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私的コラム&雑記(&メモ)

今週の興味深かった記事(2019年 第16週)

2019-04-21 | 興味深かった話題

富士通Post-京コンピューターの製造を開始

富士通、日本の次世代スパコン ポスト「京」の製造を開始 - マイナビ

 ポスト「京」コンピューターの設計が完了し、理研と富士通が正式契約を締結したらしい。
 ポスト「京」コンピューターで使用される富士通A64FXは昨年6月に完成が発表され8月のHotChips 30などでも詳細が説明されてきたので、既におおよその姿は見えている状態だが、2021年に運用開始を目指しているスーパーコンピューターのプロセッサーが2018年製というのはどうなのか…(参考:2018年にTop500で1位となったORNL SummitのIBM POWER9は2017年の発表)。

 現在出回っている図は発表時から変更はなく設計も同一と推測するが、どうも「ポスト京専用」という感じに見える。一応、同社のPRIMEHPC FX100後継スーパーコンピューターも販売されるようだが、現在のままでは商業的には成功は困難だろうと想像できる。
 例えばマイナビに掲載されているダイヤグラムではPCIeが16レーンしかなく、これはNVIDIA Teslaなどの接続を想定しているとは思えない(参考:AMD Epyc 128レーン・Intel Xeon Scalable 48レーン・IBM POWER9 48レーン)。その一方で理研しか使わない独自のTofuインターコネクトはCPUと同一ダイに内蔵されており、商用スーパーコンピューターで一般的なInfiniBandやOmniPathのコントローラーを接続したければ僅か16レーンしかないPCIeの4~8レーンを占有することになる。ここはせめてPCIeを32レーンとしてTofuは外付コントローラーをPCIe接続する形にすべきだったのではないか。
 周辺機器を接続する可能性があるUNIXサーバーとは違い多ノードを並列動作させる前提のスーパーコンピューターでは相互接続に必要なPCIe以外は不要というのは解らなくもないが、最初からポスト「京」以外での汎用性を捨ててしまっている設計は好きになれない。

Intelがスマートフォン向け5Gから撤退

AppleとQualcomm和解で、Intelがスマホ向け5Gモデムから撤退 - PCwatch

 携帯電話向けモデムがQualcommの世界なのは確かであるが、選択肢が失われることには不安が残る。
 PC向けや4Gも含めた消費者向けモデムのベンダーを挙げるとQualcomm・Intel・HuaweiのほかExynosと共に同社製Galaxyに搭載しているSamsung、低価格スマートフォン向けにアプリケーションプロセッサーを供給しているMediaTekがある。モジュールとしてはSierraWirelessやFibocomなどが広く知られているが、モデムのチップセットそのものを開発・製造しているのはQualcomm・Intel・Huaweiといった企業である。

 Intelは以前Centrinoブランドを展開したように、CPUにチップセットやWi-Fiアダプターをセットにしてプラットフォームとして販売することに長けているのでPC向けには5Gモデムは続けるのだと想像するが、Huaweiが強い市場なので頑張ってもらいたいところである。

今でもXLSを使い続ける人々

え、まだ"xls"のファイル使っているんですか?仕事する気あるんですか? - @IT

 100%同意とはいかないが、なるほどと思う。なお、XLSXはExcel 2007以降のMicrosoft Excelの標準ファイル形式であり、XLSはそれ以前のExcelの標準ファイル形式のことである。

 記事では「ファイルの形式にすら目が回らない程度のレベルだということ」と記事では述べられているが、そもそも新しいXLSXが旧式のXLSに対して勝る点が述べられていないため、整理する必要があるのではと思う。
 私が思うにポイントは二点ある。まずXLSでは文字コードが日本語はShift JIS・英語はASCIIとなっており異なる言語の環境では文字化けする可能性が高いが、XLSXではUnicodeでその可能性は低い。もちろん、外国とやりとりしない会社であれば必ずしも必要ないのかもしれないが、もし私があなたから受託を受けるとして、私はあなたのビジネスの事情は知らないのだから受託する側が柔軟な方式を選ぶのは当然であろう。

 もうひとつの理由は、ファイル形式の実体である。XLSはバイナリーであるのに対しXLSXの実体はZip圧縮したXMLである。WebベースであるOffice 365/Excel OnlineはもとよりGoogle Driveなどの親和性は段違いである。XLSXであればファイル形式を変換することなくWebブラウザー上で開くことができるだろう。

 まぁ、記事の著者は「未だにXLSなんて使っているということは、それ以前に知識に問題がある」と言っている気もするが、新形式と旧型式の利点・欠点が解っていない≒知識に問題があるというのは、確かにそうかもしれない。

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