ウォールストリートジャーナルによれば、穏健派のクドロー国家経済会議委員長は2019年6月13日(木)、6月28日と29日に大阪でおこなわれるG20サミットでトランプ大統領と習主席の会談が実現しなければ、中国からの輸入品3000億ドル(33兆円:1ドル=110円)に対して25%の関税をかける結果になる可能性を示した。
トランプ大統領は習主席との会談を強く望んでいるが、現在までのところ両者の会談は予定されていない。
両者の会談があっても貿易協議に大きな進展を予想するむきはほとんどないが、事実上中断している貿易協議の再開やそれにともなう関税の一時留保などが期待されている。
関税引き上げについてのアメリカ国内の情勢は非常に読みにくくなっている。
2019年6月13日、ウォールマートやコストコなど米600社はトランプ大統領あてに、関税引き上げを避けるため中国との交渉再開をうながす書簡を提出した。
しかしその一方で、共和党の穏健主流派ルビオ上院議員と民主党のマーク・ウォーナー上院議員が連名で「安全保障上の理由から、貿易交渉の進展にかかわらずファーウェイ製品を米国内で許可すべきでない」との書簡をポンペオ国務長官とライトハイザー氏に送るといったことがおこっている。
また、関税引き上げをてこにメキシコから移民問題で大きな譲歩を勝ち取ったことからトランプ氏の支持率は上向いている。
さらに、貿易紛争による経済悪化を見越して米連銀に対する利下げ期待が高まり、現在、米株はふたたび史上最高値を試す展開になっている。このことは、貿易紛争の悪化を危惧する米連銀の意図とは逆にかえってトランプ氏の関税引き上げを容易にする役割を果たしている。
とりあえず今週はG20におけるトランプ氏と習氏の会談がいつどのような形で発表されるのか注目したい。