チリチリリン

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一路

2014年04月29日 | ふうりんの音
昨年末にテレビで「小説『一路』の世界を歩く」という紀行番組をやっていた。『一路』は滋賀県にある架空の蒔坂藩の参勤交代の様子を描いた物語らしい。作者の浅田次郎氏がゲストと一緒に中山道を歩きながら、道中での、宿場での、出来事を回想する。たいへん面白そうだったので、これから図書館に行くという亭主に『一路』を借りてと頼んだ。

持って帰ったのは「小説『一路』の世界を歩く」という薄っぺらな紀行本、テレビ番組と同じだ。これではなくて、元になった『一路』をと、再度予約し直してもらった。番組直後だったので、予約が30人以上いるらしく、半年は待つと言われたが、思ったより早く先週届いた。

「小野寺一路」は蒔坂藩道中供頭の嫡男、父親が不慮の事故で命を落とし、急遽江戸から呼び寄せられ、参勤交代の供頭を努める事になる。ところが弱冠19歳の一路は江戸生まれの江戸育ち、参勤交代には一度も加わった事が無い上、父親の急な死で、供頭の仕事は一つも引き継いでいないという設定だ。他藩には見ない真冬の参勤交代で道中の困難に加え、御家騒動の不穏な動きも....

分厚い単行本上下2巻だが、浅田次郎氏の小説は読み易いので一気に読んでしまった。吉川英治風の新聞連載小説というか、講談の話みたいというか、様々な困難に立ち向かう主人公の、あわやという場面では神風が吹きみたいな成り行きでからくも難を逃れる、という道中が続く。一路の真面目な人柄から味方はどんどん増え、ほろりとする人情話あり、そして声をあげて笑い出してしまう場面もあって、たいそう面白かったです。

今度は「小説『一路』の世界をあるく」を読んでも良い気分です。

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