所長 「そう言えばこの間、新しいアウディのＴＴを見たわ。言おうと思って忘れとったわ。」
助手 「最近忘れっぽいですね。やっぱり年のせいですかね。」
所長 「うるさいっ、ちょっと物覚えが悪くなっただけじゃ。まだまだお前なんかよりよっぽどしっかりしとるわ。」
助手 「で、どうでした。」
所長 「何がじゃ。」
助手 「何がって、アウディのＴＴですよ。ホントに大丈夫ですか。」
所長 「おー、そうじゃった、そうじゃった。写真で見るよりも、格好良かったぞ。」
助手 「そうなんですか。でもボクは先代のＴＴの方が好きですけど。」
所長 「うーん、先代とはまったく違うクルマじゃと思った方がいいんじゃないか。」
助手 「どういうことですか。」
所長 「先代は市場をまったく意識せずにつくった、言わばコンセプトカーみたいなモンじゃったじゃろ。」
助手 「確かにそんな感じですよね。」
所長 「じゃが新しいＴＴはすでにお客が居って、それもベンツやＢＭＷ、あとポルシェなんかと比較されるクルマじゃから、ある程度マーケットに合わさんといかんかったんじゃろ。」
助手 「でも前のＴＴの評判が良かったから、そのままでもよかったんじゃないですか。」
所長 「デザイン的に評価は高かったんじゃが、市場の要求はもっとスポーティーで高級志向なクルマじゃったんじゃろ。」
助手 「そうなんですかね。今見ても十分通用すると思いますけど。」
所長 「確かに先代のＴＴのデザインは素晴らしいモンじゃった。あのクルマの与えた影響は計り知れんモンがある。」
助手 「そうですよ。確かホイールの円形をモチーフにしたんでしたっけ。」
所長 「と言うよりもホイールのカタチをどんどん外側に反復して使用しとるのと、それらがすべてのラインに影響を与えとるという感じかのぉ。」
助手 「よくわからないんですが。」
所長 「よくそれで褒めとるのぉ。例えば前後のライトじゃが、斜めから見ればよくわかるんじゃが、大きな円形の一部を切り取ったようなカタチをしとるじゃろ。最近のクルマでライトの端をホイールアーチのカタチに切り取ったようなモンはみんなこのクルマを真似たモンなんじゃ。」
助手 「トヨタなんかのクルマでよく見掛けますね。」
所長 「あとフロントからリアウィンドウまでワンモーションを描くキャビンや、ボンネットからバンパーにつながるアールもすべてホイールの円形の反復なんじゃ。キャビンのアールはおんなじアウディのＡ６やＶＷのパサートなんかで先鞭をつけたんじゃが、今じゃ世界中のセダンのスタンダードなデザインになっとるじゃろ。」
助手 「そうですね。日産のティアナなんか顕著ですね。」
所長 「あと以前はヘッドライトやグリルは横のラインでつながっとって、バンパーのデザインとは分断されとったんじゃが、ボンネットからグリル、グリルからバンパーへの角度の変化をなくしたことによって、ボンネットのラインがそのままグリルを通ってバンパーへつながるデザインを実現したんじゃ。縦流れと言うんじゃそうじゃ。」
助手 「縦流れですか。それがシングルフレームグリルに進化した訳ですね。」
所長 「シングルフレームグリルに限らず、例えばヴィッツやなんかのトヨタのグローバル・コアと呼ばれる共通の顔つきなんかもこの手法なしでは成り立たんし、世界中のクルマに影響を与えとるんじゃ。」
助手 「うーん、ますます先代が偉大に見えてきますよね。」
所長 「クルマの歴史の１ページを飾るクルマには違いないじゃろ。新しいＴＴは先代の延長線上にはあるんじゃが、正常進化じゃなくって市場の要望やアウディの現在の方向性を加味したクルマじゃと思うんじゃ。」
助手 「どういうことですか。」
所長 「前に『静』から『動』的なデザインに変わると言っとったじゃろ。先代ＴＴのデザインは建築的な製図によるモンじゃったのが、新しいＴＴはもっと有機的なモン、例えば動物の動きなんかを取り入れたモンになったということじゃ。」
助手 「言われてみれば先代のＴＴって走ってるよりも飾ってある方が綺麗に見えたかもしれませんね。」
所長 「そんなに極端なことはないじゃろうけど、あんまり速そうには見えんかったのは事実じゃろ。じゃから今度のＴＴは走っとる姿が一番の見所じゃと思うんじゃ。」
助手 「で、どうでした。」
所長 「使い古された言い回しじゃが、地を這うように迫って来る姿は迫力満点じゃったぞ。これまでのアウディにはなかったモンじゃ。」
助手 「そうなんですか。それは早く見ないといけませんね。」
所長 「売れとるクルマを見てもわかる通り、上品で優等生的なクルマよりも、コワモテで速そうなクルマの方が支持されとるのは間違いないからな。」
助手 「・・・やな時代ですね。」
参考資料
アウディTTクーペ（株式会社webCG）
アウディTTクーペ（旧型）（株式会社webCG）
助手 「最近忘れっぽいですね。やっぱり年のせいですかね。」
所長 「うるさいっ、ちょっと物覚えが悪くなっただけじゃ。まだまだお前なんかよりよっぽどしっかりしとるわ。」
助手 「で、どうでした。」
所長 「何がじゃ。」
助手 「何がって、アウディのＴＴですよ。ホントに大丈夫ですか。」
所長 「おー、そうじゃった、そうじゃった。写真で見るよりも、格好良かったぞ。」
助手 「そうなんですか。でもボクは先代のＴＴの方が好きですけど。」
所長 「うーん、先代とはまったく違うクルマじゃと思った方がいいんじゃないか。」
助手 「どういうことですか。」
所長 「先代は市場をまったく意識せずにつくった、言わばコンセプトカーみたいなモンじゃったじゃろ。」
助手 「確かにそんな感じですよね。」
所長 「じゃが新しいＴＴはすでにお客が居って、それもベンツやＢＭＷ、あとポルシェなんかと比較されるクルマじゃから、ある程度マーケットに合わさんといかんかったんじゃろ。」
助手 「でも前のＴＴの評判が良かったから、そのままでもよかったんじゃないですか。」
所長 「デザイン的に評価は高かったんじゃが、市場の要求はもっとスポーティーで高級志向なクルマじゃったんじゃろ。」
助手 「そうなんですかね。今見ても十分通用すると思いますけど。」
所長 「確かに先代のＴＴのデザインは素晴らしいモンじゃった。あのクルマの与えた影響は計り知れんモンがある。」
助手 「そうですよ。確かホイールの円形をモチーフにしたんでしたっけ。」
所長 「と言うよりもホイールのカタチをどんどん外側に反復して使用しとるのと、それらがすべてのラインに影響を与えとるという感じかのぉ。」
助手 「よくわからないんですが。」
所長 「よくそれで褒めとるのぉ。例えば前後のライトじゃが、斜めから見ればよくわかるんじゃが、大きな円形の一部を切り取ったようなカタチをしとるじゃろ。最近のクルマでライトの端をホイールアーチのカタチに切り取ったようなモンはみんなこのクルマを真似たモンなんじゃ。」
助手 「トヨタなんかのクルマでよく見掛けますね。」
所長 「あとフロントからリアウィンドウまでワンモーションを描くキャビンや、ボンネットからバンパーにつながるアールもすべてホイールの円形の反復なんじゃ。キャビンのアールはおんなじアウディのＡ６やＶＷのパサートなんかで先鞭をつけたんじゃが、今じゃ世界中のセダンのスタンダードなデザインになっとるじゃろ。」
助手 「そうですね。日産のティアナなんか顕著ですね。」
所長 「あと以前はヘッドライトやグリルは横のラインでつながっとって、バンパーのデザインとは分断されとったんじゃが、ボンネットからグリル、グリルからバンパーへの角度の変化をなくしたことによって、ボンネットのラインがそのままグリルを通ってバンパーへつながるデザインを実現したんじゃ。縦流れと言うんじゃそうじゃ。」
助手 「縦流れですか。それがシングルフレームグリルに進化した訳ですね。」
所長 「シングルフレームグリルに限らず、例えばヴィッツやなんかのトヨタのグローバル・コアと呼ばれる共通の顔つきなんかもこの手法なしでは成り立たんし、世界中のクルマに影響を与えとるんじゃ。」
助手 「うーん、ますます先代が偉大に見えてきますよね。」
所長 「クルマの歴史の１ページを飾るクルマには違いないじゃろ。新しいＴＴは先代の延長線上にはあるんじゃが、正常進化じゃなくって市場の要望やアウディの現在の方向性を加味したクルマじゃと思うんじゃ。」
助手 「どういうことですか。」
所長 「前に『静』から『動』的なデザインに変わると言っとったじゃろ。先代ＴＴのデザインは建築的な製図によるモンじゃったのが、新しいＴＴはもっと有機的なモン、例えば動物の動きなんかを取り入れたモンになったということじゃ。」
助手 「言われてみれば先代のＴＴって走ってるよりも飾ってある方が綺麗に見えたかもしれませんね。」
所長 「そんなに極端なことはないじゃろうけど、あんまり速そうには見えんかったのは事実じゃろ。じゃから今度のＴＴは走っとる姿が一番の見所じゃと思うんじゃ。」
助手 「で、どうでした。」
所長 「使い古された言い回しじゃが、地を這うように迫って来る姿は迫力満点じゃったぞ。これまでのアウディにはなかったモンじゃ。」
助手 「そうなんですか。それは早く見ないといけませんね。」
所長 「売れとるクルマを見てもわかる通り、上品で優等生的なクルマよりも、コワモテで速そうなクルマの方が支持されとるのは間違いないからな。」
助手 「・・・やな時代ですね。」
参考資料
アウディTTクーペ（株式会社webCG）
アウディTTクーペ（旧型）（株式会社webCG）
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