大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

トランプ大統領の可能性

2016年11月02日 | 日記

 コーメーFBI長官がヒラリー氏の機密情報漏えい疑惑について捜査を再開したとアナウンスしたことで大統領選挙の行方は予断を許さないものになった。

 アメリカの大統領選挙は基本的に、共和党候補を選ぶか民主党候補を選ぶか投票日までわからないスイング・ステーツの結果で決まる。ほかの州の結果は、選挙前からほぼ決まっているからである。
 
 現在、いくつかの全国調査でトランプ氏の支持率がヒラリー氏を上回っているが、重要なのはあくまでスイング・ステーツの世論調査である。

 もしトランプ氏がフロリダ、ジョージア、ノースカロライナ、オハイオの4州すべてで勝利すると大統領になる可能性が非常に高くなる。逆に、大統領になるには、その4州すべてで勝つ必要がある。コーメーFBI長官のアナウンスがあるまで、トランプ氏がこの4州すべてで勝つのは不可能な情勢だった。

 しかし大統領選挙にかかわる世論調査をまとめて公表しているRealClear Politicsによれば、直近の調査では、そのすべての州でトランプ氏の支持がヒラリー氏を上回るとする結果が増えている。1週間前には誰も予想できなかったことが今おこっている。

 クリントン氏の私的サーバーを使ったメールはすでに調査が終了している。このため疑惑のある新しいメールが見つかる可能性はあまりないのに、投票日までFBIが沈黙を続けることで、クリントン氏に大きな疑惑があるかのような誤解がどんどん広がっているとする見方がある。

 日本ではトランプ氏はアメリカの主流社会から見放されているという誤解があるが、アメリカの4大テレビネットワークのひとつFOXは強烈なトランプ氏支持であり、ウォール・ストリート・ジャーナルも基本はトランプ氏支持で、紙面はヒラリー氏批判で満たされている(社説も同じ)。トランプ氏の基盤は、日本で一般に考えられているよりはずっと強い。
 
 これからの1週間、アメリカから目が離せなくなった。



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