大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

ニューヨーク州、全公立大学の授業料を無料化

2017年01月09日 | 日記

 ニューヨーク・タイムズ(1月3日)によれば、2017年1月3日(火)、NY州のクオモ知事(民主党)は、一定年収以下の場合すべての公立大学(2年制のコミュニティー・カレッジ含む)の授業料が実質無料となる仕組みを導入すると発表した。

 NY州の仕組みは、返済不要の奨学金の受給額と授業料の差額を州が負担するというもの。 

 当初は10万ドル以下(1200万円以下:1ドル=120円で計算)の世帯が授業料無料の対象となるが、2019年までにそれを12.5万ドル(1500万円)まで引き上げる予定。これによりNY全州で約20万人の授業料が実質無料になるとみられている。

 NYTによれば現在、NY州立大学(4年制)の授業料は6,470ドル(78万円)、州立のコミュニティー・カレッジ(2年制)の授業料は4,350ドル(52万円)。

 さきの大統領予備選挙で、民主党のサンダース氏は大学の無料化を公約に掲げ若者から大きな支持を集めていたが、NY州知事の決定はこれを州レベルで実現するもの。この動きが他州に広がるか注目される。NYTによれば、これまでにオレゴン州とテネシー州がコミュニティーカレッジの学費を実質無料化している。

 

◆ 補足

 日本では誤解されているが、アメリカは大学数こそ私立のほうが多いが、学生数は公立のほうが多い(日本と逆で私立は小規模校が多いため)。

 また日本では、アメリカの州立大学の学費は日本の私立大学の学費より高いというイメージがあるが、まったくの誤解である。この十年余りでアメリカの公立大学の学費はかなりあがったが、それでも日本の私大の学費よりは安く抑えられている(しかもアメリカの大学に入学金はない-少額のデポジットが求められることはある-)。ちなみに州立大学の学費は一般に、州出身者と州外出身者(国外含む)の二本立てで、家族が州の納税者である州出身者には授業料が低く設定されている。一方、家族が税金を払っていない州外出身者-国外含む-にはその数倍の高い学費が適用される。日本からの留学生にはこうした仕組みを知らず、自分が支払っている高い学費が一般の学費だと思っている人も多い。

 なおアメリカの公立大学の多くは州立で、フラグシップ(基幹)大学と呼ばれる各州のトップの公立大学にはノーベル賞受賞者を輩出している有名大学(UCLA、UCバークレー、ミシガン大学など)も多い。



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