轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

トヨタ・イスト

2007-08-24 18:58:07 | TOYOTA
助手 「何やらまた怪しげなクルマが出ましたね。」

所長 「何のことじゃ。」

助手 「イストですよ、トヨタの新しいイストです。」

所長 「うーん、確かに怪しい感じじゃな。」

助手 「ですよね。何て言うか、いきなりアメ車に変身してしまいましたね。」

所長 「そうじゃな、それもみんながイメージするような昔の豪快なアメ車じゃなくって、小型車にシフトしてきた今どきのアメ車って感じじゃな。」

助手 「そうです、そうです。なりは小さいんですけど、大味って言うか繊細さの感じられないデザインですよね。」

所長 「ま、向こうのお客の好みはよくわからんが、あんなのがいいのかのぉ。リアピラーは太過ぎる気がするし、バンパーやフェンダーのデカさもわざとバランスを崩しとるようにしか思えんのじゃがな。」

助手 「そうですね、グリルもかなり大づくりですしね。サイオンのxDでしたっけ、向こうでは。」

所長 「何か、そんな名前じゃったな。似たような名前ばっかりなんで覚えられんわ。」

助手 「言えてますね。ジェネレーションYとか何とか言う向こうの若い世代向けのトヨタのブランドがサイオンで、先代イストやbBなんかを売ってるんですよね。」

所長 「アメリカでも小さいのが売れるようになったようじゃのぉ。」

助手 「そうですね。でも先代のイストではちょっと小さ過ぎたんでしょうね。で、今度は向こうのニーズに合わせたという訳ですね。」

所長 「そういうことじゃろうな。」

助手 「でも先代のイストってよく売れてたのにもったいないですよね。先代のキープコンセプトでもそこそこ売れそうな気がするんですけど。」

所長 「うーん、先代のキープコンセプトじゃ難しいじゃろ。」

助手 「え、どうしてですか。」

所長 「先代のイストって国内の累計で37万台ぐらい売れたんじゃ。発売された時期と期間が近いマツダのデミオと比べても2万台ぐらい多いんじゃから大したモンじゃ。」

助手 「じゃあ問題ないじゃないですか。」

所長 「じゃがその台数の8割以上が発売後3年以内で稼いだ数字なんじゃ。」

助手 「どういうことですか。」

所長 「つまり発売後4年目、5年目はほとんど売れとらんのじゃ。さっきのデミオとの差も3年目までじゃったら、8万台もあったのが2万台まで詰められとったし、あと1年ほど販売期間が長かったらデミオの数が上回っとったじゃろう。」

助手 「そうなんですか。」

所長 「その証拠に街で走っとるイストってよく見掛けるんじゃが、ほとんどが前期型じゃ。ネッツのマークが付いた後期型なんてまず見掛けんわ。」

助手 「全然気づきませんでした。でもどうしてそんなに落ち込んだんでしょうね。」

所長 「いろいろ要因はあるんじゃが、まずそれまでのネッツ店とトヨペット店の複数店扱いじゃったのが、ネッツ店専売になって営業力が落ち込んだのがあるじゃろうな。そのネッツ店もメイン車種のヴィッツがちょうどその頃にフルモデルチェンジしたから、古いイストは売りづらくなってしまったんじゃろ。」

助手 「そういうことですか。」

所長 「元々イストって初代ヴィッツの着せ替えモデル的なクルマで、ヴィッツよりも少し大きくって少し高そうなつくりにしたクルマじゃろ。それがヴィッツが新しくなって立派になったから、売りづらくなって当然じゃろ。デザインはなかなかよかったんじゃが、長期的な販売を考えとらんかったのがダメじゃったんじゃろうな。」

助手 「ですよね。でも何でヴィッツと同じネッツ店の専売にしたんでしょうね。トヨペットの方が競合するクルマがない分売りやすいでしょうし、何よりも売れ筋のコンパクトカーが欲しいでしょうに。」

所長 「じゃからトヨペットにラクティスをまわしたんじゃ。お前ごときに言われんでもトヨタの販売は鉄壁じゃ。ま、イストの場合、トヨタのコンパクトカーの戦略から外れてしまったんじゃろうな。じゃがサイオン版には新しいクルマが必要じゃったんじゃろ。トヨタのディーラーの再編でネッツ店は、サイオンのような若い世代向けの店舗にしようとしとるから、イストはネッツ店が妥当なんじゃ。」

助手 「でもネッツ店には大黒柱のヴィッツがありますし、売りづらいのは新型になってもおんなじなんじゃないですか。」

所長 「トヨタも端っから期待しとらんじゃろ。サイオン向けに新しいクルマをつくったから、ついでに国内でも売ろうというぐらいのモンじゃろ。目標台数も先代は7000台じゃったのに対して新しいイストはたったの2000台じゃしな。」

助手 「そんなに少ないんですか。ま、実際にそれぐらいしか売れないんでしょうけどね。」

所長 「ということじゃな。今のトヨタの方針って、どんどん古いモデルを廃止して新しいモデルに置き換えとるじゃろ。イストの場合、先代のイストは一代限りで廃止になったんじゃ。て、生き残ったサイオン版を売るのにイストの名前を使っとるのに過ぎんのじゃろ。つまり先代とは全く違ったクルマなんじゃ。じゃから先代の数字は全く当てにはならんということじゃ。」

助手 「何か、ややこしい話ですね。」

所長 「サイオンのxBやRAV4のロングも同様の手法で売るみたいじゃし。」

助手 「あっ、デカbBですね。あれってカローラブランドで売るらしいですね。」

所長 「どこらへんがカローラなんか、よぉわからんが、スパシオの後継的な位置付けになるんじゃそうじゃ。」

助手 「最近のトヨタの戦略って、ちょっとズレてきてるような気がしませんか。トヨタブランドだったら何でも売れるとでも思ってるんですかね。」

所長 「どうじゃろうな。ワシが思うに国内の需要が衰退しとるじゃろ。じゃから国内向けに専用車をつくるのは、ノアやウィッシュのように数が見込めるモンだけに絞って、あとは極力海外向けモデルでお茶を濁そうとしとるように思うんじゃ。」

助手 「そんなことしたらますます需要が減ってしまうじゃないですか。売れないときだからこそ魅力的なクルマが必要なんじゃないですか。」

所長 「何をド素人みたいなことを言っとるんじゃ。トヨタ以外のメーカーはとうに海外向けモデルが中心になっとるじゃろうが。それにクルマは魅力があるから売れるんじゃなくって、必要じゃから売れるんじゃ。家に壊れんクルマがある以上、買う必要なんてないんじゃ。じゃから前から言うとるように少ない需要でどうやって利益を出すかを考えんといかん時代なんじゃ。」

助手 「・・・。」


参考資料
トヨタ・イスト(トヨタ自動車株式会社)
サイオン xD(トヨタ自動車株式会社)
トヨタ・イスト(初代)(トヨタ自動車株式会社)
ダイハツ・エッセ(轟クルマ文化研究所)

Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所



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2 コメント

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Unknown (あんトキのえのき)
2019-12-01 13:10:40
デミオとイストは対決になりますがティーダスイフトコルトはデミオと対決ではありません
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Unknown (宇垂)
2021-04-15 17:44:02
あんトキのえのきさん

ナゾトレとか東大王クイズなんかの問題みたいですね。
どこかに共通点があるのか探してしまいました。
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