米国大統領選挙2020 民主党予備選挙の状況③

現地時間3月17日に実施された民主党予備選挙は大票田のフロリダとアリゾナを含む三つの州で行われ投票結果が出ました。

三月初旬のスーパーチューデーの逆転劇から勢いに乗ったジョー・バイデン候補が全ての州を制しました。

未だニューヨーク州など大票田での予備選が残っており、先日来説明している新型コロナウイルス感染の状況次第で再度の逆転を生む何か大きなインパクトのある事件が起きれば別ですが、このままの状況が継続すればジョー・バイデン候補が民主党の大統領候補として選出される可能性が一層高くなって来ました。

と言うのは、米国での新型コロナウイルス感染関連の問題が大きくなれば大きくなるほどバイデン候補とサンダース候補のの支持率の差が開いて来ているからです。

多くの民主党員の間で、トランプ大統領との本戦で勝ち抜くためには極端な進歩派路線を目指すサンダース候補よりも中道派の無難なバイデン候補の方が有利であるとの判断からと思われます。

さて、大統領選挙の勝敗の決め手となる新型肺炎対応問題と感染拡大の影響で悪化が深刻化している経済状況については現状は以下の通りです。

① 新型肺炎の感染拡大とその対応

現地時間3月18日時点で、全ての州で感染が確認され感染者数は全国で9,000人を突破、死者も145人と悪化傾向が続いています。

先般からのPCR検査の対応能力問題については、この二週間で数百万のテストキットの出荷を行ない、民間の検査会社を認定して検査能力の急拡大を図り、スーパーの駐車場でドライブスルーを実施するなど市民の不安を取り除こうと全力を挙げて取組んでいますが、未だ希望者全員に短時間で提供出来るところまでは行っていない状況となっています。

本来的には従来設定していたテストのガイドラインに沿って検査対象を絞ってPCR検査を実施すべきなのですが、対応が後手に回った結果、米国社会が集団パニックを起こし我先に検査場に詰めかけたため更に混乱を招いている状況となっています。(PCR検査におけるテストガイドライン等に関する詳細は3/4日付「新型肺炎について　続き(16)」をご参照下さい)

つまり、今日現在でもトランプ政権はこの問題における泥沼から抜け出せておらず、この問題が足をひきづり大統領選での大きな争点になる可能性は非常に高いと思います。

このPCR検査の拡大に伴い、ある意味では当然の結果ですが、これに追い討ちをかけるかのように医療資源の緊迫化が重大問題化しつつあります。

[米国における検査能力不足問題についての補足説明]

感染症の大爆発に対しては社会全体の医療資源の管理が非常に重要で、検査と治療のためのリソースをバランス良く振り分けて感染状況によっては重症者対応に集中対応を優先するなどの判断が必要になりますが、先述のように2月初旬に出荷した検査キットの品質問題に端を発した検査能力不足の解消に長期間を要したため大混乱を起こし、現状は集団パニック状況となっている。政治判断として検査のガイドラインを撤廃したり、無償化を発表して希望者にテストを受けさせるように方向転換をした。

感染者数の多いワシントン州やカリフォルニア州、ニューヨーク州では医療従事者、病床、PPE(マスクやガウンなどの医療用防御用品)やECMOなどの治療機器などが枯渇しつつあり、米軍の非常用在庫の放出などを開始したところです。

別の記事でも説明しているように米国に於ける福祉及び医療システム下では、先週米国政府が無償化を決定するまで、気安く検査を受ける状況になかったことも手伝い感染が既にかなり広範囲に広がっているものと推定されます。

最新のデータでは現地時間3月18日に新たに感染が確認された患者数は445人となっており、この数日は加速している状況にあります。

更に、この感染拡大に加えて、米国経済の悪化が深刻化しています。

今週は立て続けに緊急対策を発表して何とか景気回復を図ろうと躍起になっていますが、追加処置として議会と協議中の中小企業向けの無利子融資や家庭向けの5億ドルの緊急補助金なども成立には暫く時間がかかるため株価の下落の歯止めにはなっていません。

また、失業率も20%と急激に悪化して、昨日の株式市場ではこの二週間で７回目のサーキットブレーキが起こるなど、またもや大幅に下落しました。

このような状況が続けば、間違いなく現職のトランプ大統領には不利な状況が続くことになります。

大分前に友人達と選挙の勝者についての賭けをしたのですが、このままでは食事をおごることになりそうです。

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