碧空の下で

人生の第四コーナーをまわって

蟋蟀

2005-10-29 21:09:25 | 日記風雑感
つづき
ベトナム人の乗った船に出会った中国の漁師に難民達は
食料と水、その他生活に必要な物資を持ってくるよう
頼むのです。船は中国の港に入りたくないので、
沖で停泊していたらしいのですが、ちょうど漁師の舟に
出合ったので、ドル紙幣を見せて交渉し、
交渉の結果、漁師の息子を難民の舟に残し、金をもらって、
食料その他を運ぶことになった。息子は漁師が金だけ持って
逃げないように、言わば人質として難民船に残ったのです。
漁師の船には中国語のできるベトナム人が、金を持って
一人乗り込み、陸へ向かった。
陸につくと漁師は、ベトナム人にこうもちかけます。
「ところで、ここにまとまった金がある。この金を2倍にする手があるのだが
 どうするね。」
「ほう、船に帰る日までにそんなことできるのか、3日の間に、
 まさか博打で儲けようとでもいうのじゃないだろうな」
「そのとおり」
「ばかな、そんな話にゃのらないね」
「そう言うと思ってたがね、ところが、これが必ず儲かるように
 仕組めばいいのさ、知ってるかね蟋蟀相撲を」
「気でも狂ったか、このばくち打ちめ、つまらんことを考えるなよ」
ところがその日陸に戻ると、運が悪く急に天候が崩れ、台風の余波で
難民船が座礁して大破し乗組員はほとんど死んでしまったのです。
息子を失った漁師と、仲間を失ったベトナム人は、
悲しみに打ちひしがれて、運命の過酷さに呆然としてしまいます。
そして、酒を飲み、いかさま博打をやり、運良く大金を手にして
漁師の船でこの土地から、逃走するのです。
流れ着いたのは、福建省のとある港でした。
ベトナム人は国外へ逃れるため、船の手配をします。
そして、漁師は、この船に、ベトナム難民と見せかけ、
中国人を乗せて、外国へ密入国させて、金を儲けることを
思いつきます。かくして、スネークヘッド(蛇頭)が誕生するのです。 



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