雇用の増減は投資の増減によるのだが 消費性向があまり変化しないとすれば総雇用・総所得は投資量の関数となる。すなわち雇用の増減は投資の増減によることになる。 所得の増減によって消費も増減するが、その増減は所得の増減ほどではない。つまり消費の増加分は所得の増加分より小さい。消費の増加分÷所得の増加分を限界消費性向と呼ぶ。消費をC、所得をYとすれば、⊿C/⊿Yが限界消費性向である。限界消費 . . . 本文を読む
ここに来て、今までの篇と第4編の目次を見ておくのも参考になると思われる。第1編 序論 第1章 一般理論 第2章 古典派理論の公準 第3章 有効需要の原理第2編 定義と概念 第4章 単位の選定 第5章 産出量と雇用の決定因としての期待 第6章 所得、貯蓄および投資の定義 付論 使用費用について 第7章 貯蓄と投資の意味―続論第3編 消費性向 第8章 消費性向( . . . 本文を読む
資本の限界効率とはなんぞや?その意味と意義 マクロ経済は会計年度で動いているわけではない。ケインズははっきり書いている。資本の限界効率の意味と意義に関する最も重大な混乱は、それが資本の期待収益にも依存し、単に当期収益にのみ依存するのでないことを見損なったところから生じた。 ケインズは資本の限界効率を次のように定義している。上記の「意味」の部分だ。耐用期間を通じてその資本資産から得られると期待される . . . 本文を読む
資本市場の発達と長期期待の変化 「第5章 産出量と雇用の決定要因としての期待」において期待は短期と長期の2種類に分けられた。 短期期待とは現存の生産設備でどのくらいの利益が得られるだろうかという期待である。長期期待とは設備投資を行う際にその設備投資の耐用期間中にどのくらいの利益が得られるだろうかという期待である。短期期待は生産の規模を決め、長期期待は設備投資の規模を決める。 この第12章は投資の規 . . . 本文を読む
流動性選好という概念 消費性向とは所得のうちいくらを消費に回すか、その割合である。消費に回さない分はすなわち貯蓄である。その貯蓄のうちいくらを流動性として保持するのか?が流動性選好と呼ばれる。消費性向は変化しにくく、産出量(=雇用量)を決めるのは投資額であった。その投資額は、資本の限界効率を通して、利子率に左右される。流動性選好が高まれば貯蓄は投資に回らず流動性として保持される。資金の余剰と化すの . . . 本文を読む
異次元の金融緩和の指導理論 この章では、古典派の利子率理論批判を通して、ケインズ自らの利子率の一般理論を展開している。その批判されている古典派の利子率理論が「異次元の金融緩和」の指導理論である。また一般理論で「唯一のグラフ」が登場することでも有名?である。この章と次の付論を筆者自身は「一般理論」のなかで最も難解だと思う。この章を理解できなければ、マイナス金利でも借り手がいないのは何故か?なぜ貯蓄が . . . 本文を読む
人は、なぜ価格によって資金の需給すら均衡すると考えてしまうのか 前項で見た古典派の利子率理論はまさに新古典派・現代正統派の基本的考え方・異次元の金融緩和の理論的根拠そのものである。市中銀行の日銀預金を増やせば利子率が低下し投資に用いられる、と想定する。 ここで「一般理論」唯一のグラフが登場する、ので触れない訳にはいかない。古典派の利子率理論を視覚化したものだ。ケインズがなぜグラフを嫌うのか?グラフ . . . 本文を読む
利子をいくら下げても、それだけでは、需要は生まれない マイナス金利の陥穽リカードの利子率理論とは リカード『政治経済学原理』より引用貨幣に対する利子を規制するのは5パーセント、3パーセント、2パーセントといったイングランド銀行(the Bank)の貸出利率ではなく、利潤率である。利潤率は資本の雇用によって決まり、貨幣量あるいは貨幣価値とはなんの関係ももたない。銀行が100万貸そうが、 . . . 本文を読む
新古典派・現代正統派の利子率理論はどのようなものだったか。資金の需給は利子率という資金の価格によってバランスする(はずである)。つまり不況局面においては投資が減退し資金需要も減退するから利子率は下がる。それもただ下がるだけではなく資金需要が復活するところまで下がるはずである。不況局面において投資は減退するが、利子率の低下によって投資は復活し景気は反転していく。これが新古典派・現代正統派の景気循環 . . . 本文を読む
異次元の金融緩和論者がどうしても理解できないこと=利子率操作が無効になるとき ただ、ケインズは利子率の操作だけで完全雇用が達成できるとは考えていない。公開市場操作の限界について指摘している。ここに「流動性の罠」についての言及(347文字)があり、まさに日本の現実である。 先述した理由によって、利子率がある水準まで低下すると、たいていの人々が利子率のきわめて低い債権を保有するよりも現金のほうを選好す . . . 本文を読む