大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

フィンランドは高税率、高福祉だが、日本より経済成長しているのはなぜ?

2017年03月25日 | 日記

       

   今、研究に必要な資料を集めるためフィンランドに来ている。

 フィンランドをはじめとする北欧に対して、日本では高税率、高福祉で活気がない社会という印象を持つ人も多い。

 実際、フィンランドの消費税は24%、所得税の最高税率は50%ー日本は45%ー

   ゼミの学生にこうした数字を紹介すると、そういう社会では働く意欲がなくなる、起業する人が少なくなる、経済が停滞する、欲しいものが買えなくなって生活がまずしくなる、という意見がきまってでる。

 ただ軽減税率があって、食料などの税率は14%と正直日本の8%とくらべて特に大きな負担感はない。本の消費税は10%でいまの日本とあまりかわらず。大学まで授業料は無料だ。

 また一人当たりGDPは日本より高く、その成長率は日本を上回っている。

 出生率は日本の1.5倍ほどと高く、まちなかでは若者の姿がめだつ。

 ブランド品など商品が少ないという意見もよく聞くが、東京とくらべればそうかもしれないが、少子高齢化や人口流出でシャッターが目立つ日本の中小地方都市とくらべると逆のことが言える。

 ちなみにフィンランドの人口は約550万。首都ヘルシキンの人口は約60万人。ヘルシンキは首都であるから特別であるとしても、人口が同等規模の都市を日本とフィンランドでくらべると、フィンランドの都市の方がはるかににぎわいがあるように思う。それにはいろいろな理由があると思うが、地域格差が小さいことも大きく関係している。

 労働時間が短いのに(基本的に残業がない)、一人当たりのGDPが日本以上で、日本以上に経済成長していることは目を見張る。

 今回は、フィンランドの産業史にかかる資料を中心に集めているが、日本にも参考になることがありそうだ。なるべくたくさん資料を見つけて帰りたい。



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