうの元町)に出かけてはチンピラを探し、追っかけてボコっていた」という、ワイルド極まりない時代の「昭和の羽田特殊支社」OBですから、アスリートお兄ちゃんばかりになったイマドキの支社員とはずいぶん毛色が違う(=周防平民珍山とフィーリングが合う)お方です。その昔ワイルド・今はジェントルな?上司、ここではHTさんと呼んでおきます。
HTさんは大阪・船場付近の出身。実家は商家を営んでおり、御父上は「番頭はんと丁稚どん」の世界を地で行くような修行の末、商売を始めたそうです。
HTさんはその様を見て育ったため、「オレにこんなしんどいことはできない。会社員になろう」と考えたのですが、入ったところがウチの会社だったのが運の尽き、「羽田特殊支社」を3度も務め、「物理的に死ぬかと思った」経験も20回はあろうという恐ろしい経験を積むに至りました(;^ω^)。
HTさんは地元・大阪に戻ると、生育の関係上商家の二代目・三代目を継いでいる同年代の社長・店長の知り合いがたくさんおり、当然「飲み」の機会を持ちます。
その席上、ある同級生社長がこんなことを話しました。
「オレは毎日早く退社するようにしている。従業員と飲みに行ったことは、ほとんどない。」
なんで?(←HTさん)
「オレが早く帰らないと、従業員が帰宅する気になれない。一緒に飲みに行っても、社長との飲み会でみんなが楽しく本音を話すとは思えない。あえて一線を引くことで、みんながアフターを楽しんで、仕事に打ち込める環境を作っている。」
で、家に帰ってナニしてんの(←HTさん)
「仕事の続き。」
じゃあ、何が楽しくて仕事してんの?(←HTさん)
「楽しいとか楽しくないとかじゃない。従業員が路頭に迷わないようにするのがオレの仕事。」
…これを聞いたHTさん、「やっぱ、オレにはこういった仕事はでけへん」と思ったとか。
ところが、HTさんは反対にこう言われたそう。
「オマエ、いつも●×で転覆船からエアーが抜けて、フネごと沈みそうになったとか、△×山で要救助者役をしていて、担架ごと滝壺に漬けられて死にそうになったとか、命の危険がいっぱいの職場にいたって言ってたよな」
「うん」
「オレにとっては、そんな命がいくつあっても足りない仕事を平気で続けているほうが理解でけへん。」
…この話をHTさんから直接聞いて感じたことは、「仕事の性質が違うだけで、どっちも身体生命を賭けた、ほんとうにいい仕事ぶりをしているなあ…」ということ。
HTさんは文句なく一流の仕事師、上記の社長も、あのやりとりを見るにおそらくかなりの仕事師。ただ、そんなふたりに「今の仕事が心底から好きですか?」と聴けば、おそらくふたりとも「そんなことはあるかい!」と答えるでしょう。
社長のように「社員を路頭に迷わせない」ために働く、あるいはHTさんのように「死が隣にある現場で、何事もなく働く」ためには、働く自分のアタマの上に、どこか冷めている自分を置いて冷静に眺めさせることが重要になります。
おそらく、社長もHTさんも、今の仕事が「心の底からイチバン大好き、好きで好きでたまらない」という性質のものであった場合、自己陶酔の結果判断や引き際を誤り、とっくの昔に会社を倒産させたり、物理的に死亡したりしているはずです。
冷静な自分を持つためには、好きでないことを一生懸命にやらないとダメだという「オトナの諦観」の裏側に、その仕事を逃げずに完遂することが、自分以外の誰かのためになるという「オトナの矜持」を持つこと。それを胸にしまって、他人から見たら「大変だろうなあ」と思われることを何事もなくこなしていくこと…
最近本当に少なくなりましたが、そういうことができるオトナって、素敵だって思いませんか?
ワタクシはHTさんのいた「羽田特殊支社」と並び称される、わが社のマッチョ系支社「泉州支社」社員であった過去こそありますが、HTさんと違って全然悟りを開けておらず、相変わらずバカを相手に大騒ぎ…ばかり(-_-;)。オトナの諦観とオトナの矜持を表裏で持ち合わせるシブさ、身に着けたいなあ…でもキャラ的に、生涯ムリでしょうなあ(;'∀')。
なおタイトルは、HTさんも同級生社長も、モロに大阪商人の意気と息がかかっている…という思いつきです(;^ω^)。
なにしろ、「呑んでいて誰かが『訓練での体の動かし方が足りない』と言い出すと、元町(神戸じゃなくて、横浜のほうの元町)に出かけてはチンピラを探し、追っかけてボコっていた」という、ワイルド極まりない時代の「昭和の羽田特殊支社」OBですから、アスリートお兄ちゃんばかりになったイマドキの支社員とはずいぶん毛色が違う(=周防平民珍山とフィーリングが合う)お方です。その昔ワイルド・今はジェントルな?上司、ここではHTさんと呼んでおきます。
HTさんは大阪・船場付近の出身。実家は商家を営んでおり、御父上は「番頭はんと丁稚どん」の世界を地で行くような修行の末、商売を始めたそうです。
HTさんはその様を見て育ったため、「オレにこんなしんどいことはできない。会社員になろう」と考えたのですが、入ったところがウチの会社だったのが運の尽き、「羽田特殊支社」を3度も務め、「物理的に死ぬかと思った」経験も20回はあろうという恐ろしい経験を積むに至りました(;^ω^)。
HTさんは地元・大阪に戻ると、生育の関係上商家の二代目・三代目を継いでいる同年代の社長・店長の知り合いがたくさんおり、当然「飲み」の機会を持ちます。
その席上、ある同級生社長がこんなことを話しました。
「オレは毎日早く退社するようにしている。従業員と飲みに行ったことは、ほとんどない。」
なんで?(←HTさん)
「オレが早く帰らないと、従業員が帰宅する気になれない。一緒に飲みに行っても、社長との飲み会でみんなが楽しく本音を話すとは思えない。あえて一線を引くことで、みんながアフターを楽しんで、仕事に打ち込める環境を作っている。」
で、家に帰ってナニしてんの(←HTさん)
「仕事の続き。」
じゃあ、何が楽しくて仕事してんの?(←HTさん)
「楽しいとか楽しくないとかじゃない。従業員が路頭に迷わないようにするのがオレの仕事。」
…これを聞いたHTさん、「やっぱ、オレにはこういった仕事はでけへん」と思ったとか。
ところが、HTさんは反対にこう言われたそう。
「オマエ、いつも●×で転覆船からエアーが抜けて、フネごと沈みそうになったとか、△×山で要救助者役をしていて、担架ごと滝壺に漬けられて死にそうになったとか、命の危険がいっぱいの職場にいたって言ってたよな」
「うん」
「オレにとっては、そんな命がいくつあっても足りない仕事を平気で続けているほうが理解でけへん。」
…この話をHTさんから直接聞いて感じたことは、「仕事の性質が違うだけで、どっちも身体生命を賭けた、ほんとうにいい仕事ぶりをしているなあ…」ということ。
HTさんは文句なく一流の仕事師、上記の社長も、あのやりとりを見るにおそらくかなりの仕事師。ただ、そんなふたりに「今の仕事が心底から好きですか?」と聴けば、おそらくふたりとも「そんなことはあるかい!」と答えるでしょう。
社長のように「社員を路頭に迷わせない」ために働く、あるいはHTさんのように「死が隣にある現場で、何事もなく働く」ためには、働く自分のアタマの上に、どこか冷めている自分を置いて冷静に眺めさせることが重要になります。
おそらく、社長もHTさんも、今の仕事が「心の底からイチバン大好き、好きで好きでたまらない」という性質のものであった場合、自己陶酔の結果判断や引き際を誤り、とっくの昔に会社を倒産させたり、物理的に死亡したりしているはずです。
冷静な自分を持つためには、好きでないことを一生懸命にやらないとダメだという「オトナの諦観」の裏側に、その仕事を逃げずに完遂することが、自分以外の誰かのためになるという「オトナの矜持」を持つこと。それを胸にしまって、他人から見たら「大変だろうなあ」と思われることを何事もなくこなしていくこと…
最近本当に少なくなりましたが、そういうことができるオトナって、素敵だって思いませんか?
ワタクシはHTさんのいた「羽田特殊支社」と並び称される、わが社のマッチョ系支社「泉州支社」社員であった過去こそありますが、HTさんと違って全然悟りを開けておらず、相変わらずバカを相手に大騒ぎ…ばかり(-_-;)。オトナの諦観とオトナの矜持を表裏で持ち合わせるシブさ、身に着けたいなあ…でもキャラ的に、生涯ムリでしょうなあ(;'∀')。
なおタイトルは、HTさんも同級生社長も、モロに大阪商人の意気と息がかかっている…という思いつきです(;^ω^)。
またまた割り込みます🙇♂️
わたくしブログ主さまの
商売敵でぶくぶく潜るふねの担当を
しております。
運良くいままで何人か、
今回のお話に共通する人に
会えてました。なぜ運良く思ったか附に落ち
ることができました。
またも負けたか8連隊なんてうたがありましたが
大阪式の思考は調べてみる価値がありそう
ですね。
オヤジさま、謙虚という言葉ガツンときました。
(^ ^)
老骨武道オヤジさまの謹厳実直な武道&職人人生は、これまで折に触れお聞かせいただき、その都度「おお~!」と感服することしきりでしたが…ワタクシも老骨武道オヤジさまほどではないですが、「武道と兵隊魂を両立させる人間」としての矜持を落とさず、そしてなんでか知りませんが、ワタクシを信じてついてくる若い人(「ワシはエライヤツに嫌われちょるけー、寄ってきちゃーいけん!」というのに、一人呑みをしているところに来てくれる(;^ω^)…ウレシイっすね(;^ω^))を悲しませてはいけない…という使命感だけで「やっている」ところがございます。
今後もお見捨てなきよう、お願いいたしますm(__)m。
アンノウン様、ああ~そうだったんですね(;^ω^)。
では、ご無礼を承知でアケスケにお話ししますが、ワタクシは20数年前、舞鶴兵隊養成学校を出された直後に赴任した船が「もぐり船」で、風呂掃除・食器洗い・潜水士の奴隷労働以外に何もしない2年間を送りました(;^ω^)。
以後、「もぐり」の業界人やナンキュー課にはさんざん苦渋を嘗めさせられたせいで、こっちの業務と業界人がダイキライ!なのですが、「羽田支社」の社員・OBとだけはなぜかふしぎとウマが合う…という状況でございます(;^ω^)。
ご不快に感じた場合は弊ブログの閲覧をお止めになったほうがいいと思うところではございますが、なにかひっかかるところがある、あるいは周防平民珍山のタワゴトになにか汲むべきところがある、とお思いになられたのでございましたら、何もお話ししなくて結構ですので、お目汚し、あるいはお暇つぶしにご閲覧頂ければ幸甚に存じます。