ばぬあ通信 ―バヌアツ共和国 青年海外協力隊活動記―

青年海外協力隊としてバヌアツ共和国タンナ島で小学校教諭として2007年から2年間活動しました。未知の世界をあなたへ☆

no.86 7.7 本質を理解する難しさ

2009-07-07 13:58:31 | Weblog
みなさんこんにちは!先日ロカタイ小学校でワールドヴィジョンという慈善団体による公衆衛生のワークショップが行われました。そのワークショップでは、清潔な生活を送る必要性や不衛生な生活が引き起こす弊害についてや、体を清潔に保つ方法、ゴミの捨て方などを実践を交えて紹介するとても素晴らしいワークショップでした。

タンナでは今でも公用語とされているビスラマ語を話せない人がたくさんいるので、村へ入り込んでの活動では地域のローカルラングレッジが話せるスタッフが必要不可欠。ワールドヴィジョンのメンバーの中にはロカタイ村に住む女性がいました。彼女に「いいワークショップだったよ。JICAでも公衆衛生のワークショップをやる予定なんだ。だから言い回しやビスラマ語の単語を学ばせてもらったよ。」と言ってメモを取った私のノートを見せたら、「私たちのワークショップを盗むのね。」と嫌な顔をされてしまいました。彼女には今までも理不尽にまくし立てられたことがあったので思わず構えてしまいました。今回は笑ってごまかし事なきを得ましたが・・・あれ?ちょっと待てよ?このワークショップは公衆衛生の啓蒙活動です。その知識を広めるのが目的です。それなのに「その知識や手法を盗むな」いうのはおかしい話です。

このワークショップ自体はバヌアツ人のみで行われましたが、彼らへの指導等はニュージーランドのワールドヴィジョンが行ったようです。彼らは言われたことをやることはできる、今回のケースでいうとワークショップをして啓蒙活動をすることはできる。しかし、「公衆衛生について考えさせ、その知識・技術を広める。」というところに本質があることは理解できていなかった。まさに国際協力・国際援助の現状が見えたような気がしました。私たちが援助をしても、やはり途上国の人々が自分たちの力だけで物事を進めていくことは難しいのが現状です。ただバヌアツの中にも物事の本質に目を向けられる人はいます。そういう人たちが増えていき、行く行くは国が変わるのだと思うのですが、一朝一夕で増えることはないので、長い時間をかけての援助が必要なのです。援助側はそれが難しいとわかっていても、いつかその日が来ることを信じてアプローチし続ける。

最近読んだ本にこんな言葉がありました。「夢は夢でしかないかもしれないが、夢見る権利、夢見る可能性は残しておきたい。」理想はあくまで理想であって、現実になることはないかもしれないけれど、私は理想を追い続けること自体が一つの理想的な姿であると考えています。いつかバヌアツが本質を見極め、自分の目で、自分の手で、自分の足で、自分の頭で生きる国になって欲しい。その過程の一部になれるように最後まで頑張ろう!(今の日本がそうなのか、と聞かれたら100%Yesとは言えないかもしれませんが・・・)

ワークショップの後は参加者みんなで一緒に昼食をとりました。例の彼女と一緒に食べたのですが、そのときはなんだかんだと私の世話をしてくれました。正直、私はその間ずっとハラハラしていましたが、終始やさしくしてくれました(^^ゞただ言葉がきつくて気性が激しいだけなのかなぁ、うーん(・・?どうやら私は彼女の「本質」を見極められていようです。トホホ・・・(^_^;)ではまた!素敵な七夕を☆Ale!(^o^)/



写真はそのときの昼食の様子です。お皿は葉っぱ、スプーンの代わりは手です。ワークショップをした直後でしたが、手を洗っていた子は何人いたのかなぁ(^^ゞ子どもの頭が白いのはシラミ駆除のためのココナッツオイルをかけたためです。